JR東海は20日、特急「ひだ」「南紀」に使用している特急形気動車キハ85系の後継車両として、ハイブリッド方式の次期特急車両HC85系の投入を決定し、2022~2023年度にかけて量産車64両を新製して順次投入すると発表した。
HC85系は、ハイブリッド方式による最高速度120km/hの営業運転をめざす次期特急車両。試験走行車を製作して約1年間にわたる試験走行を実施し、その結果を踏まえ、量産車の投入を決定した。
同車両のハイブリッドシステムは、高い走行性能と高効率化、小型化を追求しており、キハ85系と比べて安全性の向上、快適性の向上、環境負荷の低減が見込まれている。安全性の向上は、気動車特有の推進軸など回転部品が不要となることで実現。エンジン数の削減や駅停車時のアイドリングストップ導入により、車内・車外の静粛性や乗り心地も向上する。気動車特有のギアチェンジが解消されることも乗り心地の向上に寄与するという。
環境負荷の低減も図り、蓄電池の電力を加速時・停車時に使用することに加え、必要出力に応じて燃費の良いエンジン回転数を使い分ける制御の改善などを行った結果、約35%の燃費向上が実現した。これらにより、排出するCO2を約30%、NOXを約40%削減するなど、排出ガスの減少が可能となる。
新技術を導入し、車両性能を高めることによる安全性・安定性の向上、サービスの向上も見込まれている。新型台車枠の搭載、状態監視機能の強化、踏切用逸脱防止ストッパの設置、自動列車停止装置(ATS-PT)の主要機器の二重系化、鹿衝撃緩和装置の設置、エンジンなど重要機器の防護強化、車内防犯カメラの設置といった取組みにより、安全性・安定性が向上している。
振動と騒音の低減によって静粛性と乗り心地を向上させたほか、無料Wi-Fiサービス提供、全座席へのコンセントの設置、収納容量を増やした荷物スペースの設置、フルカラー液晶ディスプレイの車内表示器の設置、ハンドル形電動車いすに対応した車いすスペースや多機能トイレの設置により、サービスの向上も図っている。
HC85系は今後、2022~2023年度に量産車64両を新製して順次投入するほか、試験走行車(4両編成)も量産車仕様に改造し、営業運転に使用する計画となっている。