本記事では「あだ花(徒花)」という言葉の意味や使い方、類語・対義語・英語表現について紹介します。
見たことがない・聞いたことがないという方は、本記事に出会ったことをキッカケに、この言葉の使い方を知り、さっそく今日から使ってみてはいかがでしょうか?
あだ花(徒花)の意味
あだ花(徒花)とは、実を結ぶことなく、はかなく散り去る花のことです。そこから転じて、見かけは華やかであっても内容や結果を伴わない物事を指して「徒花」と表現するようになりました。そのほかにも、「季節外れの花」「儚く散る桜の花」という意味でも用いられます。
「徒」という言葉には、「無益」「実りがない様」という意味があり、そこに「花」を合わせることで、上記の意味合いを持っていると覚えておきましょう。
<例文>
- 一世を風靡した巨大企業であったが、今や見る影もなく時代の徒花となった
- 立派なように見えるが、所せんは徒花だ
- 冬の晴れた日に徒花が咲く
ビジネスシーンにおける「徒花」の使い方・例文
ビジネスシーンにおいて「徒花」という言葉を用いるシチュエーションを紹介します。
<例文>
- 徒花に実はならぬというから、1つずつ着実に積み重ねていこう
上記の用例では、「徒花に実はならぬ」ということわざとして使っています。中身が伴ってない計画は、見た目がよくてもいい成果は得られないから、そうならないように努力しよう、という意味です。
徒花は、悪い意味で使われることが多い言葉ですが、悪い意味を例に出しながら、努力を促し鼓舞するためにも使うことができます。
「徒花」の類語
徒花の類語には、「見掛け倒し」「水の泡」「虚飾」「虚栄」などがあります。以下、それぞれの言葉の意味を紹介します。
見掛け倒し
見掛け倒しとは、外見は優れていても、中身は劣っているという意味です。
<例文>
- 強そうに見えても、実は見掛け倒しだ
水の泡
水の泡とは、努力や苦労が報われず、無駄に終わってしまうことです。また、水の泡は、すぐに壊れてしまうことと、中身が空洞であるため、うつろいやすく、はかないものや何も残らないという例えにも使われます。
- 彼の努力は水の泡となってしまった
- せっかくここまで作ったのに水の泡だ
虚飾
虚飾(きょしょく)とは、上辺だけで中身が伴わないことを意味します。「虚」は、うつろ、むなしいという意味があります。「飾」という漢字と合わせることで、きらびやかに飾り立ててはいても、中身が伴っていないという意味の熟語になります。
<例文>
- 虚飾に満ちた生き方だ
虚栄
虚栄(きょえい)とは、実質の伴わない表向きだけの栄誉や、外見を飾って本来の姿以上に見せようとすることです。虚栄はこの名詞そのものよりも、「虚栄心」という言葉として使われることが多いでしょう。
<例文>
- 学生時代の友人と久しぶりに飲み会をしたとき虚栄心が芽生えてしまい、つい見栄を張ってしまった
「徒花」の対義語
徒花の対義語としては、「実る」「結実(けつじつ)する」などがあげられます。
<例文>
- 努力が実る
- 長年の研究がついに結実した
「徒花」の英語表現
徒花という言葉のニュアンスを英語で表現する場合には、「nominal」や「titular」を用いるとよいでしょう。以下、順に使用例を紹介します。
nominal
「nominal」には、名目上の・名前だけの、といった意味があります。nominalは、名詞の「nomin」に形容詞の「al」をつけた単語です。名目上ということは実質を伴っていないということなので、徒花と似通った意味になります。
<例文>
- Growth in nominal GDP.
名目上のGDP成長。 - Nominal disposable income.
名目上の可処分所得。
titular
「titular」も同じく名目上という意味で使われています。上述の「nominal」と違う点は、人物などに使われる点です。
<例文>
- titular head of a company.
名ばかりの社長。 - The honorary or titular head of a university.
大学の名目上のトップ。
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以上、「徒花」という言葉の意味や使用例、類語、対義語、英語表現について紹介しました。語彙力を高めることは、コミュニケーション能力の向上に寄与します。言葉の意味を正しく理解して、日常生活やビジネスシーンに活かしていきましょう。