テレビのコマーシャルなどでも見かけることが増えた、ふるさと納税。興味はあっても「どんな仕組みなのか」「どうやって活用したら良いか」など不明な点が多く、まだ活用したことがない方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、ふるさと納税の仕組みや活用の際の注意点について解説します。
ふるさと納税ってどんな制度?
2008年よりスタートした「ふるさと納税」は、自分の選んだ自治体に寄付を行った場合に、寄付金額の2,000円以上の部分について、所得税や住民税が控除される制度です。
寄付を受けた自治体からは、地元の農産品などの返礼品が贈られるといった魅力もあり、注目を浴びて急速に広まりました。
制度ができた当初は、必ず確定申告をしなければなりませんでしたが、2015年からは確定申告なしでふるさと納税の控除が受けられる「ワンストップ特例制度」が開始され、より手軽に活用できるようになりました。
ふるさと納税申し込みから受け取り、税金控除までの流れ
実際に、ふるさと納税を行う際には以下の手順を踏みます。
- 寄付金の控除上限額を調べる
- 寄付する自治体を選んで寄付する
- 寄付金受領証明書を受け取る
- 返礼品を受け取る
- ワンストップ特例申請もしくは確定申告をする
これから詳しく解説していきます。
1. 寄付金の控除上限額を調べる
ふるさと納税をしたいと思ったら、まずはご自身の寄付金の控除上限額を調べましょう。
年収や家族構成、ほかに受けている控除などによって上限額は変わるため、ふるさと納税のポータルサイトなどでシミュレーションをして正確な控除上限額を把握しておくことをおすすめします。
2. 寄付する自治体を選んで寄付する
次に、寄付する自治体を選びます。自治体は自由に選ぶことができます。自分の生まれ育った故郷でもいいですし、応援したい自治体に寄付することも可能です。
なお、「ワンストップ特例制度」を活用したい場合は、1年間に寄付するのは5自治体以下に留めておく必要があります。
3. 寄付金受領証明書を受け取る
概ね2週間からひと月程度で、自治体から「寄付金受領証明書」という書類が送られてきます。
寄付金受領証明書は確定申告のときに必要となりますが、ワンストップ特例制度を使う場合には必要はありません。
しかし、医療費控除などを受けることとなり確定申告を申請することになった際は、ワンストップ特例制度で申請した分もあらためて、確定申告をする必要が出てきます。必要なさそうな場合も想定外の出来事に備え手続きが完了するまで保管しておきしましょう。
4. 返礼品を受け取る
返礼品の発送は自治体によって差がありますが、2~3カ月かかるケースが多いです。また、季節性の果物などは旬の時期まで発送されないこともあるため、気長に待つようにしましょう。
5. ワンストップ特例申請もしくは確定申告をする
ふるさと納税をした場合には、原則、確定申告をしなければなりません。
ただし、寄付した自治体が5つ以下の場合には、確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」を使うことができます。ワンストップ特例制度は「寄付金税額控除に係る申告特例申請書」を寄付した自治体に送ることで、住民税の控除の手続きが完了するものです。
ふるさと納税の注意点
ふるさと納税を行う際には、いくつか注意しないといけない点があります。 代表的な注意点を3つお伝えします。
注意点1. 控除限度額を超えないようにする
ふるさと納税は、控除限度額を超えて行うこともできますが、超過分は控除できないので、よりお得に活用するためには、控除限度額を超えないように注意しましょう。
注意点2. ワンストップ特例制度が使える条件
確定申告をしなくても済む「ワンストップ特例制度」ですが、使える条件に注意が必要です。
条件には、次のようなものがあります。
- 年末調整が行われる給与所得者であること
- 1年間の寄付先の自治体が5つ以下であること
- 寄付を行うたびに、自治体に申請書を郵送すること
なお、複数の寄付を行っても同じ自治体であれば1つとカウントされます。そのため、寄付の回数が5回以上であっても自治体数が5つであればワンストップ特例制度を活用することができます。
注意点3. ワンストップ特例制度が使えなくなる場合
ワンストップ特例制度を申請していても、条件を満たさなくなると確定申告をしなければなりません。
例えば、その年の途中で、住宅を購入して、住宅ローン控除(減税)を受けるためには確定申告をしなければならず、ふるさと納税も確定申告で申請しなければならなくなります。
また、起業したり個人事業主になったりした場合も確定申告が必要になり、ワンストップ特例制度は使えなくなりますので注意しましょう。
ふるさと納税を上手に活用しましょう
ふるさと納税の仕組みや注意点について解説しました。
ふるさと納税は、自治体に寄付を行うことで、返礼品がもらえるだけでなく、所得税や住民税が控除される利点があります。
ただし、控除限度額があるので、事前にシミュレーションをして確認しましょう。また、確定申告をしなくて済む「ワンストップ特例制度」もありますが、適用条件を外れてしまうと確定申告が必要になる点に注意しておきましょう。