昨年の緊急事態宣言以降、編集部もテレワークが奨励。会社に来ても、数えるほどしか人がいないのも珍しくありません。そんな中、交通費精算のため仕方なく出社したところ、編集長より「リゾートホテルの取材しない? 経費は気にしなくていいよ」と珍しく優しい言葉。
経費節減で口うるさい上司からの思いがけない提案に、「鬼の霍乱!?」など勘ぐっていると、「先方から招待されてね。君、普段から、一人で雪山行くので適任でしょ? 他にそういうメンバーもいないし」とこちらの「ソロ活」を見透かした結果でしたよ。
こじらせてた若い時分であれば「仕事でしょ? そんなん楽しめないから願い下げ」と思ったでしょうが、立派なオジサンに成長(?)した今、悪びれる風もなく「業務で旅行! ありがたやー」と、ボッチ慣れたした筆者が新潟にある「ロッテアライリゾート」へ行ってきました。
オジサンは昭和な宿が大好き
スノーボードを趣味にしていますが、始めた時から一人なので、むしろ誰かと行くのが珍しい筆者、ここ数年は長野の白馬村にある鄙びた「白馬八方温泉の宿 雪の荘」に年末年始を過ごしています。
昭和感に満ちあふれた宿で、オーナーのお母さん(前オーナーの奥さん)である、おばあちゃんが手作りの漬け物を毎回振る舞ってくれます。なお、雪国らしい塩辛い漬け物が苦手なのは内緒。
そんなレトロな場所しか知らない私は、果たしてリゾートホテルでくつろげるのか?
大人のリゾート
そもそも「リゾート」とは縁の薄い人生。例のネズミのいるランドもいい記憶はありません……。それが今回のような「ザ・リゾート」ですから、どうなんだろうと一抹どころでない不安。
公式HPの写真からも分かるように、同ホテルは複数の棟が連なる構造で、「ARAI」「LODGE」「CLUB」「NEST」4つの棟で構成されています。
その中は「大人の場所」という雰囲気がプンプン。これはオジサンである筆者がいても違和感ないですねー。アウェイ感が少なく、安堵する私。
積雪量が半端ない
またホテルのある妙高市は冬の積雪が半端ないことで有名みたいです。施設の広報担当を務める樋口忠弘さんに詳しい話を聞きました。
――こちらのリゾートホテルの特徴は何でしょうか。
樋口さん: やはり日本でも屈指を誇る積雪量ですね。そのためゲレンデのオープン期間も長いです。今年でいうと、12月半ば開始で5月16日終了を予定しています。
また積雪量だけでなく、ゲレンデの状態にも特色があり、滑走できる面積の8割以上が「非圧雪」コースだと言います。
――雪質を求める人には最適ですね。
樋口さん: そうですね、北海道と比較しても引けを取らない充実度があると思います。しかもバックカントリーギア無し、普段と変わらない装備で滑走を楽しんでもらえます。もちろん雪崩の管理も万全で、安全性を担保するため雪崩コンサルティングサービスと契約し、アバランチコントロールしています。
アバランチコントロールとは、ダイナマイトを使い人為的に雪崩を起こすことで滑走による雪崩事故を未然に防ぐもの。プロによる熟練の技と豊富な経験が、ゲレンデの安全性を支えているようです。逆に言うと、コース外に出ることは危険。ゴンドラ内など、あちこちで注意サインを目にしました。
樋口さん: 積雪量以外にも、関東からのアクセスの良さもポイントだと思います。最寄り駅となる上越妙高駅から無料シャトルバスを出していますので、新幹線を使えば東京から2時間半程度で着きます。
実際、筆者も早朝の新幹線で来ましたが、10時前にはゲレンデに隣接したホテルに到着。手軽に来られるのはよいですね。しかも、初めて手ぶらに挑戦しました。今までは自前の古いスノーボードギアとウェアを苦労して運んでいましたが、軽装で来る快適さは感動ですね。
この手軽さは、同じく新幹線利用の「GALA湯沢」と同じですが、あちらは若者の印象が強くて、オジサンの筆者には少々敷居を高く感じます。その点、こちらは大人向けの雰囲気で安心できました。
ゲレンデにGO
ということで、早速装備をレンタルしてゲレンデに! 本リゾートは「SALOMON STATION」があり、大人から子どもまで幅広い製品が用意され、なかには、ハイエンドモデルのタイプもレンタルできます。なお、新型コロナウイルス対策のため、ゴーグルや手袋はないので注意を。
ここぞとばかりに、憧れのヘルメット(うまい人に見える必須アイテム、と思う)も借りて、見た目は「かなりやれる人」に。なお、リゾート内の新型コロナウイルス対策は万全ですし、筆者は「おひとり様」で楽しんでいます。
当初心配していた「リゾートでのぼっち感」も、ゲレンデのリフト数が5基(ゴンドラ1・ペアリフト2・クワッドリフト2)と多くはないので、初めてのゲレンデをウロウロすることもなく、それでは華麗に新雪を!! と言いたいところでしたが、雪の多さと自身の技量不足から早々に下半身が悲鳴を上げてダウン。もう少し体力をつけておくべきでした……。
温泉満喫のオジサン、危機感を持つ
嬉しいのは滑った後、宿泊者専用ロッカーに板とブーツをしまえば、その足で部屋に向かえること。このあたりゲレンデに隣接したホテルならではですね。
そして、疲れたオジサンを癒やすものといえば、やはり温泉! 館内にある満天の星を楽しむことができる露天風呂「星空温泉」でゆったりくつろげます。この年になると、滑る<温泉となるのは筆者だけではないのでは!?
と、仕事そっちのけでリラックスモードの筆者。これだとさすがにヤバいと思い、樋口さんに再度お話を聞きました。
――館内を歩き回っていると、フリースペース的な場所を幾つか見かけました。どのように使われていますか?
樋口さん: 実は昨年の秋から「ワーケーション」に対応した宿泊プランや会議室、ワークステーションというビジネスニーズに応える設備も用意しています。ただ、本ホテルは元々館内にWi-Fi環境を整えていることもあり、例えば1階にある「コテージラウンジ」や地下にある「ベーカリーカフェ」で仕事をする方も多いですね。
なお、ワーケーションで長期滞在する場合は、宿泊者専用の無料のジムもあります。のぞいてみましたが、トレッドミルからバイクまでそろっていて、トレーニングには十分な印象。
しかし、オジサン的にはやはり「温泉+新雪」がセットで楽しめるのが一番ですね。どうせなら滞在して春までこもりたいところ。そういうワークライフバランス、素敵すぎます。
また、ワーケーションという見方であれば、一人で滞在することも珍しいものでもありません。ソロでも問題なし!ちなみに夏は「ツリートレッキング」や特殊なワイヤーで体を吊して下り降りる「ジップツアー」が楽しめるそうです。
週末にちょっと非日常体験をしたくなったら、来てみるとよいのでは。とりあえず、昭和のオジサンは温泉が一番大切だと改めて分かりましたよ。