昇級の懸かる大一番でも山崎八段は初手から独創的な指し回しを見せる
第79期順位戦B級1組(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の12回戦が2月4日に東西の将棋会館で一斉に行われています。全13回戦と長丁場のB級1組も残るは2戦。9勝1敗の成績で、2番手に星2つ差をつけて首位を快走する山崎隆之八段は、最終戦前に昇級を決めることができるでしょうか。
B級1組の在籍連続13期目の山崎八段が、悲願のA級昇級のビッグチャンスを迎えています。残り2戦で自身が1勝するか、ライバルの永瀬拓矢王座、郷田真隆九段のどちらかが1敗でもすれば昇級となります。
本日は久保利明九段との対戦。初手から山崎八段らしさ全開の将棋を披露しています。
山崎八段は本局先手番。初手から順に、▲9六歩~▲7八銀~▲6六歩~▲6七銀という進行。仮に名前を伏せたとしても、誰が指しているのかは一目瞭然です。この時点ではまだ居飛車か振り飛車かは明示しない進行でしたが、その後山崎八段は飛車先の歩を突いていって居飛車を選択。久保九段はまだ態度を明らかにはしていませんが、振り飛車党の久保九段ですから恐らく一風変わった対抗形の将棋になるでしょう。
本局の進行を見ても分かるように、オリジナリティ溢れる山崎将棋。一見するとバラバラで、いつ空中分解してもおかしくないような陣形をまとめ上げてしまう山崎八段の独特の指し回しは見る者を魅了します。
昨日行われたA級順位戦では、将棋連盟会長の佐藤康光九段が豊島将之竜王を相手に、こちらも独創的な駒組みを展開。△2三飛・△2二銀型の向かい飛車という見たこともない珍妙な陣形を構築し、豊島竜王を破って勝利を収めています。
佐藤康九段はA級残留を決めています。もし山崎八段がA級に昇級すれば、来期はこの両者の対決が実現。初手から目が離せない対局となること必至で、待ち望むファンも多いでしょう。
持ち時間が6時間のB級1組の終局時間は日付が変わる頃となりそうです。早くも目が離せない山崎八段の将棋は、「名人戦棋譜速報」や「将棋連盟Live」などのサービスで観戦することができます。