新年度は何かと重要な契約が増える時期です。また、更新や途中で契約内容が変更となるときもありますので、その都度確認と理解をすることが大切です。

  • 新年度は何かと重要な契約が増える時期

    新年度は何かと重要な契約が増える時期

「契約」に対するイメージは、特別な時にするもので、非日常に感じてしまうかも知れませんが、日々の生活の中にも溶け込んでいます。

例えば、買い物ひとつとっても、スーパー(売り手)と消費者(買い手)が存在していて、スーパーは商品を提供する代わりにその対価となる金銭を消費者から受け取ります。消費者は対価となる金銭をスーパーに渡し、商品をスーパーから受け取ります。

このような場面は息をするくらい当たりまえ過ぎて、意識をしていないかも知れませんが、契約は身近なものから、契約書を作成して双方の実印を押すような重みがあるものまでさまざまあり、どれも法的な効力が発生していることを念頭に置いておきましょう。

「お得なプラン」に注意!

日々の契約の中には「こんなはずでは……」「こんなこと聞いていない」など想定外のことが起こることがあるかも知れません。

例えば、サプリメントや化粧品など「今ならお試し価格500円! 限定100セット限り!」といった広告があったとします。自分自身が気にしている部分に対して、お試し価格で安く改善できるなら、と契約内容や注意書き、約款などをよく読まずに「上記に同意したうえで申し込みます」ボタンをチェックしたところ、実は初回が500円であって、最低でも5回以上の定期購入をしなければ、原則解約できない契約かも知れません。

紙の契約書や約款でも細かい文字でたくさんのことが書かれていて、読むことが面倒だと感じてしまいがちです。最近ではデジタルでの契約も増えてきており、スマホの小さい画面で小さい文字を読むのは苦痛と感じる人も多く、読み飛ばす人も多いのではないでしょうか。そして後から、契約内容を知って500円をはるかに超える金額を支払うことになりかねません。

  • 契約内容や注意書き、約款などはよく読んで

    契約内容や注意書き、約款などはよく読んで

またこの冬は、寒波による電力需要が増加し、さまざまな要因が重なり電力供給がひっ迫し、節電要請がありました。電気料金プランで「市場連動型プラン」を契約者していた人の中には電気料金が10万円を超え、それがSNS上などで話題になりました。「市場連動型」とは、JEPX(日本卸電力取引所)の市場価格に連動して電気料金単価が決まるものです。

つまり、市場価格が高騰すれば利用者の電気料金も高くなり、その逆もあります。ピンポイントで見れば、その月の電気料金が高くなったとしても、他の月は安くなっていたと考えれば、「市場連動型」が必ずしも悪い仕組みとは言い切れず、利用方法によっては割安になるプランとも言えるでしょう。そしてまた、今回の件に関しては、経済産業省の要請もあり、各社対応を発表しています。

問題はその契約内容を消費者がしっかりと確認して、メリットデメリットを理解してから契約をしたのか。そして提供する側は、それをしっかりと説明したのかでしょう。それらメリットデメリットを総合的に考えて、お得だと思って契約をしていたのであれば、仕方のないこととして済んだことでしょう。

以前、携帯電話でも数百万円の請求があり、パケット通信料が高額になったケースがありました。こちらも救済が入ったことで支払わずに済んだケースがほとんどでした。しかし、救済は1回限りといった制限が設けられました。

「契約」はなかみをしっかりチェックしてお金を守る

ただ、このように救済措置が取られることばかりではないのです。そして消費者は常に守られていて、どんな契約もクーリングオフで無条件に解約ができるわけでもありません。困ったときの消費生活センター頼みで、思い通りの回答がでるわけでもありません。だからと言って泣き寝入りをするのも違います。まずは、消費者側から契約の意識を高く持つことが大切でしょう。

細かい文字で書かれた約款や契約書を読むのは苦痛かも知れませんが、読み飛ばすことなく、わかりにくいところは相手方に説明を聞いて、納得してから契約をすることで、後々面倒なトラブルを回避し、結果的にお金を守ることにもつながるでしょう。