2021年は2月3日が立春で暦の上では春を迎えますが、まだまだ寒さは厳しく体調管理には油断は禁物です。健康の基本といえば「食」。毎日の食事は、私たちの健康維持に大きな影響を与えています。
そして食べ物には旬があります。旬の食材は栄養価も高く、一部の高級食材を除けば値段もお手頃になり、しかも美味しいと良いことずくめです。ただ、日ごろ私たちが口にしている食材が「いつ」旬を迎えるのかをご存じない人も多いと思います。
そこで本稿では、旬の時期に2月が含まれる食材をご紹介します。
2月が旬の野菜
春菊
春菊はキク科キク属の植物で、若い葉と茎を食用にします。菊の花は秋に咲くのに対し、春に花が咲く菊ということから「春菊(しゅんぎく)」と呼ばれるようになりました。関西など地方によっては「菊菜(きくな)」と呼ぶこともあります。1年を通してスーパーに並ぶ野菜ですが、茎や葉が柔らかい旬は11月から2月です。
春菊はカロテンを多く含み、カルシウムをはじめ、マグネシウム、リン、鉄分などのミネラルも豊富です。カリウムも多く、ナトリウム(塩分)を排泄して高血圧に効果が期待できます。また、春菊に含まれている香りの成分は自律神経に作用し、胃腸を活性化し、咳や痰を抑える効果があるそうです。
- 美味しい春菊の選び方
色が濃く鮮やかで、葉先までシャッキリと元気なものが新鮮です。鮮度が落ちてくると色あせて黄色みをおびてきます。茎は太すぎず、やや細い方が柔らかく、しっかりと張りがあります。下のほうにも葉がよくついているものを選びましょう。葉のギザギザが浅く葉が広いタイプの方が苦味や香りが穏やかで、切れ込みが深いものの方が風味は強いので、料理方法や好みによって使い分けるといいですね。
- 保存方法
他の葉物野菜同様に、寝かせておくと上に伸びようとするので茎が曲がりやすく、またそれができないと傷みも早くなりますから、できるだけ立てて、乾燥しないように濡れた新聞紙などでくるんでビニール袋やポリ袋に入れて冷蔵庫に保存します。
- 春菊のレシピ
小松菜
アブラナ科アブラナ属の植物で、名前は東京の小松川(現在の江戸川区)に由来します。将軍に気に入られ、献上する際、土地の名前を冠したそうです。また、当時から江戸庶民には親しまれていた野菜で、東京ではお正月のお雑煮に入れる家庭も多いです。栄養価が高く、β-カロテンをはじめビタミン・ミネラルが豊富で、カルシウムも多く含みます。
- 美味しい小松菜の選び方
葉の緑が濃く鮮やかで、シャキッと元気があり、葉に厚みがあるものを選びましょう。茎は太すぎず、白っぽくない薄い緑色をしていると、カロテンなどの栄養も多く含んでおり美味しく食べられます。
- 保存方法
買ってきてそのままむきだしで置いておくとすぐにしなびてしまいますから、乾燥しないように濡らした新聞紙などでくるみ、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜庫室へ早めにしまいます。他の葉物野菜と同じように、根の部分を下にして立てて保存します。
- 小松菜のレシピ
大根
大根は、アブラナ科ダイコン属の1年草で、春の七草のひとつにある“すずしろ”にあたります。種類が豊富にあり大きさや形も様々で、最近では日本でも表面だけでなく芯まで紅い物など、カラフルな大根を作る農家も各地で出てきました。ダイコンのスプラウトは「カイワレダイコン」です。
産地は千葉、北海道、青森が多く、全国でたくさん作られている野菜です。根の部分には主だった栄養成分は含まれておらず、栄養価だけを考えると葉の部分に多く含まれているので、捨てないで料理に使いたい食材です。ただ、水分が多いので低カロリーながら満腹感を得られるダイエット食にはぴったりです。また、ジアスターゼと言うでんぷん分解酵素が多く含まれているので、消化を助け、胃酸過多、胃もたれや、胸やけなどに効果があると言われています。食べ過ぎにもよさそうですね。
- 美味しい大根の選び方
色が白く、触ったときに硬く張りがありみずみずしい物、葉が付いている場合は、葉が活き活きとしているものが新鮮です。持った際にずっしりと重いものを選びましょう。二股三股になっている変形した物は形は面白いですが、堆肥や土の状態が万全でないときにできることが多いので、避けた方がいいそうです。
- 保存方法
葉の部分から水分が失われていくので、付け根近くから葉を切り落とし、根の部分と分けて保存します。ラップでくるむか、濡れた新聞紙で包んでポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れましょう。
- 部位によって美味しい食べ方がある!?
大根は葉が付いている近くの部分は、辛味が少なく硬めなので、サラダや炒め物に。真ん中部分は、みずみずしく柔らかい上に、最も甘みがあるので、おでんやふろふきのような煮物に向いています。根の先に近い部分は辛味が強いので、ピリッとした大根おろしができます。
- 大根のレシピ
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菜の花
菜の花は、「なばな」や「花菜」とも呼ばれるアブラナの花芽です。よくとれる産地は千葉(南房総地域)、徳島、香川で年間通して暖かい地域で栽培されています。主に京都の長岡京市などで作られている「花菜」はブランド京野菜として知られています。爽やかな香りとほんのりした苦味が楽しめる野菜です。βカロテンやビタミンB群も豊富に含まれています。
- 美味しい菜の花の選び方
菜花類はなるべく花が咲いていない若い物で、葉や茎がシャキッとした新鮮なものを選びましょう。切り口をみて、茶色く変色した物は古いので避けたほうがいいですね。
- 保存方法
菜花類は、そのままむきだしで置いておくとすぐにしなびてしまいます。濡らした新聞紙などでくるみ、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜庫に入れて保存します。香りを楽しむ食材なので、できるだけ新鮮なうちに食べましょう。
- 菜の花のレシピ
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芽キャベツ
芽キャベツは、キャベツと同じアブラナ属の一種です。花の芽に見えますが、一般的なキャベツなどのように主軸の頂芽が結球するのではなく、葉の付け根に出てくる脇芽が結球しているものです。産地は全国の大半を静岡県のJA遠州夢咲が生産しています。高温と湿気に弱いので、収穫時期は11月中旬から3月までに限られて、美味しい芽キャベツが旬は晩秋から春先までの寒い季節に限られます。
風邪の予防や疲労の回復、肌荒れなどに効果があると言われるビタミンCはキャベツの約4倍、血液の凝固促進や骨の形成に貢献しているビタミンKも約2倍含まれています。また、強い抗酸化作用によってがん予防に役立つといわれているルテインも、サボイキャベツ(ちりめんキャベツ)、ブロッコリーに次いで、含有量の多い野菜です。
- 美味しい芽キャベツの選び方
できるだけ大きさや形が揃っていて、緑色が濃く、硬くしっかりと巻いていそうな物を選びます。
- 保存方法
洗わずに、乾燥しないよう通気性のあるビニール袋などに入れ、冷蔵庫で保存すれば生で1週間程度もちます。
2月が旬の魚類
2月は雪が降る日が多い季節で、寒さも厳しいですが、海の幸はますます脂がのって美味しい時期になります。
ブリ
ブリはアジ科ブリ属の一種。冬に佐渡辺りから能登半島辺りで獲れる脂がのった大物の「寒ブリ」は高級魚ですが、夏などに獲れる小さいものは非常に安い総菜魚として扱われます。成長するにつれて呼び名が変わる出世魚の代表格でもあり、関東では、ワカシ(15~30cm程度)→イナダ(30~50cm)→ワラサ(50~60cm)→ブリ(60cm以上)と成長すると名前が変化します。
- 美味しいブリの選び方
目がみずみずしく張りがあり、透明感がある物が新鮮で、目が白濁しているもの、乾いているものは避けましょう。全体によく太っていて大きいものの方がよく脂がのっています。スーパーなどに売っている切り身の場合は、血合いの色が赤い方が新鮮で、ドリップなどが出ていないこともチェックしましょう。
- ブリのレシピ
かき
日本全国では、養殖カキで有名な「真牡蠣(マガキ)」や天然の「岩牡蠣(イワガキ)」など約25種類のカキが獲れます。真牡蠣は夏場に産卵期を迎えるため、身が痩せて美味しくない上に、菌の繁殖が活発になるため、食中毒の危険が増します。そのために「牡蠣を食うのも花見まで」と言われることも。
「海のミルク」と呼ばれるかきは「完全栄養食品」という別名もあります。糖質の50%以上が、効率よくエネルギーに変わるグリコーゲンで、肝臓の機能を高め疲労回復を助け、筋肉や脳の働きを活発にします。鉄や銅などのミネラルを多く含むので貧血予防にも効果が期待でき、必須ミネラルの亜鉛や豊富なタウリンも含みます。さらに、コレステロールの上昇を抑える作用やもあるようです。
- 美味しいかきの選び方
岩ガキを選ぶときは、なるべく全体に丸い形のものを選びます。殻のフタが少し開いているものは少し触れてみて勢いよく閉じるかを確認しましょう。閉じないものは死んでいる場合があり、そうでなくても中の水が流失し、持ちが悪くなっていることが多いそうです。
牡蠣の場合は、養殖といっても配合飼料を与えたりするわけでなく、自然の海中の中で育ち、もともと動き回る生き物でもないので天然物と味的にはさほど変わりません。むしろ養殖の方が餌となるプランクトンが多いところを選んで育てられることなどから、成長も早く実入りも良い場合もあります。
- かきレシピ
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まとめ
温かい鍋やスープにすると美味しく食べられる食材が、たくさん旬を迎える2月。火を入れることでカサが減るので野菜をたくさん食べることもできるし、脂がのって美味しい時期の魚もヘルシーに楽しみたいですね。