マイホームを検討する際、家と同じくらい大切なのが土地です。人生の中でももっとも大きな買い物のひとつである家作りを失敗しないためにも、土地選びもしっかり行わなければなりません。
人気の土地のひとつである「角地」ですが、実際はどのようなもので、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。本記事では角地について解説します。
角地とは
角地(かどち)とは、交差する2方向の道路に囲まれた、角の区画にあたる土地のことです。アパートなどでも廊下の一番手間や奥の部屋を角部屋といいますが、土地でもこのような角にあたる部分は希少性が高く、人気の高いものとなっています。
角地は人気の土地?
2方向に交差した道路に囲まれる角地は、一般的に少ないものだと考えられます。数件の家が横並びになるような土地の場合、「角」に値するのは2件のみです。
希少性が高く、さまざまなメリットがあることから角地は一般的に人気の土地とされており、値段も他よりも高めに設定されています。 土地をお探しの方はぜひ検討してみる余地があるでしょう。
角地のメリット
角地のメリットは以下の通り。
- 日当たりがいい
- 防犯面も安心
- 建ぺい率の緩和措置
- 売却しやすい
以下、それぞれの項目について順に説明します。
1. 日当たりがいい
角地では、他の土地とは違い2方向が道路となっています。角の部分は他の家に日光を遮られることがないため、日当たりがいいのが魅力のひとつです。特に、南側が道路となっていて開けていると、日中にあたたかな光が差し込む心地いい空間にすることができます。
しかし道路の広さや周りの建物の高さによって日当たりは異なるので、角地の場合でも必ず現地で雰囲気を確かめるようにするのがいいでしょう。
2. 防犯面も安心
角地では2方向が道路になっているため、周りの家よりも視界が開けています。道路が大きい場合は人通りもあるため、防犯効果を期待できます。特に、一戸建ては本来マンションよりも窓が多く、侵入しやすいので空き巣に狙われやすいといわれています。
人通りも多く周りからよく見えるような角地だと、堂々と空き巣に入るような人も少ないため、ある程度安心できるでしょう。日中長く家を空けたり、防犯面をしっかりしたいと思ったりする方には角地がおすすめです。
3. 建ぺい率の緩和措置
自治体によっての違いはありますが、一般的に角地には建ぺい率の緩和措置があります。これも角地を選ぶメリットのひとつです。建ぺい率とは、土地の面積に対して建築できる建物の面積の割合を示す数値です。
50坪の土地があった場合、そのまま50坪の家をそこに建てられるというわけではありません。50坪の土地の建ぺい率が50% だった場合は、建物の面積が25坪までの家を建てられるということになります。この建ぺい率はその土地によって異なるので、土地選びをするときには必ずチェックするようにしておきましょう。
自治体によって条件や緩和率は異なりますが、主に角地や道路に挟まれた土地、公園や河川に接する土地がこの緩和を受けることができます。
建ぺい率が緩和されるということは、隣り合う他の土地よりも広い家を建てられるということです。これも角地が人気の理由のひとつので、角地を検討する場合はどのくらいの緩和措置がとられるのか必ず確認するようにしましょう。
4. 売却しやすい
これらの理由から角地は人気の土地であるとされています。人気であるということは、買い手がつきやすいということです。もし何らかの事情で土地を売ることになったとしても、すぐに買い手がつく可能性があるというのもメリットとなるでしょう。将来土地や物件の売却も視野に入れているという方は、この売却のしやすさも大切なポイントですね。
角地のデメリット
防犯面や採光、緩和措置などで人気の角地ですが、2方向を道路に挟まれているかこそのデメリットもあります。角地のデメリットは以下の通り。
- 価格が高い傾向にある
- 人の目が気になる
- 交通事故のリスクがある
- 日当たりがよすぎる
以下、それぞれの項目について順に説明します。土地を買ってから後悔してしまわないよう、あわせてチェックしておきましょう。
1. 価格が高い傾向にある
角地は人気の土地であるため、価格が高くなる傾向にあります。角地に隣り合う土地の方が数十~百万円安いということもありえます。また、建ぺい率が緩和され、より広い家を作れるということは建築に関する額も高くなることを意味します。予算に余裕がない方などは価格の高さはデメリットとなるでしょう。
2. 人の目が気になる
先ほど角地はひと目につきやすいため防犯の面で優れているということをご紹介しました。しかし、人通りがあると人の目が気になってしまうということもあるかもしれません。大通りに面した土地だと家の中でくつろぐにも外を通る人を気にしてしまう可能性もあります。
そのため、できるだけ奥にリビングなどを設置したり、道路側に広くお庭をとったり、木を植えたりするなどの対策が必要となるでしょう。このデメリットは設計や外構デザインで解消することもできるので、設計士などとも相談することが大切です。
3. 交通事故のリスクがある
2方向が車の通る道路だった場合、それだけ交通事故のリスクも上がります。ニュースなどで家に車が突っ込んでくるというものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
また、家を出たとたんに交通事故にあってしまうというようなことも起こるかもしれません。角地を購入する場合は、道路の車通りはどれくらいなのかや、歩道の広さまでしっかりチェックしておきましょう。
4. 日当たりがよすぎる
角地には日当たりがいいというメリットがある一方、日当たりがよすぎることがデメリットとなってしまうこともあります。特に夏の暑さが厳しい地方などは注意が必要です。せっかくの角地に大きな窓のある家を建てても、日光が強すぎて部屋が暑くなったり、カーテンを閉め切らなければならなかったりするのは残念ですよね。
角地=日当たりがいい=魅力的と単純に捉えず、どのくらいの日当たりなのか、設計でどのようにすることができるかも含めてよく検討するのがいいでしょう。
角地には欠かせない? 「隅切り」とは
角地に家を建てる場合は「隅切り」があることも忘れてはなりません。隅切りとは、角地の角にあたる部分を切り取り道路にするということです。これをすることによって道路の見通しがよくなり、車や対向車などの障害物を察知しやすくなります。これは、よりよい街作りのために定められたものです。
どのくらいの道路幅でどのくらいの面積を隅切りしなければならないかは自治体によって異なります。中には隅切りを行わなくてもいい場所もあるでしょう。 そのため角地として土地を購入した場合は、一定の条件で角の部分が道路になるということを覚えておきましょう。
隅切りした部分の管理は?
隅切りをして切り取られた部分の管理は自治体によって異なるので注意が必要です。基本的にはその土地の所有者によって管理されることが多いですが、あらかじめよく確認しておきましょう。
土地売買ではどうなる?
まだ隅切りをしていない道路の場合は、隅切りを予定している部分も売買の対象となります。そのため、家を建てられない部分も買い取らなければなりません。このような土地は必ず売買のときに説明を行うよう義務付けられているので、購入する際はよく確認しましょう。
隅切りをした土地を売る場合は、そのときの所有者が自分のものなのか、自治体のものなのかで対応が異なります。こちらもあわせてしっかり確認しておきましょう。
隅切りの規定は地域によって異なる
隅切りの対象となる道路や、隅切り後の所有権は自治体によって異なります。角地の購入を検討する場合は、その自治体の隅切りの取り扱いがどのようなものなのか事前によく調べておきましょう。
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2方向が道路に囲まれた角地は、日当たりもよく、防犯効果を期待できることから人気の土地です。また、建ぺい率の緩和があったり、人気であることから買い手がつきやすかったりするなどのメリットもあります。
しかし反対に日当たりのよさは部屋の暑さに、防犯性の高さは日ためが気になるなどのデメリットを生じさせます。設計担当の方などとも相談して、自分たちにあったいい家を作れるよう下調べを万全にしておきましょう。