ウェルスナビは2月17日より、NISA口座にて自動でおまかせの資産運用ができる新機能「おまかせNISA」の提供を開始する。NISA(少額投資非課税制度)の非課税メリットを活用しながら、「長期・積立・分散」の資産運用をロボアドバイザーWealthNaviに一任できるのが特徴となっている。
おまかせNISA対応の背景
メディア向けに開催されたオンライン説明会には、代表取締役CEOの柴山和久氏が登壇した。冒頭で柴山氏は「終身雇用の終焉、少子高齢化による年金不安といった構造変化により、働く世代の豊かな老後に向けた資産運用が大切な時代になりました」と切り出す。
こうした社会背景を踏まえ、国でもいくつかの税制優遇制度を開始している。そのひとつがNISA制度だが、まだ充分には普及していないのが現状だ。例えば一般NISAの認知度は76%あるが、口座を開設している利用者は23%にとどまっており、口座を開設しても1年間の投資額がゼロという利用者も56%を占めている(投資信託銀行の2019年のアンケート調査、および金融庁の2019年の利用状況調査による)。つみたてNISAにしても同様の傾向がある。
個人投資家の悩みで多いのが「どの商品を購入してよいか分からない」「NISA制度は複雑でよく理解できない」「書類の手続きが面倒」といったもの。そういった声を受け、ウェルスナビではロボアドバイザー「WealthNavi」を活用した、新機能「おまかせNISA」を提供開始する。
これは一般NISAを利用できる機能で、毎年120万円の非課税枠(上限)が設定され、WealthNaviを通じて投資するETF(上場投資信託)の配当・譲渡益等が非課税対象となる(詳細は後述)。投資の経験や知識がなくても、誰でも手間なくNISAを使った資産形成に取り組めるというもの。
おまかせNISAの特徴
おまかせNISAの主な特徴は、以下の3つが挙げられる。
ひとつめは、利益に税金がかからないこと。通常、投資で得た利益(配当・分配金や売却益)には約20%の税金がかかる。元本100万円で資産運用を開始して150万円まで増えたなら、利益の50万円に対して税金が20%=10万円かかる計算だ。しかしNISAを活用すると、この10万円が非課税になる(つまり丸々50万円が運用益になる)。1年間に最大120万円、5年間で最大600万円の非課税枠を利用できる。
2つめの特徴は、約50カ国11,000銘柄に最適な割合で分散投資できること。ノーベル賞受賞者が提唱する理論に基づく金融アルゴリズムを利用し、リスクとリターンが最も効率的となる資産の組み合わせを自動で構築できる。どの程度のリスクをとるのか、リスク許容度は利用者が調整できる仕組みだ。
3つめの特徴として、難しいことはすべて「おまかせ」できること。金融商品の選定、商品ごとの購入額の決定、非課税枠の活用、資産の購入、毎月の積立、資産のリバランスなど、資産運用のプロセスをすべて自動化できる。投資初心者にはありがたい機能だ。
なお、なるべく非課税枠を活用できるように、資産の購入は非課税のNISA口座が優先され、非課税枠が埋まった後は通常の口座で購入する設計になっている。また、非課税枠を超えた場合、NISA口座は株や不動産が優先される。株や不動産はハイリスクではあるもののハイリターンが得られる可能性があるため、非課税枠を活用しようというわけだ。
柴山氏は「老後2,000万円問題などの報道を耳にして将来設計に不安を感じた、これからNISAを始めてみたい、そんな働く世代の方々にアピールしていきます。WealthNavi口座もNISA口座も、どちらもオンラインで開設できますし、取引や管理も自動でお任せできる。毎月の給与の積立も、ボーナス時のまとまったお金も最大限に活用できます」と説明。自動で効果的に資産運用できるため、忙しい働き盛りの世代にも相性が良いとして、若い層の取り込みにも期待を寄せていた。
資産形成に取り組む20~30代の割合は?
最後に、報道陣からの「若い20~30代では、どのくらいの人が資産形成に取り組んでいるのか」という質問に、柴山氏が回答した。
「WealthNaviの利用者では、20代が全体の11%、30代が30%で、合わせて41%という数字になっています。そのうちの多くの方々が投資初心者でした。つまりWealthNaviをきっかけにして投資を始めている方々が多くいらっしゃいます」。終身雇用を前提とした退職金にも頼れなくなるなか、働きながらの資産形成が必要だという認識が20~30代の人たちにも広がってきたのを感じている、と解説した。