ふるさと納税は、その年の所得税と翌年の住民税から寄付した分が控除される仕組みですが、メリット・デメリットを理解していないと、ふるさと納税を上手に活用できません。ここでは、ふるさと納税のメリットとデメリット、利用する際の注意点を解説します。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税の主なメリットは次のとおりです。
- 自分の故郷や好きな自治体に寄付をして社会貢献できる
- 土地の名産品などの返礼品がある
- 申告することで、寄付した分を所得税や住民税から控除できる
詳しく解説していきます。
1. 自分の故郷や好きな自治体に寄付をして社会貢献できる
ふるさと納税のメリットは自分の故郷や好きな自治体に寄付できることです。日本の人口は減少してきているため、地方では住民税の減収が問題となっています。
ふるさと納税は、控除の仕組みを使って地方の税収を改善させるという目的があり、社会貢献につながる行為です。
2. 土地の名産品などの返礼品がある
ふるさと納税のメリットとして、各自治体からの「返礼品」が挙げられ、その土地の名産品などを寄付のお礼として送ってくれます。
新鮮な海の幸や山の幸のほか、ブランド米、ブランド肉など、魅力的な返礼品が数多くあります。
3. 申告することで、寄付した分を所得税や住民税から控除できる
ふるさと納税では、寄付した分を所得税や住民税から控除できる仕組みがあります。「寄付金控除」という名目で、寄付金額から2,000円を引いた金額を、所得税や住民税から控除できます。
ふるさと納税の節税効果を最大化するため、控除限度額までの寄付をする
ふるさと納税で寄付を行う場合、その年の収入などにより控除できる額が決まっています。 限度額以上でも寄付することはできますが、控除できない分は純粋な寄付となり、翌年に持ち越すことはできません。
そのため、ふるさと納税の控除を効果的に活用したい場合は、限度額は超えないようにしたほうが良いということになります。
ふるさと納税のデメリット
ふるさと納税のデメリットは、以下の通りです。
- 控除を受けるためには、確定申告もしくは申請をしなければならない
- 控除限度額の計算方法が複雑で、自力で計算するのは難しい
- 年末までに所得の環境が変わると、控除限度額が変化する
詳しく解説していきます。
1.控除を受けるためには、確定申告もしくは申請をしなければならない
ふるさと納税の控除を受けるためには、原則、確定申告が必要となります。一般の給与所得者であれば、年末調整があるので、確定申告をしたことがない人も多いでしょう。確定申告は通常、2月16日から3月15日までとなっていますので、申告を忘れてしまうと、控除が受けられません。 ただし、後ほど紹介するように「ワンストップ特例制度」を利用することで、確定申告の必要がなくなります。
2.控除限度額の計算方法が複雑で、自力で計算するのは難しい
下の図は、ふるさと納税の控除額の計算を表したものです。(※1)
ふるさと納税の控除限度額は、所得税の控除額、住民税の控除額(基本分)、住民税の控除額(特例分)の3つの金額を足し合わせたものになります。
特に、住民税の控除分(特例分)が住民税所得割額の2割を限度となっていますが、税金の計算方法を習った人でないと自力で計算するのはむずかしいため、シュミュレーションを活用した方がよいでしょう。
3.年末までに所得の環境が変わると、控除限度額が変化する
ふるさと納税の控除限度額の計算は、その年の年収をもとに計算されます。1年の前半にふるさと納税を控除限度額まで行った場合に、その後、残業などが減り想定していた年収より低くなると控除限度額が下がることがあります。このような場合には、控除限度額以上のお金は単なる寄付として差し引けなくなる点に注意しましょう。
ふるさと納税の確定申告の手間を省くためのワンストップ特例制度
ふるさと納税のためだけに確定申告をするのを避けるには、ワンストップ特例制度を利用しましょう。
1年間に寄付する先が5自治体以下の場合には、「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付した自治体に提出すれば、確定申告をしなくても住民税の控除が受けられます。
ただし、医療費控除など別の控除も利用する際には、ワンストップ特例制度は使えず、確定申告をする必要があることにご注意ください。
ふるさと納税を賢く利用するために
ふるさと納税のメリット・デメリット、注意点について解説しました。ふるさと納税は、返礼品がもらえる上に、所得税や住民税が控除されるお得な制度です。
仕組みをしっかりと理解して、上手に活用しましょう。