「悠々自適」という言葉を聞いて、どのようなイメージが湧くでしょうか。公務員やサラリーマンの方の多くは、定年退職後の年金暮らしを連想するかもしれません。
本記事では「悠々自適」の詳しい意味や「悠々自適な生活」「悠々自適な人」などを含む例文を紹介。座右の銘に適しているかや類語、対義語、英語表現もまとめました。
悠々自適の意味と読み方とは
悠々自適とは、世間のことに煩わされず、自分の好きなように安らかに暮らすことを意味する四字熟語です。
「悠々」はのんびりとして落ち着きのある様子、「自適」は束縛を受けないで自由に暮らすことです。
悠々自適は、生活様式について話す際、自由で何ものにも縛られない様を表すときに使います。
悠々自適の読み方は「ゆうゆうじてき」です。
悠々自適の正しい使い方と例文
いくら言葉の意味を理解していても、使い方を分かっていなければ活用できません。言葉の正しい使い方を理解し会話の中に組み込むことで、相手との意思疎通がスムーズにできます。
ここでは悠々自適の使い方を、具体的な例文とともにご紹介します。
悠々自適な生活
60歳を過ぎて定年退職後、年金を受け取りながらのんびり暮らす様子を表すために悠々自適な生活という表現が使われることがあります。
<例文>
- テレビばかり見ている退屈な老後の生活は、悠々自適と言えるのだろうか
- 祖父は定年後、書道をいそしみながら悠々自適に暮らしています
これらに加え、昨今では年収が減っても構わない、ぜいたくできなくても良いから自由に好きなことだけをして気ままに生きていきたいという40代や30代、さらには20代の若者も増えています。そういった方々の望む生活スタイルも、悠々自適と言えるでしょう。
<例文>
- 彼は会社を辞め、今はハワイでブログ執筆をしながら悠々自適な生活をしています
- 私の夢は、東京を離れ田舎で農業をしながら、悠々自適に過ごすことです
悠々自適な人
悠々自適な人とは、何にも縛られず自分のしたいことを自由に行い暮らしている人のことを言います。必ずしもぜいたくしている人のことではありません。
日々のスケジュールを自身の意志で決められるような生活をしている人です。
<例文>
- 友人は個人投資家として配当生活を送ることに成功し、悠々自適になりました
- フリーターと聞くと悠々自適だと思われがちですが、実際のところ苦労が絶えないようです
悠々自適は座右の銘に使える?
前述のように悠々自適は、世の中の面倒事から離れて、何にも束縛されずに、自由にのんびりと暮らすことを指す言葉です。
そのため、自分の人生における座右の銘としては適していると言えるでしょう。
ただし、就活や転職活動の面接などで「あなたの座右の銘は?」と聞かれて「悠々自適です」と答えるのはあまりおすすめしません。
会社で働くということは、ある程度は会社のルールに沿って、周りの人と協力しながら、組織の利益のために動くことが求められます。
そのため面接で「悠々自適」と答えてしまうと、ルールを守らない、協調性がない、責任を果たさない、などと捉えられてしまう恐れがあります。
悠々自適の類語・言い換え表現
悠々自適には関連語や似た意味を持つ言葉がいくつかあります。ここではそれぞれの読み方や意味をご紹介します。
類語ではありますが、異なる意味を含む場合もありますので、正しく理解して使い分けられるようにしておきましょう。
晴耕雨読
晴耕雨読は「せいこううどく」と読みます。世間の煩わしさから離れ、田園で悠然とした生活を送るという意味を持ちます。
晴れた日には田畑を耕し、雨の日は家の中で読書して過ごすことがこの言葉の由来です。基本的に褒め言葉や、いい意味で使われます。堕落した、といった否定的な意味はありません。
安逸をむさぼる
安逸をむさぼるは「あんいつをむさぼる」と読みます。
気楽に、何もしないでぶらぶらと遊んで暮らすこと、またその様子です。こちらの言い回しは、否定的な意味で使われることがほとんどです。
悠悠閑閑
悠悠閑閑は「ゆうゆうかんかん」と読みます。
急がずに気長に構え、のんびり落ち着いている様子を表します。「悠々」は慌てずにゆっくりとした様子、「閑閑」は静かで落ち着きのある様子という意味で、その二つを兼ね合わせた言葉です。
悠々自適の対義語
反対の言葉の意味を知り語彙が増えることで、日常の会話も内容の濃いものになるでしょう。言葉の意味を正しく理解し、使い分けましょう。
悠々自適の対義語をいくつかご紹介しますので、チェックしておきましょう。
あくせく暮らす
「あくせく暮らす」とは、心にゆとりがなく目先のことにとらわれ、細かな事がらを気にして気持ちがせかせかすることです。
また、落ち着きが無かったり休む間もなく励んだりする様子も表します。
多事多端
多事多端は「たじたたん」と読みます。
処理するべき仕事が多く、とても忙しい様子です。また、事件が次々に起こり、世の中が騒々しく落ち着きがない様子も表します。
「多事」とは仕事が多くて忙しい様子や異常事態が起きて落ち着かないこと、「多端」は多方面にわたって忙しい様子です。
俗用多端
俗用多端は「ぞくようたたん」と読みます。
世の中の雑多な用事に追われてとても忙しい様子です。「俗用」とは日常における雑用や、面白みのない仕事のことです。俗事とも言い換えられます。
悠々自適の英語表現
日本語の意味とあわせて英語での表現を覚えておくと、国内だけでなくさまざまなシーンで活用できるでしょう。
近年のビジネスシーンでは、英語でやり取りすることも増えてきているので、適切な英語表現を使用できれば自分の評価を高められると考えられます。
ここでは悠々自適の英語表現をご紹介します。
living a life of leisure with dignity
それぞれの単語の意味は以下のようになります。
living(生きる) a life(人生・生活) of leisure(余暇) with dignity(尊厳)
並んでいる単語をそのまま訳すと「尊厳を持って余暇を過ごす」となります。この言い回しで悠々自適の意味になります。
live free from worldly cares
各単語の意味は以下のようになります。
live(生きる) free(自由な) from worldly(世の中の、世俗的な) cares(心配事)
浮世の煩わしさから離れて、自由に暮らすという表現です。
take life easy
意味は、「気楽にやる、のんきに構える、あせらない、無理しない」(研究社 新英和中辞典より)です。
似た言い回しで「take it easy」があります。とてもシンプルな表現ですので、2つとも覚えておくといいでしょう。
悠々自適とは俗世間から離れ、のんびりと自由に暮らすことを表す四字熟語
悠々自適という言葉は、良い意味でも悪い意味でも使われます。1つの意味だけではなく言葉が持つさまざまな意味を理解することで、「悠々自適」のイメージが広がるでしょう。