「直向き」という言葉、あなたはどのように読みますか?
ありがちなミスが「ちょくむき」「じかむき」「まえむき」と読んでしまうことです。正しい読み方は「ひたむき」です。
「ひたむき」という言葉自体は耳にした経験がある方がほとんどかも多いかと思いますが、実際に漢字で書かれるとなかなか読むことができないですよね。今回は「直向き」の意味や使い方を例文も合わせてご紹介します。
直向きとは
直向きとは、「1つの物事に一途に打ち込むさま、忍耐強く心を向けるさま」という意味の言葉です。読み方は「ひたむき」。「直向きな人」や「直向きに努力を続ける」のように使われます。好意的なイメージであり、人を褒めるときなどに良い意味で使われる言葉です。
「ちょくむき」「じかむき」「まえむき」は間違い
「直向き」と書くとそのまま「ちょくむき」や「じかむき」と読んでしまう方も多いかもしれません。また、「直」を「まえ」と読んで「まえむき」と読んでしまう人もいますが、どれも間違いです。主にひらがなで書き表されることが多く、漢字で読む場面自体少ないですが、読み方を知らなければいざというときに恥ずかしい思いをしてしまうかもしれません。
直向きは「表外読み」
「直向き」の「直」を「ひた」という読みは、実は常用漢字表に記載されていません。このような読み方を「表外読み」といいます。常用漢字表とは内閣によって出された「一般の社会生活において現代の国語を書き表すための目安」です。あくまでも目安なので、常用漢字表にはない表外読みであっても間違いというわけではありません。
「春雨」の「雨(さめ)」や「滑稽」の「滑(こっ)」なども表外読みのひとつです。 このように、常用漢字表に読み方が記載されていなくても日常生活ではよく登場する言葉も多くあります。
直を「ひた」と読む言葉
「直向き」のように「ひた」と読むのは常用漢字表にない表外読みです。聞き慣れない言葉ですが、実は同じ読み方をするものはいくつかあります。他の言葉もあわせてしっかりと「直(ひた)」という読み方を覚えれば、難しい「直向き」などもすんなりと読めるようになるでしょう。 次に「直(ひた)」と読む言葉をご紹介します。
直走る(ひたはしる)
「直走る」とはまっすぐ目的に向かって走ることや、一途に頑張ることを指す言葉です。「ひたはしる」と読みます。
直向きと同じように「直(ひた)」という字は一途にまっすぐ打ち込む様子を表現していますね。小説などで目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ただ「走る」と言い切るよりも一生懸命でまっすぐなさまが伝わる言葉です。
直隠し(ひたかくし)
必死に隠すことを指す「直隠し」。「ひたかくし」と読みます。「僕らはその存在を直隠しにした」などと使います。誰にも秘密を漏らすことのないよう懸命に隠し続ける様子が伝わる言葉です。
どちらもひたすらに走ること、ひたすらに隠すことを表した言葉ですが、「ひたすら」を漢字で書くと「只管」となります。「直向き」「直走る」という字に使われている漢字を知ると意外なように思われますが、「直(ひた)」の字は使われていません。余談ではありますが、これは座禅の用語(中国語)である「只管」を日本語訳した「ひたすら」が読みとして使われているからです。
一生懸命な様子を指していても「ひた」と呼ぶものすべてが「直」という漢字に当てはめられているわけではないので注意しておきましょう。
直向きの類義語・対義語・英語表現
次に、直向きの類義語や対義語、英語表現をご紹介します。同じ意味を持つ言葉や正反対の単語を知ることで、ひとつの言葉を多面的に捉えることができるようになります。さらに、語彙力アップにもなるのでおすすめです。
一緒に英語での表現を覚えておくと、ビジネスシーンなどで海外の方と話す場合も役に立つでしょう。
直向きの類義語
直向きの類義語は、「まっすぐで一途なさま」を表現している言葉です。「真面目」や「真摯」「ひたむき」や「一筋」などが挙げられます。
「夢に向かって直向きに努力する」を「夢に向かって真摯に努力する」や「夢に向かって真面目に努力する」など言い換えることができますね。
直向きの対義語
真面目やまっすぐであることを指す直向きの反対の意味を持つ言葉は「怠惰」や「ぐうたら」などが挙げられるでしょう。なまけて仕事ややるべきことをおろそかにするという意味の言葉です。できるだけ楽をして済まそうとするという意味の「横着」もそのひとつです。
直向きの英語表現
直向きは英語で「single-minded」や「intent」と表すことができます。「single minded」は直訳すると「ひとつの考え」となるので、イメージしやすいですね。ちなみに「intent」は「意思・決意」という意味の英単語です。意志を強く持ってうちこむさまはまさに「直向き」といえるでしょう。 また、「single eye」と表現することもできます。
直向きを使った例文
最後に、直向きを使った例文をご紹介します。言葉の意味を知るだけではなく、例文から使えるシーンを学び、普段の会話などでも取り入れられるようになりましょう。
「直向きな姿勢が周りの心を動かした」
物事に一途に取り組むさまを見ると胸が打たれますよね。このような真剣な姿勢を「直向き」と表現することができます。「直向きな姿勢が周りの心を動かした」は、周りに影響を与えるほど真面目に取り組んでいるということを伝えることができます。
「あの人気漫画は主人公の直向きな情熱が魅力だ」
「直向き」という言葉は良い意味で捉えられることがほとんどです。そのため人や漫画の登場人物の魅力を伝えたいというときにも使うことができます。
情熱を持っている人物や、目標に向かって真面目に努力できる人には「直向き」という言葉がぴったりです。
「私の長所は目標に向かって直向きに努力するところです」
「直向き」はいいイメージを持つ言葉なので、面接や履歴書などで自分の長所をアピールするときに使うのもおすすめです。コツコツと努力を続けることができる人や、サボらず真面目に仕事を進める力を持っている人は、長所として取り入れてみるのもいいでしょう。
***
「直向き」とは「ひたむき」と読み、物事に対して一途なさまを表した言葉です。「直」を「ひた」と読むのは常用漢字表にはない「表外読み」ですが、「直走る(ひたはしる)」や「直隠す(ひたかくす)」などさまざまな言葉に使われています。また、「真面目」や「ひたむき」などが類義語として挙げられるので、言い換えてみるのもいいでしょう。
直向きに努力できる人物はビジネスシーンを問わずさまざまな場で重宝されます。まっすぐさを力にし、適切な言葉選びで自分をアピールできるようになりましょう。