ソニーが、映像制作のプロ用途向けとなる、ミリ波対応の5Gスマートフォン「Xperia PRO」の予約を開始しました。

Xperia PROの開発が発表されたのは、約1年前となる2020年2月。6GHz以下の周波数帯「Sub 6」だけでなく、28GHz以上の周波数帯「ミリ波」にも対応し、スマートフォン初をうたうHDMI入力も備えています。対応デジタルカメラなどとつなぐことで、高画質映像や写真をXperia PROの4K HDR有機ELディスプレイに映し出せるほか、アプリを使い5Gの高速通信やWi-Fi通信で高画質のままストリーミング配信したり、クラウドにアップロードできたりします。

ベースのモデルは、ソニーのフラッグシップスマートフォン「Xperia 1 II」。スマホとしての性能も十分ではありますが、カメラとつないだ映像制作用デバイスとしての役割がメインとなる本機、写真で実機を見ていきましょう。

  • Xperia PROの実機で弊誌「マイナビニュース」を表示したところ

    Xperia PRO。弊誌「マイナビニュース」を表示したところ

  • 背面と前面。ディスプレイは21:9シネマワイドの4K HDR対応有機ELで、実際に4K HDR映像や画像を再生すると美しい表示が楽しめます。広い色域(BT.2020、10bit入力)もサポート

  • USB Type-Cポートを下部左に、microHDMI入力を下部中央に搭載しています。HDMIポートはカバー付き。ぴったり閉じられます

  • 本体側面・背面はざらつきのあるシボ加工。純正ケースは用意されないため、裸で持っても滑りにくい仕上げにしたといいます。右側面には「Xperia PRO」のロゴ。「PRO」の部分は刻印されています

  • 右側面(写真左)と左側面(写真右)。どの方向に端末を持っていても受信感度が高くなるよう、5Gミリ波帯のアンテナが本体の上下左右に内蔵されています

  • 上部(写真左)と下部(写真右)。上面にはイヤホンジャックを搭載

  • 側面にショートカットキー(中央のボタン)を搭載。ショートカットキーには、好きな機能を割り当てられます。デフォルトでは割り当てなしですが、5G/4G LTEの通信状況を視覚的に表示する独自機能「ネットワークビジュアライザー」と、HDMI入力時に専用メニューを表示する「外部モニター」の2つはリストから選べるようになっています

  • SIMスロットはnanoSIM対応、デュアル仕様(DSDS / DSDV)です。製品自体もSIMフリーモデルとして販売されます

  • ベースモデル「Xperia 1 II」(写真右)と並べてみたXperia PRO(写真左)。Xperia PROのほうが44g重く、2.5mm厚いサイズ。高さは5mm、幅は3mm大きくなっています。3眼のカメラ性能やサウンドは2機種とも同等

  • 1月27日、Xperia PROと同時発表されたソニーのフルサイズミラーレス最上位「α1」につなげたところ

  • α1上部のアクセサリーシューにXperia PROを設置、HDMIケーブルでα1と接続します

  • Xperia PRO側のインタフェースはmicroHDMI(入力)。つないでカメラ側の電源を入れ、Xperia PRO側も「外部モニター」機能をオンにします

  • 実際の撮影風景。α1の液晶に表示されるUIがXperia PROで表示されています(人物の瞳に焦点を当てる瞳AFも効いています)

  • ソニーのフルサイズミラーレス「α7S III」と接続したところ

  • Xperia PROの外部モニター機能では、右側に専用メニューが表示されます。一番上の「ロック」はオンにするとタッチ操作が効かなくなります。明るさ調整や、180度反転機能(写真右)も用意されています

  • 専用メニュー最下にある「設定」。解像度やダブルタップ時のズーム倍率など、外部モニター表示・操作に関する設定ができます

  • 設定したアスペクト比のフレームを表示する「フレームライン」(写真左)と、グリッドを表示する「グリッドライン」(写真右)

  • Xperia PROの画面にグリッド線を表示したところ

  • α7S IIIの画質でストリーミング配信するデモ。YouTubeなどライブストリーミング対応アプリがいくつかあるなか、今回は一例として「Streamlabs」アプリを利用。サクサクとした動作が印象的でした

Xperia PROを触ってみて驚いたのは、HDMI入力時の高画質映像/写真の表示がもたつきなく動作したことです。カメラとつないだときや、表示中に操作したときなどに、多少カクつくこともあるのではと思っていたのですが、2本指のピンチイン・アウト(拡大縮小)や、外部モニター機能(グリッド表示や明るさ調整など)の操作時、動画が鈍ることなくスムーズに動きました。

ソニーのマスターモニターを基準に「出荷時に1台ずつゴリゴリに色調整している」という本体ディスプレイは色再現性も高く、実際の撮影現場で「カメラに取り付ける確認用ディスプレイ」としても役立ちそうです。αシリーズに限らず、基本的にはHDMI入力やUSBテザリングに対応しているカメラであれば使えるのも魅力です。

デジタル一眼など“専用機”ならではの高画質を、そのままストリーミング配信したりサーバにアップロードしたりする処理能力と、それを支える高速な5G通信に対応したデバイス、という目的を存分に達成したXperia PRO。価格は税別228,000円前後と高く、活用シーンも“プロ品質が必要な映像制作向け”に特化した部分はありますが、気になる方は1月28日からソニーストア(銀座 / 札幌 / 名古屋 / 大阪 / 福岡天神)や一部量販店で行われる展示機を触ってみることをオススメします。

Xperia PROの主な仕様

  • CPU: Qualcomm Snapdragon 865 5Gモバイルプラットフォーム
  • 内蔵メモリ: 12GB
  • ストレージ: 512GB
  • SIM: デュアルnanoSIM(DSDS / DSDV)
  • ディスプレイ: 6.5インチ有機EL(21:9、4K HDR)
  • バッテリ容量: 4,000mAh
  • メインカメラ: 約1,220万画素(標準)+約1,220万画素(超広角)+約1,220万画素(望遠)+iToFセンサー
  • サブカメラ: 約800万画素
  • 5G: Sub 6+ミリ波
  • 4G LTE: Band 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 7 / 8 / 11 / 12 / 13 / 17 / 18 / 19 / 20 / 21 / 25 / 26 / 28 / 29 / 32 / 34 / 38 / 39 / 40 / 41 / 42 / 46 / 48 / 66
  • Wi-Fi: IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax
  • Bluetooth: ver.5.1
  • 生体認証: 指紋認証
  • 防水: IPX5/8
  • 防塵: IP6X
  • 本体サイズ: W75×H171×D10.4mm
  • 重さ: 225g
  • 主なインタフェース: USB Type-C、microHDMI(入力)
  • カラー: ブラック