日本通信は2月2日、NTTドコモと協議してきた音声卸料金の改定について、ドコモと合意したことを発表した。この合意により、原価ベースの卸料金で音声通話サービスを調達できるとし、「これまで以上に魅力的なサービスの提供に務める」としている。
独自の無線設備を持たないMVNOが、キャリアの通信網を利用してデータ通信サービスを提供する場合、多くは帯域幅単位による卸し値で回線を購入している。また、ドコモの場合、音声通信サービスは1契約当たりの基本料金のほか、30秒当たりの通信料金が設定されている。
この卸し値の設定に問題があるとして、日本通信はドコモと音声卸料金について協議してきたが不調に終わり、2019年11月に総務大臣裁定を申請していた。この結果、2020年6月に音声卸料金について「原価ベース(能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた金額を超えない額)で設定するもの」とする裁定案が発表され、今回の合意に至ったという。
なお、日本通信が同時に裁定を申請していた、音声通信の定額料金設定については、通話時間が増大した場合(原価割れした場合)キャリア側が一方的にリスクを負うという判断から、裁定案では「(ドコモが自社で提供している通話定額サービスと同水準の料金設定は)適当でない」とされた。
合意に基づく音声卸料金は、2020年6月の総務大臣裁定に遡って適用される。このため、日本通信の第3四半期連結累計期間(2020年4月~2020年12月まで)において、3億1,800万円の原価低減の影響があるという。