戦型は西山女流三冠得意の先手中飛車に

第92期ヒューリック杯棋聖戦(主催:産経新聞社)の二次予選決勝、▲西山朋佳女流三冠-△屋敷伸之九段戦が1月27日に東京・将棋会館で行われています。女性として初めて二次予選を戦っている西山女流三冠が、決勝トーナメントにまで進出する快挙を達成するのか。それとも棋聖獲得3期の屋敷九段が西山女流三冠の快進撃を止めるのか。大注目の一戦です。

西山女流三冠は今期が棋聖戦初参加。一次予選では泉正樹八段、渡辺和史四段、片上大輔七段、北島忠雄七段を破って二次予選に駒を進めると、初戦で森下卓九段に勝利しました。これまで西山女流三冠は公式戦で17勝15敗と勝ち越しており、実力は折り紙つきです。

西山女流三冠は女流棋士ではなく、奨励会員で三段です。第66回奨励会三段リーグでは14勝4敗の成績で惜しくも3位となり、次点を保持しています。現在行われている第68回奨励会三段リーグは8勝4敗の成績で7位。残り6戦で3位以内に入ることができれば、史上初の女性棋士誕生となります。

対戦相手の屋敷九段は棋聖のタイトルを3期獲得し、A級には6期在籍したトップ棋士。藤井聡太二冠が昨年記録を更新するまで、長らく最年少タイトル挑戦と最年少タイトル獲得記録保持者でもありました。現在も竜王戦では2組、順位戦ではB級1組に在籍し、第一線で活躍中です。

注目の一戦は、振り駒の結果西山女流三冠が先手番になりました。西山女流三冠は得意戦法の中飛車を採用。屋敷九段は2枚銀急戦で応戦しています。屋敷九段が飛車先の歩を突き捨てるタイミングをずらしたことで、一瞬前例のない局面となりましたが、結局前例が2局ある局面(先後ともに1勝ずつ)へと合流しました。いずれも昨年の対局で、現在の最先端の形と言えそうです。

11時30分現在、合流後すぐに再び屋敷九段が手を変えて、再び未知の局面へと突入しています。屋敷九段が指したのは単刀直入に攻めていく手。攻めの棋風の屋敷九段らしい一着です。

注目の戦いの決着は本日の夕方ごろになる見込みです。また一つ将棋界の歴史が塗り替わるのか、それとも屋敷九段が貫録をみせるのか。注目です。

本局の対局準備を進める西山女流三冠(提供:日本将棋連盟)
本局の対局準備を進める西山女流三冠(提供:日本将棋連盟)