野村総合研究所(NRI)は2月9日、2020年のテレワークを総括する調査結果を発表した。これによると、テレワーク利用者の比率は2019年の8.4%から、緊急事態宣言中の2020年5月には39.3%へと急増し、2020年12月には29.4%に増えたという。

人数に換算すると、5月時点は約2600万人がテレワーク対象者となり、その後数は減っているが、12月時点でも2,000万人弱がテレワーク対象者であるという。

  • 日本におけるテレワーク実施者(対象者)の推移 資料:NRI

NRIは、これまでの調査結果から、日本でテレワークが現実的に可能な就業者の比率は30%近辺だと見ており。コロナ禍が完全に収束したあとも、30%近い人々は引き続き権利としてテレワークの対象者となるが、実際の利用者比率(あるいは利用頻度)はもっと低くなるというのがありうるシナリオではないかと分析している。

テレワークの利用頻度については、対象者でありながらまったく利用しなかった人も4.4%いる。逆に120日以上、つまり年の3分の1以上テレワークをした人も21.3%存在していて、人数換算すると420万人となる。

  • 2020年の1年間でどのくらいテレワークをしたか(テレワーク対象者) 資料:NRI

2020年12月のアンケート調査によると、「テレワークによって主体性の感覚が強まった」(32%、そう思う+ややそう思うの比率)、「仕事の満足度が高まった」(30%)、「仕事のパフォーマンスが上がった」の3つがテレワークのプラス面として評価されている。

一方、マイナス面については、「テレワークで仕事上の不安やストレスが強まる」が32%(そう思う+ややそう思う)で最も高く、これに「出勤へのプレッシャーを感じる」(25%)、「テレワークをしていると罪悪感がある」(18%)が続いている。

NRIでは、「今の組織に愛着はあるが、規範にはあまりこだわらない」という人がテレワークの効果を最大限に享受していると分析している。