シャオミは2月2日、ソフトバンクから発売する5Gスマートフォン「Redmi Note 9T」および、SIMフリー市場向けの「Redmi 9T」を発表しました。
「Redmi Note 9T」は、昨年(2019年)auから発売された「Mi 10 Lite 5G」に続く、大手キャリア独占販売モデル。シャオミのスマートフォンで初めておサイフケータイを搭載するなど、日本向けのカスタムも加えられています。新端末および、今年の日本での展開について東アジア担当ゼネラルマネージャーのスティーブン・ワン氏を取材しました。
ユーザーの声から「おサイフケータイはマスト」で搭載
2020年第3四半期にAppleを抜いて世界シェア3位に浮上するなど、グローバルのスマートフォン市場で急成長を続けているシャオミ。日本市場でも2019年12月の参入からわずか1年足らずで、大手キャリアでの取り扱いが開始されたほか、SIMフリー市場でもシェアを獲得するなど存在感を増しています。ワン氏は「2020年は日本のユーザーの声を聞き、学び、日本での基盤を構築するための1年だった」と、振り返ります。
「実際に我々の製品に対する、ありとあらゆる記事、レビュー、批評、コメントに、ほとんどすべて目を通しています。そうやって多くのユーザーの声を聞く中で、おサイフケータイの搭載はマストであると考えました。では、どうすればFeliCaを搭載できるのか。会社としても初めての挑戦でしたが、今回Redmi Note 9Tで実現することができました」。
「Redmi Note 9T」は、メディアテック製のミドルレンジ向けチップセット「Mediatek Dimensity 800U」を採用するスマートフォン。5G対応に加えて6.53インチFHD+の大画面ディスプレイ、デュアル・オーディオ・スピーカー、4,800万画素(メイン)+200万画素(ポートレート)+200万画素(マクロ)の3眼カメラに、5,000mAhの大容量バッテリーを搭載し、おサイフケータイも利用できます。
驚くのはその価格で、ソフトバンク直営店での販売価格は2万円を切る19,637円(税別)。ソフトバンクの5Gスマートフォンではもちろん、国内で販売されている5Gスマートフォンの中でも、おそらく最安値に相当する価格です。
それでいて決して安っぽい仕様ではなく、前述のスペックに加えてディスプレイにはコーニング社の強化ガラス「Gorilla Grass 5」、背面には指紋が付きにくいつや消し加工のポリカーボネートを採用。顔認証に加えて側面には指紋認証センサーも搭載し、ヘッドフォン端子も備わっているなど、満足のいく製品になっています。
ソフトバンクに採用された理由は?
低価格を実現できた理由を尋ねたところ、「ビジネスモデルが他社とは異なるため」とワン氏。シャオミでは、ハードウェア事業の利益率を5%以下に抑えることをユーザーにコミットしていて、実際に売り上げの多くをスマートフォンが占めるメーカーながら、スマートフォンの利益率が低い。狙いはその先のIoTエコシステムやサービスにあるため、「消費者の視点に立ったベストバリューのスマートフォンが提供できる」といいます。
2019年のauに続き、今回ソフトバンクに採用された理由については、世界第3位という実績や高い製品クオリティ、日本のユーザーから得た信頼に加えて、「シャオミだからできる価格や、ユーザー体験に期待されている」と受け止めているのこと。
シャオミでは2021年、この「Redmi Note 9T」を皮切りに、5G体験をより多くのユーザーに届けるべく日本でのラインナップを拡充予定。ワン氏は、コストとバリューの両面で「5Gスマートフォンを変革していきたい」と話します。
15,900円の「Redmi 9T」はSIMフリーで発売
「Redmi Note 9T」は2月3日予約開始、2月下旬に発売予定ですが、2月5日にはひと足早く、SIMフリー市場向けの「Redmi 9T」が発売になります。
こちらは6.53インチFHD+のディスプレイにチップセットには「Qualcomm Snapdragon 662」、4,800万画素(メイン)+800万画素(超広角)+200万画素(ポートレート)+200万画素(マクロ)の4眼カメラを搭載。6,000mAhの大容量バッテリーを採用しながら、ぎりぎり200gを切る198gを実現しています。市場想定価格は15,900円(税別)。もはや価格破壊と言ってもいい水準です。
「価格だけでなく大容量バッテリーやデュアルスピーカーなど、我々の製品にはほかにはない強みがある」とワン氏。「エントリーモデルこそ、見やすいフルHDや、スムースに操作できるUIが必要」とも話し、「スタンダードフォンとして高い品質を備えている。もし自分が選ぶとしてもこれを選ぶ」と自信をのぞかせました。
2021年は「結果の年」、日本市場へ本腰
シャオミでは今回、「Redmi Note 9T」「Redmi 9T」のスマートフォン2機種に加えて、「Mi Watch」「Mi Watch Lite」のスマートウォッチ2機種、「Mi 360°家庭用スマートカメラ2K」も同時発表しています。ワン氏によれば、2021年にはこれらも含めて15種類を超えるIoT製品を発売予定とのこと。
取り扱い製品ラインナップの拡大にあわせて日本のオフィスも拡張する計画で、R&Aセンターの技術者および従業員も2倍程度増員されます。「基盤づくりの1年だった2020年を経て、2021年はいよいよ結果が出てくる1年」とワン氏が話すように、いよいよシャオミの日本市場へ向けた本気が見られる1年になりそうです。