羽生九段は残留に大きく前進。挑戦権争いは斎藤慎太郎八段が6勝1敗でリード

第79期A級順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の7回戦、▲稲葉陽八段(2勝4敗)-△羽生善治九段(2勝4敗)戦が1月21日に東京・将棋会館で行われました。結果は110手で羽生九段が勝利し、3勝目を挙げました。この対局で7回戦まで全て終了。今期のA級も残すところあと2戦です。


7回戦終了時点の第79期A級順位戦のリーグ表

敗れた方が降級圏に入ってしまう負けられない一戦は、相掛かりの将棋となりました。銀を積極的に繰り出していく羽生九段に対し、稲葉八段は中段飛車で対抗します。

中盤の折衝でリードを奪ったのは羽生九段でした。棒銀が最終的には7八の金を取る大活躍。稲葉八段は飛車を切って勝負に出ますが、手にした飛車をすぐに攻防である2四の地点に打ったのが羽生九段の好判断でした。その後は自陣で眠っていた飛車まで働かせた羽生九段。最後は自玉に必死が掛かったタイミングで、稲葉玉を長手数の即詰みに打ち取りました。

この勝利で羽生九段は3勝4敗の成績に。他に3勝4敗には佐藤康光九段、糸谷哲郎八段、菅井竜也八段がいますが、羽生九段は佐藤康九段以外よりも順位がいいため、とりあえずはひと安心といったところでしょうか。

一方、敗れた稲葉八段は2勝5敗で降級圏から脱出することはできませんでした。順位が悪いため、残り2戦で1勝だと順位の差で降級となってしまう危険があります。

挑戦権争いにも目を向けてみましょう。首位は初参加ながら6勝1敗の斎藤慎太郎八段。5勝2敗で豊島将之竜王と広瀬章人八段が追っており、4勝3敗の佐藤天彦九段まで可能性が残されています。豊島竜王と広瀬八段による最終局での直接対決は注目です。

長丁場のA級順位戦もあと2戦。7回戦までは別々の日程で進行してきましたが、8回戦は2月3日、9回戦は2月26日に一斉対局で行われます。挑戦権争いも、残留争いも白熱している今期A級順位戦から目が離せません。

名人在位を含めA級以上に連続28期在籍する羽生九段
名人在位を含めA級以上に連続28期在籍する羽生九段