「家を買うなら、住宅ローン減税の使える今がお得」と思っている人も多いと思います。その一方で、「購入後に減税を受けるためにはどうしたらいいの? 」と疑問に思うかもしれません。そこで、この記事では「住宅ローン控除を受けるための方法や注意点」を紹介します。

  • 住宅ローン控除(減税)を受けるための確定申告の方法や注意点とは

    住宅ローン控除(減税)を受けるための確定申告の方法や注意点とは

住宅ローン控除(減税)とは? 対象ローンや条件

住宅ローン控除(減税)とは、個人が住宅ローン等を利用してマイホームを新築したり、購入(取得)したりした場合に、その購入等にかかる住宅ローン等の年末残高を基に計算した金額を所得税額から控除するものです。正式名称は、「住宅借入金等特別控除」と呼びます(※1)(※2)

必要な条件

住宅ローン控除(減税)を受けるためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

  1. ローン等の借り入れをして、2021年12月31日までに居住用の家屋を新築、取得し、居住用として使用すること
  2. 借入金の年末残高があること
  3. 適用を受ける年の各年末まで引き続き居住していること
  4. 適用を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下であること

なお、夫婦共有名義で住宅を新築、購入し、夫婦共有名義でローンを組んだ場合には、要件を満たせば、夫婦それぞれが住宅ローン控除(減税)を受けることができます。

対象となる家屋

家屋についても以下3つすべての条件を満たしている必要があります。

  1. その建物の2分の1以上が居住として使用されるもの
  2. 床面積が50m2以上であるもの
  3. 中古住宅の場合は、築年数20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)のもの、もしくは築年数に関わらず新耐震基準を満たしているもの

なお、床面積の「50m2」とは、登記簿上の床面積(内法面積)ですので、一般に販売するときに表記される面積(壁芯面積)とは異なります。そのため、必ず登記事項証明書で面積を確認するようにしましょう。

対象となる借入金(ローン)

借入金(ローン)は、次の3つの条件をすべて満たしている必要があります(※3)

  1. 償還期間が10年以上であること
  2. 金融機関、勤務先等からの借入金であること
  3. 勤務先等からの借り入れの場合、金利が0.2% 以上であること

住宅ローン控除(減税)を受けるための確定申告の方法

提出する場所・方法

住宅ローン控除(減税)を受けるためには、最初の年は、自分自身で確定申告を行わなければなりません。確定申告書に必要書類を添付して、住所を管轄する税務署に提出します。 提出の方法は、税務署に直接持ち込むか、郵送するほか、マイナンバーカードを持っている人は、オンラインでも申請することができます。

確定申告のための書類は、税務署でもらうことができます。簡単に済ませたい場合は、国税庁の「確定申告書作成コーナー」で入力する方法が便利です。

必要な書類

給与所得者(会社員)の場合、必要な書類として以下の4点があります。

  • 源泉徴収票
  • 売買(請負)契約書
  • 登記事項証明書
  • 年末残高証明書

入力(記入)方法と項目

確定申告の書類を入手して手書きで記入する、専用のソフトを使用して自宅のパソコンとプリンターで作成する、といった方法もありますが、住宅ローン控除(減税)を受けるために一度だけ確定申告を提出したい場合には、国税庁の「確定申告書作成コーナー」がおすすめです(※4)

確定申告書作成コーナーの案内にしたがって入力していけば、自動で税額まで計算してくれます。

源泉徴収票のない自営業や専業主婦・主夫の場合には、入力項目が増えます。自分で1年間の収入や支出の書類を用意します。

なお、住宅ローン控除(減税)は、税額控除になりますので、その年に支払った所得税がない場合には、ローンの残高があっても税金の還付を受けることはできません。

申請のスケジュール

住宅ローン控除(減税)の申請は、住宅に居住を開始した翌年に確定申告にて行います。確定申告書作成コーナーでは、1月中旬以降にサイトが更新されます。更新されれば、申請が可能となります。

確定申告の期限は3月15日ですので、それまでに忘れずに提出しましょう。2年目以降は、給与所得者(サラリーマン)であれば、年末調整で住宅ローン控除(減税)の手続きを行いますので、勤務先に必要書類を提出すれば、控除を受けることができます(※5)

住宅ローン控除(減税)を確定申告する際の注意点

住宅ローン控除(減税)を申請する際に、注意する点がいくつかあります。

借り換えをした場合

一般的には、住宅ローンの借り換えを行ったとしても、新たに確定申告をする必要はなく、年末調整で対応可能な場合が大半です。ただし借り換えが年末などになって、書類が間に合わない場合には、翌年に確定申告をする必要があります。

ふるさと納税と併用した場合

最近はふるさと納税を行っている人も多いと思いますが、住宅ローン控除(減税)を確定申告する場合には注意が必要です。

住宅ローン控除(減税)を受ける1年目は、必ず確定申告をする必要があり、確定申告をするとふるさと納税の「ワンストップ特例制度」が使えません(※6)

また、確定申告をすると、所得税からも控除されるため、ふるさと納税ができる上限額が減ってしまいます。年収や配偶者の有無などによって上限額が変わってきますので、ふるさと納税のサイトでシミュレーションを行うようにしてください。

仕組みを理解し、住宅ローン控除(減税)の制度を活用しましょう

住宅ローン控除(減税)を受けるための確定申告の方法や注意点などを解説しました。住宅ローン控除(減税)を受けるためには、居住を開始した翌年に必ず確定申告をしなければなりません。

必要書類さえ揃えれば申請はいたって簡単で、国税庁のサイトで申請書を作成できます。マイナンバーカードを持っていれば、オンラインで書類を提出することも可能です。

住宅ローン控除(減税)は、ふるさと納税との併用はできますが、確定申告をすると上限金額に影響が出る場合があるので、事前にシミュレーションをして確認することが大切です。

住宅ローン控除の仕組みや申請方法をよく理解して上手に利用しましょう。

参照 :
(※1)国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
(※2)国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
(※3)国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等
(※4)国税庁「確定申告書等作成コーナー/e-Tax(国税電子申告・納税システム)
(※5)国税庁「申告と納税
(※6)国税庁「ふるさと納税をされた方へ