米Mozillaは1月27日 (現地時間)、Webブラウザ「Firefox 85」の安定版の提供を開始した。従来のcookieよりも強力に行動を追跡する「supercookie」に対応。Flashサポートの終了に伴い、Flashサポートを削除したリリースになっている。
supercookieは従来型のcookieと同様、ユーザーが閲覧したWebサイト、個人の閲覧動向といったデータの収集に利用できるユーザー識別子になるが、従来のcookie削除では取り除けない。同じイメージが複数のWebサイトに組み込まれていたらキャッシュされたイメージを利用するというように、Firefoxはオーバーヘッドを減らすためにWebサイトとの間でブラウザ内部のリソースを共有している。そうした共有リソースからsupercookieは生成されており、キャッシュを消去するか、プライベートブラウジングモードを使わない限り、トラッキングを防げなかった。
Firefox 85では、ブラウザのネットワークアーキテクチャを見直し、supercookieが作られるWebサイトからキャッシュとネットワーク接続を分離して、クロスサイト・トラッキングを無効化した。イメージキャッシュは、ユーザーが訪れたWebサイトごとに異なるものを用いる。他にも、HTTP、ファビコン、HSTS、OCSP、スタイルシート、フォント、DNS、HTTP Authentication、Alt-Svc、TLS証明書などのキャッシュもトップレベルサイトによって分離する。さらにコネクションに基づいたトラッキングからユーザーを保護するために、プールされた接続、プリフェッチ接続、preconnect接続、投機的接続、TLSセッション識別子もパーティション化した。
他の新機能は2つ。ユーザーがよくブックマークを保存する場所を記憶し、新しいタブでブックマークツールバーをデフォルトで表示させ、ツールバーフォルダから全てのブックマークに簡単にアクセスできるなど、ブックマークの保存とアクセスを改善した。また、パスワード管理機能に、保存した全てのログインを一括削除できる機能を設けた。
Firefoxは2020年末にAdobe Flashのサポートを終了した。Firefox 85はFlashサポートを完全に省いたリリースになっており、Flash対応を再有効化することはできない。