フジテレビは、「これからのSNS対策の在り方について」とする検討報告書を取りまとめ、今月13日に開催された同局の番組審議会で報告した。

フジテレビ本社=東京・台場

同局では、リアリティ番組『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』に出演していたプロレスラー・木村花さんが、SNSでの誹謗中傷により亡くなったとされることを受け、昨年7月に公表した番組制作過程の検証報告で「一般の方に長期にわたって出演して頂く番組においては、出演者のSNSが炎上するリスクを考慮し、より適切な対応ができる体制を整備する必要がある」と言及。

同年10月、総務局長を委員長とした社内の法務、コンプライアンス管理部門、各制作部門の危機管理担当者などの社内横断メンバーによる「SNS対策委員会」を発足させ、SNSのリスクマネジメントについて検討を行ってきた。

それを取りまとめた今回の検討報告書では、▽既存ガイドラインの見直しと、SNSリスクを管理するための社内体制を整備 ▽リスク検知として、社内情報集約やモニタリングの体制 ▽リスク対応として、トラブル発生時における迅速な対応、メンタルケアも含めた解決体制、を整備するとした。

また、SNSリテラシーを向上した上で、SNSの適切かつ効果的な利用を推進。この対応策を主導・運用する部署として「SNS対策部」(仮称)を新たに設置し、SNSに関わるリスクマネジメントを全て担当していく体制とする。

この報告に対し、番組審議会の委員からは「自分を絶対正義だと思い込んで、ダメだと思うと一斉に叩く文化。バッシングカルチャー自体にテレビも働きかけていくことを考えていただければと。対症療法ではなくて、もっと根本的な問題にテレビが取り組めないかを申し上げておきたい」という意見が出された。

なお、『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020』については、木村花さんの母親が、娘の死は番組内の「過剰な演出」がきっかけでSNS上に批判が殺到したためだとして、BPO放送人権委員会に人権侵害を申し立てており、現在審理が進められている。