「当該」は、ビジネスシーンでよく聞く言葉ですが、自信を持って意味を説明できる方は少ないのではないでしょうか。本記事では当該の意味や該当との違いを解説します。また、ビジネスシーンでの正しい使い方・例文や類語・言い換え表現についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

当該の意味とは?

当該とは、話の中で話題にあがっていることに「直接関係すること」や「直接関係するもの」を示す言葉です。読み方は「とうがい」。「当該事項に関して検討する」「当該問題への対処」といったように、すでに話題にあがっている事項について言及する際に使用します。

  • 屋外で新聞を読む人

    「当該」の意味を学びましょう

当該と該当の違い

「当該」は特定の事柄に関することを指し、「該当」は特定の条件や資格に当てはまることを指します。

「当該」も「該当」も後ろに名詞をつけて「当該設備」「該当設備」のように連体詞として用いますが、「該当」の場合は「する」を追加して動詞としても使えます。「当該する設備」と表現することはできませんが、「該当する設備」とすれば、何らかの条件に当てはまる設備という意味として成立します。

  • 朝日が差し込む森林

    「当該」と「該当」の違いを理解しましょう

ビジネスにおける当該の使い方・例文

「当該」という言葉はビジネスシーンで使われることが多く、ビジネスに関わる方は使えるようになっておきたい言葉です。

ここでは、ビジネスシーンごとに「当該」の使い方を紹介します。ビジネスシーンで「当該」を活用するための例として覚えておきましょう。

ビジネス文章やビジネスメールの場合

ビジネスに関わる文章の中で「当該」を使う際には、同じ文章の中ですでに述べられている事柄を繰り返し述べるのを避ける目的があります。「当該」は、少々かしこまった言い回しになるので、ビジネスシーンに適しているでしょう。

例えば、新たなプロジェクトの説明をする際に、「今回請け負った〇〇市の経理システムについて詳細な内容をご説明致します。当該プロジェクトは~」のように、前の文章で一度説明された部分を繰り返さないために、代名詞のような用途で使うことが可能です。

会話の場合

「当該」はかしこまった言い回しになるので、ビジネスシーンであっても一般的な会話の中ではあまり使われません。会話ではなく、原稿を読み上げるような報告の場では使われることもあります。

会話の中で前出の繰り返しを避ける際は、「当該」ではなく「この」「その」など「こそあど言葉」の連体詞や「例の」「件(くだん)の」など「当該」に代わる連体詞を使い、「当該プロジェクト」は「このプロジェクト」や「件のプロジェクト」と言い換えができます。

  • メモが書いてある手帳

    会話では類語に言い換えた方が適切でしょう

当該の類語・言い換え表現

ここでは「当該」に代えて使うことが可能な類語を紹介します。ビジネスシーンや会話でどのようなときに置き換えが可能か、意味や使い方を覚えておきましょう。

その

「その」は、「こそあど言葉」とも呼ばれる指示語の中の連体詞にあたる言葉です。距離的に近いものに対しては「この」になり、遠くにあるものに対しては「あの」を使います。

対象に対する説明を避ける際に使われるので「当該」に代えて使えます。「当該医師について」は「その医師について」と言い換えることが可能です。

件の

「件の」は「件(くだん)」の連体詞で、「前に述べたことの」や「いつもの」といった意味を持ちます。「当該問題解決においては」は「件の問題解決においては」と言い換えてもほぼ同義となります。

「当該」の類語として使われる場合は「くだんの」と読みますが、「くだりの」と読んでも間違いではありません。

相当する

「相当する」は「当該」よりも「該当」に近い意味で使われ、何かの条件や範囲に合致することを意味として持ちます。

「日本の西側にある国」という説明の後、「当該国」とするのと「前述の説明に相当する国」とするのでは、ニュアンスが異なるので注意が必要です。

  • 資料とパソコンを使って話し合いをしている様子

    類語の意味と使い方を覚えましょう

当該の意味を正しく理解して使いこなそう

「当該」はビジネスシーンでよく使われているからこそ、正しい意味を知らずに曖昧なままビジネスシーンで使用するのは、誤った情報を相手に伝える可能性もあるので危険です。

しっかりと正しい意味と使い方を覚え、ビジネスシーンで自信を持って使いましょう。