会社で資料を作成する際や会議の際に、「整合性」という言葉をよく耳にしますが、意味や使い方をしっかりと分かった上で使っている方はそう多くないのではないでしょうか。
本記事では「整合性」の詳しい意味や、豊富な例文とともに使い方を紹介。間違った使用例や類語に対義語、英語もまとめました。
整合性の意味と読み方とは
「整合性」とは、「矛盾がなく整っていること」を意味する言葉です。
通常「整合性」という言葉のみで使うことはありません。「プレゼンのために集めた資料に整合性がなかった」「上司の言うことは時々、整合性に欠く」というように使います。
読み方は「せいごうせい」です。
整合性の使い方と例文
整合性という言葉は、少々硬い表現なのでプライベートよりもビジネスシーンで使うことが多い用語です。さまざまなシーンで正しく活用できるよう、いくつかの例文を交えて紹介します。
「整合性がある」「整合性がない」
「整合性がある」という肯定的な言い方と「整合性がない」という否定的な言い方で使います。
「彼女の描いた絵はテーマと整合性がある」という例文では、「彼女の描いた絵にはテーマと矛盾がなく一貫性がある」という意味になります。
「上司の発言には整合性がない」という例文では、「上司の発言にはズレや矛盾がある」という意味になります。
「整合性をとる」「整合性を図る」
「整合性をとる・図る」は肯定的な意味で、矛盾が生じないように取り計らうという意味で使われます。
この例文としては、「資料と文書にズレがあるので整合性をとる必要がある」「発言と行動の整合性を図る」などがあります。
「整合性がとれない」「整合性を欠く」
「整合性がとれない・欠く」は、否定的な意味合いで使われます。
例文としては、「提出された書類にはいくつかずれがあるので、整合性がとれていない」「君の発言は整合性を欠いている」などがあります。
「整合性を保つ」
整合性を保つという使い方をすると、矛盾なく維持し続けるという意味で使われることもあります。
例文としては、「あなたが今後も資料作成を続けてくれたら、来期のプロジェクトとの整合性を保つことができるだろう」という使い方ができます。
整合性の誤用
- 整合性が合う
- 整合性を合わせる
- 整合性を整える
などのフレーズもたまに見聞きすることがありますが、これらは誤用です。
「整合性」が「矛盾がなく整っていること」という意味であり、既に「合う」や「整う」という意味が含まれているため、重複表現となるからです。
前述のように、「整合性がある」「整合性をとる」「整合性を図る」「整合性を保つ」などの表現を使いましょう。
整合性の類語・言い換え
ビジネスシーンでは、同じような意味の言葉を複数知っているほうが、言い回しがワンパターンにならなくなり、書類を作成したり会議で話し合いをしたりする際に周囲に良い印象を与えられるでしょう。
一貫性
一貫性とは、始めから終わりまで変わらずにひとつの方針や考えを通すことです。一貫性という言葉単体では使われず、一貫性がある・ないと使う場合がほとんどです。
【例文】
- 一貫性がある書類を作るように心掛けている
- このやり方には、一貫性がある
辻褄が合う
辻褄が合うという言葉の「辻」というのは、裁縫で縫い目が十字に合う場所を言います。「褄」は着物の裾の左右が合う場所のことです。
その両方をきちんと合わせることを説明する言葉から、物事が理屈に合っている様、前後の物事が合っていることを指すようになったことわざです。つまり、その否定形で辻褄が合っていないという使い方もされます。
【例文】
- その理由を聞いたら辻褄が合うね
- 物語の辻褄が合う
筋が通る
「筋が通る」の意味は、物事が正しく行われている、という意味で使われる慣用句です。慣用句とは、複数の単語を組み合わせてひとつの意味を持たせる言葉のことです。
【例文】
- そのように考えると筋が通る
- あの議員は、筋が通った発言をする
首尾一貫
首尾一貫とは、頭から尾まで貫いていること、つまり最初から終わりまで主張や方針が変わらないことを意味する四字熟語です。整合性の類語としては、首尾一貫しているという使い方をします。首尾一貫していないと使うと対義語になります。
【例文】
- 彼の仕事ぶりは、首尾一貫している
- 上司の発言は首尾一貫していない
矛盾がない
「矛盾がない」とは、矛盾が生じないことを意味します。
【例文】
- 矛盾がないようにデータをまとめる必要がある
- 彼の言っていることと行動には矛盾がない
整合性の対義語
整合性の意味、例文、類語について紹介しましたが、対義語についても知っておくと良いでしょう。
多くの言葉を知るとビジネスシーンで使い分けることが可能です。多くの言葉を知ることによって、表現の幅を広げワンランク上のビジネスパーソンを目指せるでしょう。
矛盾
整合性の対義語の矛盾は、古事成語のひとつです。古事成語とは、中国で起きた出来事を教訓にした言葉のことで、論理的に辻褄が合っていない、食い違っていることを表したものです。
【例文】
- 「牛を育てて食べるなんて野蛮だ」と言っていた彼女が、すき焼きを大好物と言うなんて矛盾している
- 私に「自分の部屋の掃除は定期的にやるように」と言っていた父の部屋が非常に散らかっていることに矛盾を感じた
筋が通らない
筋が通らないとは、整合性の類語でご紹介した、「筋が通る」の否定的表現の慣用句です。ものごとが正しく行われないことを意味する表現です。
【例文】
- 商品が売れないからといって、いたずらに値上げするのは筋が通らない
- この状況で彼が社長になるなんて、筋が通らない
食い違い
食い違いとは、2つの意見や事実が相違したり対立したりしている場合に使われる言葉です。話がかみ合っていない、相反している時に使う言葉です。
【例文】
- 2人の主張は食い違っている
- 話が食い違っている
不一致
不一致とは、一致しないこと、一貫性がないこと、ぴったりと合わないことを表す言葉です。そろっていないという意味でも使われます。
【例文】
- あの2人は性格の不一致で別れた
- メインメンバーとの意見の不一致によって、私はプロジェクトから外された
整合性の英語表現
ビジネスは国内だけとは限りませんし、英語が母国語の社員と働くことになる可能性もあります。
英語表現を知っておいて損はないので、この機会にマスターして、ビジネスに生かせるよう準備をしておきましょう。
consistency
consistencyは、形容詞consistentの名詞形で「整合性」という意味の単語です。
【例文】
- His highest priority is consistency.
(彼が1番気を付けているのは、整合性です)
integrity
integrityは、名詞で「一貫性、統一性」という意味の単語です。
【例文】
- I check to confirm the integrity of the data.
(データの整合性を確認するために、チェックする)
establish consistency
establish consistencyは、「整合性をとる」という意味の表現です。先ほどご紹介した名詞consistencyと動詞establishを組み合わせて使います。
【例文】
- To create this document, you need to establish consistency with your data.
(このドキュメントを作成するには、データとの整合性を確立する必要がある)
match
合うという意味の、matchを使って「整合性をとる」と表現する場合もあります。
【例文】
- His report doesn’t match yours.
(君の報告書はあなたのものとは整合性がない)
「整合性」は「矛盾なし、整っている」という意味の言葉
整合性の使い方や言い換え表現、英語表現について紹介しました。
ビジネスシーンで使用する言葉は、場面に合わせてスマートに、そして的確に使ってビジネスに生かしましょう。