気持ちのいい飛車の活用でリードを奪って快勝。3連覇まであと1勝とする

将棋のタイトル戦、第70期王将戦七番勝負(主催:スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)の第3局、▲渡辺明王将-△永瀬拓矢王座戦が1月30、31日に栃木県「ホテル花月」で行われました。ここまで2連勝で本局を迎えた渡辺王将が一気の3連勝で防衛に王手をかけるのか。それとも永瀬王座が反撃を開始するのか。注目の一局は、115手で渡辺王将が勝利を収めました。

第2局は大逆転で勝利した渡辺王将。先後が入れ替わった本局の戦型も、その第2局と同じ相掛かりとなりました。

歩をどんどん取らせる代償に、主導権を握って攻めていく渡辺王将。永瀬王座の飛車を馬と銀で封じ込めます。そして、それとは対照的に自らの飛車を縦横に大きく活用した順が好手順で、優位を確かなものとしました。渡辺王将は「2五飛と浮いたところで良くなったと思った」と局後に振り返っています。

渡辺王将の飛車は敵陣に侵入し、竜に昇格。一方の永瀬王座の飛車は成桂との交換になってしまいました。苦しい形勢ながらも粘る永瀬王座ですが、渡辺王将の竜を中段に引いた手が決め手に。永瀬玉の上部脱出への望みを絶つ一手です。最後は渡辺王将が永瀬玉を即詰みに打ち取って終局となりました。

この勝利で渡辺王将は3連勝。3連覇となる防衛まであと1勝としています。一方追い詰められた永瀬王座。渡辺王将との対戦成績は3勝14敗で、現在7連敗中と苦しんでいます。シリーズを落とさないためにはもちろんのこと、対渡辺王将戦の悪い流れを断ち切るためにも次局は是が非でも勝ちたいところです。

第4局は2月13、14日に東京都「SORANO HOTEL」で行われます。

「4強」と並び称される永瀬王座相手に3連勝とした渡辺王将(提供:日本将棋連盟)
「4強」と並び称される永瀬王座相手に3連勝とした渡辺王将(提供:日本将棋連盟)