1敗で首位の斎藤慎太郎八段を2敗の豊島将之竜王、広瀬章人八段が追いかける
第79期A級順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の8回戦が2月3日に東西の将棋会館で一斉に行われています。名人への挑戦権争いも、残留争いも白熱している今期のA級順位戦もあと2戦を残すのみです。
7回戦終了時のリーグ表。全員が挑戦か降級のどちらかに絡む混戦模様
A級順位戦は7回戦までは別々の日程で進行しますが、ラス前の8回戦と最終の9回戦は一斉に行われます。本日行われている5局の対戦カードと戦型は以下の通りです。
▲稲葉陽八段(2勝5敗)-△斎藤慎太郎八段(6勝1敗)
居飛車党同士の対局は角換わりになりました。稲葉八段が早繰り銀を採用し、斎藤八段が腰掛け銀で迎え撃っています。
▲豊島将之竜王(5勝2敗)-△佐藤康光九段(3勝4敗)
佐藤康九段が得意の角交換向かい飛車を採用。豊島竜王は交換になったばかりの角を19手目に早くも自陣に据えて、相手の攻撃陣をけん制しています。
▲羽生善治九段(3勝4敗)-△広瀬章人八段(5勝2敗)
戦型は両者得意の角換わりに。稲葉-斎藤戦とは異なり、本局は相腰掛け銀模様の進行になっています。
▲佐藤天彦九段(4勝3敗)-△糸谷哲郎八段(3勝4敗)
昨年から振り飛車の採用が目立つようになってきた佐藤天九段が、本局でも飛車を振りました。佐藤天九段の三間飛車対糸谷八段の左美濃という戦型になっています。
▲菅井竜也八段(3勝4敗)-△三浦弘行九段(1勝6敗)
振り飛車党の菅井八段が得意の先手中飛車を採用。1筋の端の位を取った三浦九段に対し、菅井八段は美濃囲いを選択しました。端の圧力を緩和するために穴熊に囲うという選択肢もあったところ。美濃にしたということは、素早い仕掛けを狙っているのでしょうか。
挑戦と残留の条件をまとめます。名人への挑戦の可能性があるのは、斎藤八段、豊島竜王、広瀬八段、佐藤天九段の4人。
1敗の斎藤八段は自力で、2連勝で文句なしの挑戦、1勝1敗なら最低でもプレーオフ進出となります。また、8回戦で自身が勝利し、豊島竜王と広瀬八段がともに敗れると、最終戦を待たずして挑戦が決まります。
2敗の豊島竜王と広瀬八段は最終戦の9回戦で直接対決が残されています。8回戦を勝利して直接対決に臨みたいところです。佐藤天九段は自身の2連勝が絶対条件。その上で上位3人が崩れなければならないので、挑戦はかなり厳しいでしょう。
一方の降級の可能性があるのは、佐藤康九段、羽生九段、糸谷八段、菅井八段、稲葉八段、三浦九段の6人です。
3勝4敗の佐藤康九段、羽生九段、糸谷八段は稲葉八段よりも順位がいいため、残り2戦で1勝すれば残留が確定します。同じく3勝4敗の菅井八段は稲葉八段よりも順位が悪く、4勝目を挙げても降級の可能性が残ります。
苦しいのは三浦九段。自身が2連勝した上で、菅井八段が2連敗、稲葉八段が1敗以上してくれなければ降級となります。
すべての対局が終局するのは、日付が変わった後になる見込みです。最終戦が行われる2月26日をどのような形で迎えることになるのか、注目です。