映画『ヤクザと家族 The Family』(1月29日公開)に出演する磯村勇斗の場面写真が10日に公開された。
本作は、ヤクザという生き方を選んだ男・山本(綾野剛)の、3つの時代にわたる壮大なヒューマンストーリー。自暴自棄になっていたとき、地元のヤクザの親分から手を差し伸べてもらったことで心の救いを得て父子の契りを結ぶ少年期。時は移り、ヤクザとして名を上げていく男にも愛する自分の家族ができる。一方、暴力団対策法の施行はヤクザの有り様を一変させた。男の選んだ生き方は様々な矛盾を起こし始め、組の存続を巡る因縁の敵との戦いの中、ヤクザであることを貫くことは、一方でかけがえのないものを失うという状況を突きつけられていくが……。
磯村が演じたのは、3部構成となった同作の最終章となる2019年を舞台に、山本を慕い、羨望の眼差しで見つめ続け、成年へと成長を遂げた半グレ集団のリーダー格・木村翼。公開されたのは翼が初登場するファイトシーンの場面写真で、廃倉庫でストリートファイトに興じる翼は、上半身裸で引き締まった体を見せ、背中には名前と同じ「翼」のタトゥーを羽ばたかせている。周りの半グレや不良たちは翼と対戦相手を囲み、スマホでその様子を生配信しており、異様な熱気に包まれる様が垣間見えるシーンである。
磯村は約1カ月をかけ、人生で初めて本格的に体づくりをして撮影に挑んだという。「正直、『時間はないな』と思ったんですけど、送って頂いたイメージに近づける最大限の努力はしようという気持ちでやっていました」とプレッシャーを吐露。「登場シーンでしっかり身体を見せとけば、翼のキャラクターが観客にも見える」という藤井道人監督からの言葉に、「撮影までのタイムリミットは1カ月。体重を増やして筋肉に変えて脂肪を落とすという作業だと2カ月くらいは必要だったので、増やすと同時に脂肪を減らしていくという、もうわけがわからないことをしていました(笑)。とにかく筋トレはひたすらやって、食事も脂質とかを摂らずに量を食べるんですけど、最終的に監督からOKを貰える体にはなったので、良かったです」と短期集中の鍛え方を明かす。このシーンで流れる楽曲は、人気沸騰中のヒップホップクルー・BAD HOPの「Kawasaki Drift」で、重低音響く楽曲が、ファイトシーンを一層盛り上げている。
磯村はインタビュー毎に「台本を読んで『この役はどうしても自分がやりたい』と運命を感じた」と必ず語っており、翼役が決まった時は天にも舞い上がるほどの嬉しさだったとのこと。「ロケ地が自分の出身地・沼津ということもあったし、翼という役は柴咲組やケン兄(綾野)が残してきたものを未来につなげていくという大事な役柄だったので、大きな壁が立ちはだかった感覚を覚えたが、出演が決まった時は本当に嬉しかったです」と語っている。
そんな磯村に対して、藤井監督は「磯村くんが演じた木村翼という役を誰に託すかということは、この作品ですごく大事な要素でした。面談させていただいたとき、磯村くんが持つニュアンスのなかに、ちゃんと翼が居たんですよね。あと、ロケ地である沼津市の出身で、すごく縁があるなと」「彼は頭が良くて気が遣えるので、どんな監督が撮っても、変わらないベースがあるのかもしれません。しかし、今回はその部分を壊してみたいと思ったんです。わからないことを恐れないこととか、相手への気遣いとか、そういうことは一切気にしなくていいよと。のみ込みも早く、今後も一緒にやっていきたい素晴らしい役者だと思いました」と称賛した。
また、11日には大ヒット公開記念オンライントークイベントも開催(配信サイト:共感シアターにて20:30〜21:30)。スペシャルゲストには、藤井道人監督と佐藤順子プロデューサーが登場し、聞き手としてフリーアナウンサーの笠井信輔、そして映画評論家の松崎健夫が登場、本作の見どころや制作秘話などを語るほか、視聴者からの質問にも答える。“ネタバレトークタイム”を設け、監督&制作プロデューサーだからこそ答えられるトークも展開する。