「リングフィット アドベンチャー」は、言わずと知れたフィットネスゲームだ。発売は2019年10月で、すでに売れに売れているゲームではあるが、考えてみると運動が好きではない太ったおっさんの筆者にとってはダイエットになるかもしれず、調べてみたら、出荷量が増えたのか一時期よりはずっと買いやすくなっている(欲しい人はとっくに買っているのだろうが)。おうち時間が増えている今だからこそ、紹介する意味があるかもしれない。

  • Nintendo Switchのフィットネスゲーム「リングフィット アドベンチャー」

    Nintendo Switchのフィットネスゲーム「リングフィット アドベンチャー」

というわけで、ゲームの解説をしつつ、169cm/85kgの40代おっさんがリングフィット アドベンチャーを1週間ほどやるとどうなるのかをレビューしていきたいと思う。

本当に「ゲーム感覚で楽しくフィットネス」できるのか!?

リングフィット アドベンチャーは、付属の「リングコン」と太ももに装着する「レッグバンド」にJoy-Conを装着して、ゲーム感覚で60種類以上のフィットネスを楽しめるというもの。鍛える部位や改善内容は実にさまざまで、自分に合った運動ができる。

  • 例えば上半身を左右にひねるリズム系の「スワイショウ」はウエストを絞ったり、脂肪燃焼に効果があるとしている

リングコンは縦320mm×横316mm×厚さ58mmで、車のハンドルのような感じだが、バネのように元に戻る特殊な素材を採用し、軟らかすぎず、固すぎない絶妙な負荷がスゴイところ。「力(ちから)センサー」が内蔵されており、引っ張ったり、押し込む動作を認識できる。

ガッキーのCMとはまるで別モノ……

  • リングコンを持ってみた。サイズ感が分かるだろうか。なお、気合いを入れてジャージ姿になってみたが、フィットネスをするというよりもドライバーのようである。なぜだ

  • 「レッグバンド」は左の太ももに装着する。これにより、足踏みや膝の屈伸といった動きを認識する。ズレやすいのでちょっとキツめに装着するのがオススメ。足が太くてパツパツなのは気にしないでほしい

メインのゲームモードはタイトル通りの「リングフィット アドベンチャー」。不思議な力を持つ「リング」と共に世界を救う冒険をするアドベンチャーゲームだ。ゲームを始めると、普段の運動状況から負荷を決めたり(筆者は当然“全然運動していない”を選択)、集合住宅でのプレイを意識し、腿上げをするジョギング動作を振動の少ない膝の屈伸運動を行うサイレントジョギングに置き換えられるなど、プレイする人や環境に細かく配慮されている。

  • 普段の運動量に合わせて負荷を調整できる。当然、「全然運動していない」の一択

  • リングフィット アドベンチャーでは移動は基本腿上げによるジョギングだが、振動の少ない膝の屈伸運動のサイレントジョギングにも切り替えられる

リングフィット アドベンチャーでは、ジョギング(またはサイレントジョギング)でフィールドを進み、リングコンを押し込んで空気砲を放って仕掛けを解いたり、箱を壊したり、下に向けて放てばジャンプできたりと運動しながらアクションゲーム的な楽しさを味わえる。フィールドのどこかにあるメダルを探したりと、スーパーマリオや星のカービィのような要素が入っており、ゲーム好きとしてはついニヤッとしてしまう。

  • リングコンを押し込むと空気砲が放てる

  • 下に向けて押し込めばジャンプが可能。ジャンプし続けないと、通れないルートもある。これがキツイ

  • 各フィールド内には大きなメダルが3個ある。それを探し出すのも楽しみの一つ

フィールドには敵がいるのだが、体を動かす「フィットスキル」で戦う。40種類以上あるフィットスキルは「うで」「はら」「あし」「ヨガ」に分かれており、それぞれの部位に負荷かがかる(ヨガは基本ゆっくり体を動かすバランス系が多い)。敵には「うで」のフィットスキルが効くなど、それぞれ弱点がある。さらに、フィットスキルは単体攻撃や全体攻撃など攻撃できる範囲も異なる。フィットスキルは同時に6個しか配置できないので、フィールドに合わせて組み合わせを考える必要があるのは面白いところ。

  • 敵とはフィットスキルで戦う。敵の弱点にあったスキルを選ぶのが重要。でも「はら」関連のフィットネスは筆者にとって負荷が大きく避けがちに……

  • フィールドに出現する敵に合わせてフィットスキルを配置すると倒しやすくなる

このほか、フィールドで拾ったコインでトップスやボトムス、シューズを購入して攻撃力や防御力を向上させたり、フィールドから集めた素材で回復や攻撃力の強化などが行えるスムージーを作ったりとRPG的な要素もある。すべてに体を動かす動作(メニュー操作も基本リングコンを使う)を取り入れながら、ゲーム好きも満足させる要素が詰まっているのがこのモードの魅力ではないだろうか。

  • ウェアを購入して攻撃力や防御力を強化できる

  • 集めた素材で体力の回復などができる「スムージー」が作れる

試して1週間、ダイエット……成功!(効果には個人差があります)

ちなみに、筆者は1週間ほどプレイ(1日30~40分程度)したが、体重は85.35kgから84.15kgと1.2kg減に成功! もともともまったく運動をしていなかった上に、太りすぎなので効果が出やすいのは確かだが、食事はまったく変化させていないので、思ったより減ったというのが正直な感想。なんせ週末には酒を飲むし、腹が減ったら普通に菓子パンなんかもモリモリ食べていたからだ。

なお、プレイして1日目、2日目はフィールドを移動するためのサイレントジョギングが効いて太ももに疲れを感じまくってすぐ眠りてぇという気持ちになったが、3日目にはラクにできるようになり、4日目にはちょっと負荷を上げようかと考えるまでになり、人体の慣れってスゲェとおっさんながらに思ったのであった。

  • 1週間ほどプレイした記録。総活動時間は約2時間。なお、これは実際に体を動かした時間で、メニュー操作などは含まれないので実際のプレイ時間はもっと長い。しかし、思ったよりカロリーって消費しないのね……

  • リングフィット アドベンチャーはレベルアップもあり、それもプレイを続ける励みになる

リングフィット アドベンチャーモードは、1日30分程度のプレイでクリアまで約3カ月という大ボリューム。一人で毎日運動するにはピッタリだが、フィットネスだけやりたい、家族でワイワイ楽しみたいといったモードもしっかり用意されている。

実際に筆者の家族で盛り上がったのは「お手軽」モードに用意されている「シンプル」だ。これは20秒間に何回リングコンを押し込めるのか挑戦する「大胸筋チャレンジ」など、誰でもすぐにできて、競いやすいフィットネスがそろっている。細かな操作やルールを覚える必要がないので、遊びに来た友だちと楽しむにもピッタリだ。世界ランキングも見られるので、自分の実力がどの程度なのか確かめられるのも面白い。

  • 「シンプル」では、ただリングコンを押し込むなど簡単な動きで回数を競い合えるのが楽しい

このほか、リングコンを押し引きしてロボットを叩いたり、空気砲を打ちまくって木箱を破壊したりと楽しみながら体を動かせる遊びが詰まった「ミニゲーム」や音楽に合わせてリングコンを動かす「リズムゲーム」、自分に合ったフィットネスメニューを作れる「カスタム」、テレビや動画を見ながらリングコンで運動できる「ながらモード」なども用意されている

  • 短時間で楽しめるシンプルなゲームが数多く用意された「ミニゲーム」

  • 音楽に合わせてリングコンを動かしたり押したり引いたりする「リズムゲーム」。任天堂タイトルの名曲も収録

  • 自分好みのフィットネスメニューを作れる「カスタム」

  • プレイし忘れを避けるために指定した時間にJoy-Conが光って振動するアラーム機能もある

リングフィット アドベンチャーは楽しみながら運動できるよう、非常にていねいに作り込まれているというのが一番の印象だ。リングコンの操作方法や各フィットネスを始める前の説明も分かりやすい。体のどの部分を意識すればいいのかコツをしっかり伝えてくれるのでとてもプレイしやすいのだ。いまさらプレイしてみたが、おうち時間を充実させてくれるゲームであるのは間違いない。フィットネスとしてもゲームとしても高い完成度だからこそのヒットではないだろうか。

タイトル:リングフィット アドベンチャー
対応機種:Nintendo Switch
※「Nintendo Switch Lite」ではプレイできません。
発売日:2019年10月18日(金)
発売元:任天堂
パッケージ版
希望小売価格:7,980円+税
(C) 2019 Nintendo