この記事では、ビジネスシーンで使用する機会がある「準拠」という単語の意味や使い方、類語や反義語、英語表現について説明します。日常生活では使用することが少ない言葉ですが、意味を正しく理解してビジネスシーンで活用しましょう。
準拠の読み方と意味
準拠は「じゅんきょ」と読み、「あるものを拠り所にしてそれに従うこと」という意味です。また、その「拠り所」自体を示す場合もあり、名詞に分類されます。既存の基準や規格などに準ずることを表し、会話よりも文書でよく使用される点が特徴です。
準拠の使い方
準拠は法律や契約書、文書などさまざまなシチュエーションで使用される言葉です。どのような使い方をするのか、ビジネスシーンに沿った例文と併せて使い方を解説します。
- 何かに従って物事を行う場面
ビジネスシーンでは、法律などに従う必要のある場面が多々あり、何かに完全に準じて物事を行う場面では「準拠する」や「準拠させる」といった使い方をします。
例えば
「当社は法律に準拠します」
「社員にコンプライアンスに準拠させる」
といった使い方が可能です。
努力義務ではなく、何かに則った行動を示す言葉として主に法律関係の文章で使用されます。
- 何かに従っていることを示す場面
何かに完全に準じている状態を示す場合は、「○○準拠」のような使われ方が一般的で、本や参考書などによく見られます。
参考書を例に出すと、「〇〇教科書に完全準拠」という表記があれば、内容がその分野全般ということではなく、「この参考書は○○教科書に完全に則った参考書です」という意味になります。
また、「準拠枠」という言葉は「対象を認識しそれを解釈規定する際、基準として働く判断の枠組み」を意味する社会学・心理学用語です。
準拠の例文
ここからは「準拠する」と「準拠させる」の例文を紹介します。
- 準拠する
意味としては「既存の物に従って○○をする」という内容になりますので、例文を参考に使い方を覚えておきましょう。
例文としては
「改正法案は既存の法律に準拠している」
「国際的な基準に準拠したWEBコンテンツを作成する」
「本サービスは当社規定に準拠しています」
などのように使います。
- 準拠させる
「ある行為をするように仕向ける」という使役の意味がある「させる」が加わると、「準拠させる」という形になります。
「商品をこの仕様に準拠させる」
「生徒の服装を校則に準拠させる」
「コンテンツを学習目標に準拠させる」
などのように使用しましょう。
準拠が使われる単語
準拠が使われる言葉には、「完全準拠」や「準拠法」といった単語があります。これらの言葉は、聞いたことはあっても意味は曖昧という人も多いのではないでしょうか。
ここからは、よく使われる単語の意味を説明します。
■完全準拠
「完全準拠」とは、欠けたところや足りないところが全くないように、あるものに従うことです。
参考書や問題集でよく使われ、「○○検定完全準拠」と表記されていれば、単に関係のある分野のことが書かれているだけではなく、この検定の内容を完全に網羅した内容であるということが分かります。
■準拠法
「準拠法」とは、契約を履行しなかったときや、契約の解釈などの契約内容に関して争いになったときに適用される法律のことです。「準拠法」という言葉で、契約書に条項として明記されることが通例となっています。
準拠法は国際取引でよく用いられ、取引において問題が発生したときに、どこの国のどの法律を拠りどころにして解決するかを定めたものです。
例えば、日本国内での国際取引の場合、準拠法は日本の法律であることが一般的ですが、仮に準拠法を明確にしないまま契約にサインしてしまうと、後に問題が生じて交渉などが必要になった際に不利になる可能性が高いので気をつけましょう。
また、過去の事例を見ると、裁判管轄などの事案になった場合、裁判所などの判断機関は準拠法に基づいた判断を下しているケースが多く見られます。国際取引を行う場合には特に注意が必要です。
■準拠集団
準拠集団とは、心理学用語で「ある人の価値観、信念、行動、態度などに強い影響を与える集団」を意味します。例えば、家族、学校、職場、地域の友人や知人のグループ、最近ではSNSでのつながりなどがこれに当たります。
具体例として、「家族の中では当たり前だったことが、世間一般では驚かれるようなことだった」という経験はないでしょうか。これはまさに、準拠集団によるものです。
なお、準拠集団は現在の所属集団のみとは限りません。その人が過去に所属していた集団、これから所属するかもしれない集団も、その人に影響を与える準拠集団として考えられます。そのため、準拠集団は複数に所属していることが一般的です。
また、「お友達のみんなが持っているから、私も欲しい」といった考えも集団準拠によるもので、このような消費者行動は企業のマーケティングに活用されています。
準拠の類義語
準拠の類義語にはどのようなものがあるのかを紹介します。準拠の意味は「あるものをよりどころにしてそれに従うこと」でしたが、ここでは類義語として「従う」「則る」などの言葉の意味を解説します。
- 従う
「従う」は準拠の類義語として「法律、習慣、意見などに逆らわないでその通りにする」という意味を持っています。
「上司の指示に従う」「見本に従って制作する」「表紙意に従って進む」といった使い方をしましょう。
- 則る
「則る」は「のっとる」と読みます。「のりとる」からの音変化で、「基準、規範として従う」という意味があります。
「法に則って裁く」「伝統に則って執り行う」「就業規則に則って申請する」といった使用方法です。
- 標準
「標準」は「平均的であること」の他に「判断のよりどころや行動の目安となるもの」「基準」という意味があります。例えば、「プロジェクト完了の標準を月末に定める」といったように使えます。
- 依拠
「依拠」は「いきょ」と読み、「たよりとするところ、支えになるもの」という意味の他に、「成り立つもとになるもの」「根拠」という意味があります。
準拠の類義語としては後者の意味となり、「主張の依処はこの論文である」「判例に依拠する」といった使い方が可能です。
準拠の対義語
準拠の対義語は「非準拠」です。「非」は名詞や形容動詞の接頭語であり、「それに当たらない、それ以外である」という意味を持つので、「非準拠」の意味は「準拠に当たらない、準拠以外であること」を指します。
準拠の英語表現
ここでは、名詞の他に「準拠する」という動詞としての英語表現を紹介します。「準拠法」のように、海外取引にも関わる可能性があるので、そのような機会がある人は確認しておきましょう。
■base on
「base」には「土台」や「基礎」といった意味があり、「base on」で「準拠する」「~に基礎を置く」「基礎づける」という表現になります。
また、現在分詞は「basing on」、過去形「based on」、過去分詞「based on」、三人称単数現在「bases on」のように変化するので、覚えておきましょう。
例文は以下の通りです。
Evaluate based on the degree of achievement of goals.(目標達成度に基づいて評価する)
■conform to
「conform」には「従う」「準ずる」といった意味があり、「confrom to」は「準拠している」という意味になります。
前出の「base on」に比べ、より形式的な表現です。複合動詞は現在分詞「conforming to」、過去形「conformed to」、過去分詞「confomed to」、三人称単数現在「confroms to」のように変化するので一緒に覚えておきましょう。
例文は以下の通りです。
Conform yourself to company policy.(会社の規則に準拠する)
準拠の意味や使い方を理解しよう
本記事では、準拠の意味や使い方、完全準拠などの単語の意味、類語や反義語、英語表現などについて解説しました。
日常生活ではあまり使用する機会のない言葉ですが、ビジネスシーンではよく目にしたり、使用したりすることがある単語です。意味を的確に把握することで、自信を持って準拠という言葉を使用しましょう。