俳優の山崎樹範が、東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『その女、ジルバ』(毎週土曜23:40~)の見どころなどを語った。

  • 『その女、ジルバ』に出演する山崎樹範=東海テレビ提供

――演じる前園真琴役についてどのように捉えていますか? 新と婚約していたのに若い女の子に乗り換えて結婚して今では子供もいるという、とんでもない奴。でも、前園は基本流される生き方をしていて、それはそれでありだと僕は共感できるんです。家族をちゃんと守っているという意味では男としての役割を果たしているわけですから、根っからのクズではないと思いたい。視聴者の皆さんに嫌われすぎるのも良くないですし、しょうがない人だなと思って見てくださると嬉しいです。

――現場で印象に残ったエピソードはありますか?

根本和政監督が「僕はコメディを撮るタイプなので、やりすぎと思われるくらいの演技を求めるかもしれません」と仰っていたのですが、自分の演技を見た監督から「ちょっとやりすぎですね」と言われてしまったことです。

前園を演じている中で、彼はふざけている人ではなくて、ふざけたいと思っている人なんだなという理解が一番しっくりきているのですが、いろいろ際立たせずに、ふわっとさせる演技をしたいですね。

――池脇さんと共演されてのご感想は?

何をやっても成立させてくださいます。例えば、気持ちを足してセリフを送ると、スパーンと気持ちよく返してくださる。さすが、池脇さんだなと。

池脇さんや同僚の皆様など現場は女性ばかりなので、大人しくポツンと過ごしています。僕は実家も女系なのでこの雰囲気には慣れていて“女性が大勢いるところでは静かにしていたほうがいい”というのは感覚で分かっていますからね…(笑)

――BAR「OLD JACK&ROSE」のようなお店が、もしあったら?

昔はよく、地方の仕事があると一人でスナックを覗きに行って、そこのお客さんと一緒にまた違うところに飲みに行っていました。BAR「OLD JACK&ROSE」は、いつ行っても変わらない居心地の良さが売りだと思います。店の中だけは時が止まっているようで、ちょっと夢を見ているような感じもありますね。

――そういう居心地のいい場所はお持ちですか?

僕は20歳からお芝居を初めて今や46歳。人生の半分以上お芝居を続けてきましたが、その時間や現場が好きですし、結局一番落ち着くんです。それ以外のことは実はあまり求めていなくて、友だちが何人かいればいいな?ぐらいです。

――新とBAR「OLD JACK&ROSE」の出会いのように、自分の背中を押してくれた環境や人など印象に残っている出会いはありますか?

マンボウやしろさんとの出会いは良かったと思えます。やしろさんとは以前ラジオを一緒に4年半やっていて、その後も10年来の付き合いになります。「人生って、もっと楽しんでいいんだな」と思えたのもやしろさんと出会ってからですね。僕は普段あまり人に相談しないタイプなのですが、彼に相談すると「しげちゃん、これ一択だよ」って明確な答えをくれるんです。しんどい時にやしろさんに背中をさすられると自然に涙が出るというスイッチを握られていた時期もありました(笑)

これから何年もかけて同じような関係性を作るのはとても難しいので、今までの時間の積み重ねや、これまで築いてきた関係性はあらためて大事にしなくてはと思います。

――視聴者の皆さんにメッセージをお願いいたします。

このドラマには「幸せって、自分で決めていいんだ」というメッセージが込められていると思っています。持っている物や生活ぶりはどうでも良くて、登場人物は自分が幸せだと思うものを自分で決めて、選んでいる気がするんです。倉庫勤務の女性3人もそれぞれの選択をします。BAR「OLD JACK&ROSE」で熟女ホステスの方々が楽しそうにしている姿は、何度も自分で選択してきたからこその結果だと思います。 ただ、作品で伝えたいメッセージの中に、前園は入っていないです。でも、それがいいじゃないですか(笑)