「職人気質」は読み方に悩んでしまう人もいるのではないでしょうか。読み方によって意味が変わってしまうので、正しく使えるように把握しておくことが重要です。また、どのような人のことを指しているのかも解説していくので、使える対象についても把握しておきましょう。
「職人気質」の意味・読み方
「職人気質」は、職人社会に特有の「自分の腕に自信があり、頑固であるが仕事に対して実直な性質」を指します。読み方は「しょくにんかたぎ」。読み方を間違えてしまう人が多いので注意が必要でしょう。
頑固で気難しく感じられますが、その理由は自分自身の仕事や腕に誇りを持っているからであり、仕事を任せられたら自分の納得のいくまで仕事を進めていくような気質です。
職人気質は人の性格や性質を表す言葉なので、職人に限らず、誰に対してでも使うことができます。
「気質」には読み方が2つ! 「かたぎ」と「きしつ」
「気質」には読み方が2つあり、「かたぎ」もしくは「きしつ」と読むことができます。「気質(かたぎ)」と読む場合には、職種や地域、身分によって共有される同じような性格といった意味で使われます。
反対に「気質(きしつ)」と読む場合には、ある人の気性について言い表したいときに使われます。「職人気質」を「しょくにんきしつ」と読む場合の意味は、血縁によって受け継いだ先天的な性質のことを指しています。
例えば、「彼の性格は父から受け継いだ職人気質である」というような使い方をし、先天的なその人の性格を表すことができます。「かたぎ」は集団としての共通の性質を表す言葉であり、「きしつ」は個人の性質を表す言葉です。
「職人気質」な人の特徴とは
では「職人気質」な人とはどのような性格や人のことを指しているのでしょうか。さまざまな特徴があり、どれもいい面もありますが一方で周りの人には敬遠されてしまうようなことがあるのかもしれません。
頑固で自分の考えを曲げない
「これが正しい」「~するべきだ」と判断したことに関しては、基本的にどのようなことでも自分の考えを曲げません。人の意見を取り入れようとしないので、他の人との衝突が起きやすいといえます。
自分にも他人にも厳しい
仕事に対して誇りと熱意を持っている人なので、さらに高みを目指してストイックに取り組みます。自分に対しても厳しく、もっといいものにするための努力を怠りません。妥協することがないので、品質を大事にすることにもつながります。
一方、同じように他人にも厳しいので、自分の求めるレベルに達するまで納得しません。そのため、仕事にそこまで熱心ではない人からしたら、面倒に感じることもあるでしょう。厳しい雰囲気を感じるので、「恐い・いつも怒っている」という印象を抱かれてしまうことも多いようです。
責任感が強い
1度任された仕事に対しての責任感が強く、途中で放棄することも誰かに任せることもしません。責任が重い仕事であっても、完璧を追い求めていくので仕事の面で安心感があり、重要な仕事を任されることも多いでしょう。
また、プライドが高いので人に頼ることができません。手伝えることや分担できることがあるかを聞いたときにいつも「大丈夫」と答える人は、「職人気質」な一面があるといえるでしょう。
何度でもチャレンジし続ける
「ここらへんでいいか」という妥協は一切しません。仕事に対してストイックな姿勢で向き合うので、納得がいく作品や結果を得られるまで何度でもチャレンジし続けます。
仮に失敗してもそれすら糧にしてやり抜くという熱意を持つ人です。グループの中にいたら厄介に感じる人もいるかもしれません。
「職人気質」の使い方
「職人気質」の使い方をパターン別に、例文とあわせて紹介します。意味はひとつですが、ポジティブな誉め言葉にもネガティブな言葉にも使うことができるので、使う際には注意が必要でしょう。
人の性格を表現したい場合
頑固で真面目、仕事に対して熱心な性格を指したいときや、プライドが高く、自信があるような人のことを表現したい場合に「職人気質」を用いて言い表すことができます。
「職人気質な性格なので、他の人の意見は取り入れないだろう」「彼は職人気質なところがあるが、思いやりのある性格です」のように、その人の性格や特性について表現します。
職人に対しての誉め言葉として使いたい場合
「職人気質」は、自分自身の仕事に責任を持ち、最後までやり抜くという意味を持っているので、職人に対する敬意を示すときにも誉め言葉として使うことができます。
「職人気質の人だから品質に安心感がある」などと、仕事熱心で質にこだわってくれるような人に対する誉め言葉として使うといいでしょう。
ネガティブな意味合いで使う場合
頑固で気難しい人・厳しくて恐い人という意味でとらえた場合は、マイナスな表現方法としても使うことができます。誉め言葉にもネガティブな言葉にもなるので、文脈から判断する必要があるので注意が必要です。
「あの人は職人気質だからなんとなく恐いイメージだ」など、その性格から付き合いにくさを感じる際の表現です。
「職人気質」の類語
「職人気質」と似たような意味で認識されている言葉があります。しかし、使い方はさまざまで、少しずつニュアンスが異なってくるので、それぞれ意味と違いを把握しておきましょう。
「商人気質」
読み方は「あきんどかたぎ」で、商人特有の利益と信用を大切にする気性のことを指しています。
「職人気質」と同じく仕事に対して一生懸命で熱心な様子を表しますが、「職人気質」は利益よりも品質やレベルの高さを大事にし、「商人気質」は品質よりも利益を重視している点が異なっています。
また、「商人気質」は人の性格や性質を言い表したい場合には使われず、商人という職業限定で使われる言葉です。「職人気質」は人の性格にも使うことができるので、使い方を混同しないように注意が必要です。
「職人魂」
読み方は「しょくにんだましい」で、職人としての誇りや威厳を持って仕事に取り組む姿や、プロ意識のことを意味します。
専門的な技術が必要となるような職人や仕事に対して使われ、「職人気質」よりも新しい言葉です。特に、手仕事でものを作るような職人に対して使われがちな言葉です。
「頑固」・「かたぶつ」
「職人気質な性格」という表現の際に頑固で真面目な性格を表していることから、類語として扱われます。「頑固」は、他の人の意見を取り入れず自分の考えを貫くことを意味しています。
また、「かたぶつ」は、生真面目で融通の利かない性格を意味します。「職人気質」の意味に、真面目といった一面を含んでいるので類語ですが、その真面目さをマイナスな部分だと評価します。一方で、「かたぶつ」は真面目さゆえに扱いづらいことを示すようなネガティブな表現です。
真面目過ぎて融通が利かないような性格や、人を言い表したいときに使う言葉です。
「職人気質」を英語で表現するなら
「職人気質」は「craftsman spirit」と表現します。「craftsman」は手作業がメインの職人という意味を表し、「spirit」は気質という意味を表しています。
大工などの職人を指して使いたい場合は「craftsman」が適切ですが、芸術家やデザイナーなどクリエイティブな職業の人や仕事に対しては「artist spirit」というほうが適切でしょう。
職業別に「spirit」の前の部分を取り換えて、表現することが望ましいです。
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「職人気質」は自分のスキルや技術に自信を持って、仕事に熱心に取り組む人のことを指しています。また、頑固で融通が利かないような性格も言い表すことができる言葉です。
読み方を間違えやすい言葉なので、「職人気質」の読み方に当たるもののそれぞれの意味を把握して正しく使い分けられるようにしておくことが大切です。
誉め言葉としても使われることがありますが、ネガティブな表現にも代わるものなので使う際には文脈に注意しましょう。