挑戦者の加藤桃子女流三段の玉を長手数の即詰みに打ち取って勝利
女流名人を11連覇中の里見香奈女流名人に加藤桃子女流三段が挑む、将棋の女流タイトル戦、第47期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第2局(主催:スポーツ報知)が1月24日に島根県「出雲文化伝承館 松籟亭」で行われました。結果は153手で里見女流名人が勝利。シリーズ成績を2勝0敗とし、防衛に王手をかけました。
本局の戦型は、先手番の里見女流名人の中飛車対加藤女流三段の居飛車穴熊という両者の得意形となりました。準備の作戦だったためか、序盤はノータイムで飛ばす里見女流名人。初めて考慮時間が記録されたのは実に47手目でした。
中盤、加藤女流三段が自らの穴熊を切り崩しつつ仕掛ける意表の順で戦端を開きます。ここから激しい玉頭戦になり、リードを奪ったのは加藤女流三段でした。相手の美濃囲いの上部から襲い掛かり、里見玉を追い詰めます。
しかし、最終盤、「読みがチグハグになってしまいました」と終局後に振り返った痛恨の失着が出てしまいました。この手を境に里見玉は息を吹き返します。加藤女流三段は少ない攻め駒を駆使して寄せを目指しますが、里見女流名人の▲2九香が決め手の攻防手となりました。自玉の詰めろを防ぎつつ、相手玉を遠くにらんでいます。
そして、▲2九香から数手後、この香を生かした鮮やかな詰み筋を里見女流名人は披露します。▲1一飛と銀の利きに飛車を捨て、さらに竜も切り捨てます。2九香の利きを頼りにどんどん駒を捨てていき、見事加藤玉を20手を超える長手数の即詰みに打ち取りました。
この勝利で防衛まであと1勝とした里見女流名人。このシリーズを制することができれば、自身が持つ同一タイトル連覇記録を12に更新です。また、通算タイトル獲得数も清水市代女流七段が持つ43期に並ぶことができます。
一方、いい内容の将棋を惜しくも落としてしまった加藤女流三段。対里見戦の連敗が11となってしまいました。早く連敗を止め、嫌なイメージを払拭したいところです。
里見女流名人が大記録を達成するのか、それとも加藤女流三段が反撃を開始するのか。注目の第3局は2月7日に千葉県「関根名人記念館」で行われます。