メディアミックスガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』。プロジェクトの一環として、キャラクターを演じる声優がリアルでもバンド活動を行っており、これまでに4つのリアルバンドが誕生している。
今回は、第2のリアルバンド・Roselia (ロゼリア)でキーボードを担当する志崎樺音(白金燐子役)と、第3のリアルバンド・RAISE A SUILEN(レイズ ア スイレン)でキーボードを担当する倉知玲鳳(パレオ役)にインタビュー。
バンド活動を経て成長したことや、それぞれの最新シングル「ZEAL of proud」と「mind of Prominence」の聞きどころ、合同ライブ「Rausch und/and Craziness Ⅱ」への意気込みなどを語ってもらった。
●バンド活動を経て変化するふたり
――まずは、それぞれが演じるキャラクターの紹介をお願いします。
志崎 私が演じている白金燐子ちゃんは、Roseliaでキーボードを担当しています。元々はかなり内向的な子でしたが、バンドでの活動を経て徐々に社交的になっている……というよりも、なろうと頑張っています。また、バンドのことを客観視できていて、他のメンバーとは違った視点からの発言をすることもあるんですよ。ストーリーを読んでいると、出会った頃以上にメンバーから一目置かれる存在になったと感じています。
――燐子の変化に伴い、芝居で意識することも変わってきていますか?
志崎 そうですね。口数が少なく、思ったこともちゃんと言葉にできないタイプでしたので、最初はボソボソ喋ることが多かったんです。アフレコでも「もっと弱々しく」と言われることが何度かありました。ただ、今でははっきり自分の意見を伝えられるようにもなっているので、以前よりハキハキ喋る機会が増えています。
倉知 私が演じるパレオちゃんはRAISE A SUILEN(以下、RAS)のキーボードを担当しています。同じバンドでプロデューサー兼DJを担当しているチュチュ様のことが大好きで、彼女を支えたいと思っているんですよ。自称・チュチュ様のメイドです。また、細かいところまで気を配れるタイプで、RASの衣装の手配もしています。バンドを陰で支えている存在と言ってもいいかもしれません。
――2020年はアニメ・ゲーム・舞台と、RASはさまざまな活動を行ってきました。その中で、パレオに対する印象に変化はありましたか?
倉知 パレオちゃんはメンバーに対する向き合い方が特に変わってきています。いい意味でチュチュ様との差が埋まってきたといいますか……壁がひとつ壊れたような気がするんですよ。それは、バンド活動をするなかで、同じバンドメンバーであるという仲間意識が芽生えてきたからなんじゃないかな。
実際、ストーリーのなかでも、以前と同じ「です、ます」調ではありながらも、かしこまった感じが薄れていて、距離感が縮まったことが分かる会話をしているんですよね。例えば、チュチュ様をいじったりとか、冗談を言うことが増えたりとか、パスパレトークでオタク語りをしたりとか(笑)。
――「BanG Dream! 3rd Season」では、パレオとチュチュの過去も明らかとなりました。
倉知 普段のパレオとは雰囲気の異なる「令王那」(パレオの本名)としての姿を見て印象が変わったという方も少なくなかったと思います。チュチュ様への忠誠心がどこからきたものなのか、アニメを見たら納得していただけたんじゃないかな。私自身もあの回を経て、よりパレオちゃんの理解度が深まりました。
●同じ方向性を向いてまとまるバンドと個性がバラバラでまとまるバンド
――続けて、それぞれのバンドの特徴についても教えてください。
志崎 キャラクターとしてのRoseliaは、「頂点を目指す」を合い言葉に活動するバンドで、音楽に対してものすごく真面目なんですよ。ゴシックでダークな世界観が特徴で、メンバー全員がそれをやりたくてやっています。みんなが同じ方向性を見ていてバンド愛があるメンバーが揃っているのが、演じ手のひとりとしても誇りです。リアルライブで活動する私たちも同じような雰囲気ですね。みんなRoseliaのことが大好き! いつもRoseliaのことを考えて行動しているような気がします。
――キャラクターとリアルがリンクするのが『BanG Dream!』ですが、リアルで活動している皆さんの影響をキャラクターたちが最も受けているのがRoseliaな気がします。
志崎 そうかもしれません(笑)。前以上に、普段喋るときと演奏のときのギャップがあるバンドになっていますよね。「やるときはやる」というスイッチの切り替えができるのも、今ではRoseliaの魅力のひとつになったかなと思っています。
――志崎さんは2018年から燐子を演じることになりました。Roseliaのメンバーとしても途中加入となりましたが、ここまでの活動を経て、メンバーとの関係性に変化はありましたか?
志崎 最初はみんなの足を引っ張ってしまい、助けられてばかりでした。ただ、活動をしていくなかで、自分の持ち味といいますか、人間性を出せるようになってきた気がしています。
――一緒にいることで、Roseliaに馴染めていると自分で感じられるようになった。
志崎 そうですね。みんなが同じことを言っているときに、私だけ別の意見をポッと入れちゃう、みたいなやり取りがよく発生するのですが、それも「私らしさ」なのかな、と思っています。不思議な馴染み方ができているのかもしれません。
●Roselia「Avant-garde HISTORY」
――対してRASは、どんな雰囲気でしょうか?
倉知 キャラクターもリアルも、バラエティに富んだメンバーが集まっているバンドだと思います。キャラクターたちは通っている学校も年齢も見た目も異なります。リアルバンドの私たちも、それぞれ辿ってきている人生が全然違うんですよね。私と紡木吏佐ちゃんはRASが初めてのバンド活動で、結成当初は声優としてもスタートしたてくらいでした。
対する小原莉子さんは、声優としての仕事もやっていてバンド経験もある、業界の先輩です。Raychellさんや夏芽さんは、RAS結成前から精力的に音楽活動をされていました。得意分野も特性も全然違うんです。服のセンスもバラバラ(笑)。こんなに色々なことが違うメンバーが集まるバンドってなかなかないと、自分でも思っちゃいます。
――なるほど。
倉知 ただ、個性がバラバラだからこそ、お互いに吸収し合えるものがあるんです。音楽に関することで不安なことは経験が豊富なメンバーに相談して、声優のことで分からないことがあれば、経験のある人がアドバイスをしたり一緒に考えたりする。補い合える関係性が築けています。
――倉知さんはピアノやエレクトーンを習ってはいましたが、先ほどもおっしゃっていた通り、バンド活動は初めてのことでした。それゆえの不安やプレッシャーもあったのでは?
倉知 ありましたね。今のRASの前身である「THE THIRD(仮)」が結成されるさらに前、Raychellさん、夏芽さん、あとはPoppin'Party(以下、ポピパ)の大塚紗英さんと私で、『ガルパライブ&ガルパーティ!in東京』というイベントにて、バックバンドを担当する機会があったんです。
当時、Raychellさんや夏芽さんはすでに別の音楽活動をされていましたし、大塚さんもポピパさんのギター担当として、もう人前で演奏されていました。対して私はバンド未経験者。そんな状態の私がメインで歌唱する方を支えられるのか、正直不安でした。
――いきなり大舞台で演奏することになったから、プレッシャーも相当なものだったと思います。
倉知 私の演奏でステージを台無しにしてしまわないか、怖くて怖くて仕方ありませんでした。そんな時、Raychellさんが「一緒にご飯に行こう」とバンド練習以外でもみんなで会う機会を作ってくれたんです。そこで親睦を深めたことで、音楽に関する疑問を皆さんに聞きやすくなりました。演奏のこと、社会人としての礼儀……。色々なことを教えてもらいました。あの時、メンバーが支えてくれる、これならやっていけるかもしれないと思えたんですよね。今でも、メンバーには本当に感謝しています。