稲葉八段が先手番で、戦型は相掛かりに

第79期A級順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の7回戦、▲稲葉陽八段-△羽生善治九段戦が1月21日に東京・将棋会館で行われています。両者ここまで2勝4敗。敗れた方は降級圏内に入ってしまいます。残留に向けて絶対に負けられない大一番です。


第79期A級順位戦のリーグ表。7回戦は羽生九段-稲葉八段戦を残すのみ

羽生九段は名人在位9期を含め、A級以上に連続28期在籍中です。そのうち、A級での負け越しは2回のみ。1度目が当時四冠だった第57期で、まさかの3勝5敗。2度目が前期の第78期で4勝5敗でした。そんな羽生九段が今期残留争いに巻き込まれています。

一方の稲葉八段はA級に連続5期在籍中。初参加だった第75期ではいきなり8勝1敗の好成績を挙げ、名人に挑戦。しかし、当時の佐藤天彦名人に2勝4敗で敗れてしまいました。

両者の対戦成績は羽生九段の8勝2敗。しかし、稲葉八段が挙げた2勝はいずれもA級順位戦でのもので、順位戦(プレーオフ含む)に絞ると羽生九段の3勝2敗と拮抗しています。

今期首位を走る斎藤慎太郎八段が残り2戦を残して6勝1敗のため、すでに4敗勢には名人挑戦の目はありません。

一方の残留争いに目を向けると、3勝4敗で佐藤康光九段、糸谷哲郎八段、菅井竜也八段が並び、2勝4敗が羽生九段と稲葉八段、1勝6敗が三浦弘行九段という状況です。本日直接対決の羽生九段と稲葉八段は、勝てばひとまず降級圏外に脱出することができます。

10時に始まった対局は、相掛かりの戦型となりました。後手の羽生九段は18手目に△8三銀と上がって、棒銀の構想を明示しました。

近年の相掛かりでは、銀を自陣に配置する低い陣形から、飛車・桂・歩で戦う空中戦が流行しています。棒銀はその前の平成半ばから終わり頃に流行した形で、最近では採用が減っていますが、羽生九段はこの重要な一局で投入してきました。入念な準備がありそうです。

大きな3勝目を手にするのは羽生九段(右)か、稲葉八段か
大きな3勝目を手にするのは羽生九段(右)か、稲葉八段か