キオクシアの「EXCERIA」ブランドは、SDカードやSSDなど個人向けのストレージ製品を展開している。個人向けSSDは、国内では2020年の春にスタートしたばかり。
そもそもキオクシアは、東芝グループから独立した東芝メモリが社名変更したことにより2019年に誕生した。東芝のフラッシュメモリ事業を受け継ぐ会社という認識がもっとも分かりやすいのではないだろうか。
そのキオクシアの「EXCERIA」ブランドから2020年末に発売されたのが外付けSSDの「EXCERIA ポータブルSSD XS700」だ。原稿執筆時点ではAmazon専売だが、量販店への展開も検討しているという。容量は480GB(SSD-PK480U3-BA/N)と960GB(SSD-PK960U3-BA/N)の2モデルをラインナップしている。
EXCERIA ポータブルSSD XS700はサイズが幅95mm、奥行き75mm、高さ11mmと手のひらサイズ。筆者の実測ではケーブルなしで80g、ケーブル込みでも101gとまったく持ち運びが苦にならない。
読み出し速度は最大550MB/秒、書き込み速度は最大500MB/秒とSerial ATA接続のSSDと同等レベルにあり、2m落下試験をクリアと衝撃にも強い。インタフェースはUSB 3.2 Gen2(10Gbps)のType-Cだ。ケーブルはType-CとType-Aの2本が付属しているので、USBの形状を選ばず使える。対応OSはWindows 10/8.1、macOS 10.15/10.14/10.13で、PS4も動作検証済みだ。保証期間は3年間となっている。
フラッシュメモリにはキオクシアの3D NAND「BiCS FLASH TLC」を搭載。多くのSSDに採用例があり、実績は文句なしだ。このあたりは長年フラッシュメモリを開発してきたキオクシアならではの安心感と言える。
また、対応OSはWindows 10/8.1に限られるが専用のSSD Utilityも用意されている。空き容量や温度の確認、ファームウェアのアップデート、ベンチマーク機能などを用意。注目したいのはパスワードロック機能だ。パスワードを設定することで、それを入力しない限りWindowsから認識されなくなる。見たれたくないデータを保存する場所としても活用が可能だ。
ここからは実際の速度をチェックしてみよう。テストにはCrystalDiskMark 7.0.0hとCrystalDiskMark 8.0.1を利用する。テスト環境は以下の通りだ。
■テスト環境 | |
CPU | Intel Core i7-10700K(8コア16スレッド) |
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マザーボード | MSI MPG Z490 GAMING CARBON WIFI(Intel Z490) |
メモリ | Micron Crucial Ballistix RGB BL2K8G36C16U4BL(DDR4-3600 8GB×2、※DDR4-2933で動作) |
グラフィックスカード | CPU内蔵グラフィックス(Intel UHD Graphics 630) |
システムSSD | Corsair Force Series MP600 CSSD-F2000GBMP600(M.2/PCI Express 4.0 x4、2TB、※PCI Express 3.0 x4で動作) |
OS | Windows 10 Pro 64bit版 |
どちらもシーケンシャルリードは550MB/秒、シーケンシャルライト500MB/秒を超えており、公称の最大速度を上回った。このサイズでこれだけの速度が出れば十分だろう。大容量データの持ち運びに便利なのはもちろん、ゲーミングノートのゲームインストール先として使うのもアリだろう。
続いてPS4(PlayStation 4)の拡張ストレージとして接続した場合のゲームの起動とロード時間が標準のHDDとどう変わるのかチェックしてみよう。使用したのは薄型PS4(CUH-2100)で、ゲームは「モンスターハンターワールド:アイスボーン」を用意した。起動とロードをストップウォッチで3回測定したときの平均を掲載している。
拡張ストレージとしての実力は確かなもので、標準のHDDに比べて起動時間は約18秒の短縮、ロード時間は約71秒も短縮した。二つしかない薄型PS4のUSBポートを一つ使ってしまうが、ゲームの起動とロード時間を手軽に短縮できるのはうれしいところ。
小型ながら十分な速度を持ち、外付けSSDとして価格も高くない。フラッシュメモリ最大手の一つ、キオクシアの製品と考えれば、十分お買い得と言える。手軽に使えて高速な外付けストレージを求めているなら、ぜひともチェックしてみて欲しい。