2021年1月13日、NVIDIAはノートPC向けのGeForce RTX 3000シリーズを発表した。ASUSTeKの「TUF Dash F15 FX516PR」は、その中からGeForce RTX 3070 Max-Qを搭載した15.6型液晶のゲーミングノートPC。高い性能はもちろん、リフレッシュレート240Hzの高速液晶、持ち運びしやすい薄型ボディ、それでいて頑丈と見どころたっぷり。さっそくレビューをお届けしよう。
デスクトップ級のスペック、AmpereベースのモバイルGPUを搭載
まずは、ノートPC向けのGeForce RTX 3000シリーズに触れておこう。アーキテクチャはAmpere、製造プロセスは8nmである点は、2020年秋に発表されたデスクトップ版と変わらない。全体的な仕様としては、発熱を減らすためにCUDAコアやRTコア、Tensorコアの数が減っている。大まかなスペックは下の表で確認してほしい。
■表 | デスクトップ版 RTX 3080 | ノートPC版 RTX 3080 | デスクトップ版 RTX 3070 | ノートPC版 RTX 3070 |
---|---|---|---|---|
アーキテクチャ | Ampere | Ampere | Ampere | Ampere |
製造プロセス | 8Nnm | 8Nnm | 8Nnm | 8Nnm |
SM数 | 68 | 48 | 46 | 46 |
CUDAコア数 | 8704 | 6144 | 5888 | 5120 |
RTコア数 | 68(第2世代) | 48(第2世代) | 46(第2世代) | 40(第2世代) |
Tensorコア数 | 272(第3世代) | 192(第3世代) | 184(第3世代) | 160(第3世代) |
ブーストクロック | 1710MHz | 1245~1710MHz | 1725MHz | 1290~1620MHz |
メモリバス幅 | 320bit | 256bit | 256bit | 256bit |
メモリ種類 | GDDR6X | GDDR6 | GDDR6 | GDDR6 |
メモリ容量 | 10GB | 8GB/16GB | 8GB | 8GB |
PCI Express | 4.0 x16 | 4.0 x16 | 4.0 x16 | 4.0 x16 |
TGP(カード電力) | 320W | 80~150+W | 220W | 80~125W |
スペックを見ると「ブーストクロック」は1,290~1,620MHz、GPUの消費電力を示す「GPU Subsystem Power」は80~125Wと幅があり、「第3世代Max-Qテクノロジ」への対応も製品によって異なる。
つまり、GeForce RTX 3000シリーズ搭載ノートであっても、メーカーによって設計は大きく異なり、性能には差があるということ。なお、第3世代Max-Qテクノロジとは薄型ノート向けの技術で高度な電力管理の「Dynamic Boost 2.0」や動作音管理の「WhisperMode 2.0」といった機能が盛り込まれている。
これらを踏まえた上で、「TUF Dash F15 FX516PR」のスペックをチェックしていこう。ゲーミングPCの心臓部と言えるGPUは「GeForce RTX 3070 Max-Q」で、ブーストクロックは1,290MHz、GPU Subsystem Powerは85Wに設定されていた。
ノートPC向けGeForce RTX 3070のフルパワー仕様ではないが、最薄部19.9mmの薄さ、約2.1kgとハイエンドなゲーミングPCとしては薄型、軽量を実現している。公称バッテリー駆動時間も最大12.6時間と非常に長く、モバイルでの利用にも十分耐えられる。
ホワイトを基調としたシンプルなデザインで、よい意味でゲーミングPCらしい派手さがないため、プライベートではバリバリのゲーム用、外では長時間のバッテリー駆動を活かして仕事や学業で利用するといった使い分けもしやすい(モバイルノートとしては大きいが)。アメリカ軍の物資調達に使われる「MIL-STD規格」を満たすタフなボディとなっており、安心して持ち歩けるのも心強い。
また、Resizable BARにいち早く対応しているのも見逃せない。CPUとビデオカードのVRAM間は従来256MB単位でデータをやり取りしていたが、Resizable BARはその制限をなくしたもの。CPUからVRAMへ効率よくアクセスできるため、フレームレートが向上するゲームがある。AMDではSmart Access Memoryと呼ばれているものだ。
そのほかのスペックも見ていこう。CPUは、開発コードネーム“Tiger Lake”のIntel第11世代Coreプロセッサ「Core i7-11370H」を搭載。4コア8スレッドで動作クロックは最大4.8GHz(TurboBoost時)だ。TDP 35Wの省電力ながら、高クロック動作が可能なのほか、PCI Express 4.0に対応しているのも特徴。実際、GeForce RTX 3070とはPCI Express 4.0で接続されている。
メモリはDDR4-3200が16GBと高速大容量。ストレージはPCI Express 3.0接続のNVMe SSDが1TBと十分だ。
ディスプレイはサイズが15.6型で解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。リフレッシュレートは240Hzとかなりの高速駆動だ。1秒間に最大240コマもの滑らかな描画が可能なので、FPSやTPSのシビアな戦いにも十分対応できる。また、sRGBカバー率100%と色の再現性も高い。
インタフェースは左側面にギガビットイーサ、HDMI出力、USB 3.2 Gen1×1、Thunderbolt 4(Type-C)×1、ヘッドセット端子、右側面にUSB 3.2 Gen1×2を備えている。無線はWi-Fi 6とBluetooth 5.1に対応だ。Thunderbolt 4を備えているため、Type-C経由の充電(100WまでのUSB PD)にも対応する。
キーボードの詳細なスペックは公表されていないが、クセのない配列で使いやすい。キーピッチは筆者の実測で約19mmと十分なサイズが確保されており、キーストロークもしっかりとしたクリック感があり、使い心地は上々だ。ゲームの移動によく使われる「W」「A」「S」「D」の4キーは半透明のキーキャップが採用されており、判別しやすいのも便利。ゲーミングPCらしくグリーンLEDも内蔵されている。発光色は変更できないが、発光パターンの変更は可能だ。