コロナ禍とその後の金融緩和による株高でバブル以来の高値圏で終えた2020年の株式市場。迎えた2021年も勢いはとどまるところを知らず、日経平均株価は2万8,000円台まで上昇しています。久しぶりの株高を受け、投資に興味を持ち始めている方も多いのではないでしょうか。

とはいえ「いきなり個別株投資は難しい!」と思っている方のために、今回はお任せで投資ができるサービスをご紹介します。

  • 話題のおまかせ投資はどう選ぶ? "ロボアド"を徹底比較してみた

おまかせ投資の特徴とは

おまかせで投資ができるサービスの代表格としてロボアドバイザー(ロボアド)が挙げられます。このロボアドと呼ばれる金融商品はどのような特徴があるのでしょうか。

ロボアドは大きく分けると助言型、運用型と2つが挙げられます。

助言型とはユーザーの特性に合わせてポートフォリオと呼ばれる資産の配分を提案するサービス。一方で運用型とはポートフォリオの提案に加え、ユーザーから投資の指示を一任され、運用まで行うサービスです。

現在広がりを見せているサービスは後者の"運用型"にあたります。ユーザーは簡単な診断等によって自分に合った運用戦略を決め入金をするだけ、あとは決められた戦略に沿って自動で運用がされます。

ロボアドの大きな特徴は手間がかからない点です。銘柄を探して資産配分を考えて注文して、という投資における難しいプロセスはなく、入金するだけであとは自動で運用を始めることができます。

そのメリットから、投資に興味はあるけど時間がなくてなかなか気が進まなかったというユーザーを中心に利用が進んでいます。

加えて、投資において何を買うかの次に難しい"売買タイミング"においても、開始時と売却時以外は考える必要がありません。ほかにも最低投資金額が10万円と個別株投資を始めるのと比べると比較的安くなっていることや、自分にあったリスクに合わせて運用戦略を決定できる点などもメリットとして挙げられます。

業界最大手のWealthNaviをはじめとし、現在は株式市場の動きに沿って運用されるインデックス型のサービスが主流です。しかし2020年に入り、いわゆるアクティブ運用といわれる相場の平均的な動きを上回るリターンを目指すおまかせ投資サービスも登場してきています。それぞれの特徴について見ていきましょう。

  • 各サービスホームページの情報を基に筆者作成。過去のリターンについては、各社公表内容が異なり単純な比較が難しいのですが、参考情報として記載しました

相場の動きに沿ってバランスよく運用をするロボアドは拡大中

まずはインデックス型のロボアドの代表格であるWealthNaviとTHEOの特徴を見ていきましょう。両サービス共にここ数年で預かり資産を大きく伸ばしており、1,000億円以上の資産を預かっています。

少し商品のタイプは異なりますが、日本で販売されている投資信託の純資産総額の平均額が約180億円であることを考えると、個人投資家のロボアドに対する注目度が高くなっているといえるのではないでしょうか。

  • プレスリリースより画像を引用

WealthNaviは2020年12月に上場を果たし、時価総額1,000億円超を誇るウェルスナビ株式会社が運営する、ロボアドバイザーの筆頭サービスです。

2016年7月のサービス開始から約4年5カ月で口座数36万件、預かり資産3,300億円と利用者数を拡大しています。ユーザーは資産状況やリスク性向などの6つの質問に答えると、5つある運用戦略のうちリスク許容度に合わせて1つが推薦され、運用を開始できる仕組みになっています。

最低投資金額は10万円で1万円から積み立て投資もできます。金融機関をはじめ提携している企業も多く、WealthNavi for JALやWealthNavi for TOKYU POINTなどではマイルやポイントを貯めることができます。

  • プレスリリースより画像を引用

THEOは株式会社お金のデザイン社が運営するロボアドバイザーサービスです。2020年12月には運用資産1,000億円、口座数14.4万件を突破し、こちらも利用者数を拡大しています。

ユーザーは資産状況など5つの質問に答えると、231ある運用戦略の中から1つが提案され運用を開始できる仕組みになっています。性質が異なる「グロースポートフォリオ」、「インカムポートフォリオ」、「インフレヘッジポートフォリオ」の3つの機能ポートフォリオの組み合わせから231種類と多様な運用戦略が用意されているのが特徴です。

また最低投資金額も1万円と、最低でも10万円以上必要なサービスが多い中で、少額で開始することができるのも投資初心者にはやさしいといえるでしょう。

積極的にリターンを狙っていく"進化型ロボアド"も登場

一方最近では、アクティブ型のおまかせ投資サービスも登場してきています。ユーザーの体験としては診断して入金をするだけというのは変わらずに、運用の方針がよりリターンを目指していく形です。

先のインデックス型と比較すると、30年など長い期間で老後に必要な資金を貯めるという使い方に加え、より短い期間でもリターンが望めるという点に違いがあると言えるでしょう。 今回はFOLIO ROBO PROとWealth Wingをご紹介します。

  • プレスリリースより画像を引用

FOLIO ROBO PROはテーマ株投資などを展開する株式会社FOLIOによる新しい一任運用サービスです。AIを用いて40以上のマーケットデータを分析し、ダイナミックに資産配分を変更していく点が特徴です。

ユーザーは診断にて年齢、年収、資産額を入力するだけで5つある運用方針の中から1つがレコメンドされ、それ以外の戦略も選ぶことができます。

公表されている実績を見てみると、マーケットが急上昇した11月には資産配分が多かった「金」のパフォーマンスが悪かったために伸び悩む場面もありましたが、12月には持ち直し、+約10.5%のパフォーマンスで2020年を終えています。

TOPIXの2020年の年間上昇率は4.8%であったため市場平均のアウトパフォームは十分に達成しており、今後のリターンの行く末が気になりますね。

  • プレスリリースより画像を引用

Wealth Wingはコミュニティ型株取引アプリのSTREAMなどを展開する株式会社スマートプラスが運営する一任運用サービスです。

ファクターに基づいて高度な分析がされた運用戦略が8つ用意されており、日本の代表的な指数であるTOPIXを上回るリターンを目指している点がインデックス型のロボアドとは大きく異なります。

ユーザーは景況感とリスク性向の簡単な2つの診断で8つの運用戦略の中から自身に合った戦略を選び、運用を始めることができます。

日本の個別銘柄を投資対象としているため、保有している株式の銘柄名や保有比率を随時確認できるほか、運用内容の透明性が高いので、個人投資家として投資をしている感覚が得られるのも大きな特徴です。

自分に合ったサービスを見極めよう

金融商品を選ぶ際に気になるのは手数料ですが、最も大事なのはどれくらいの収益が得られるかだと僕は考えます。各社が公表しているのはあくまで過去のリターンであり、将来の収益を保証するものではありませんが、期待できるリターンの部分も考慮してサービスを選べるといいかもしれません。

  • 1年間100万円を運用した際の商品ごとの過去の年間リターン率と手数料の分布(筆者が各社の公表データを元に作成)

また個人の投資に対する考え方によって、商品の選び方は変わってきます。国際分散投資を前提としたうえで、リスク性向を調整していくのか、多少リスクを背負ってもより高いリターンを目指すのか、ご自身にどちらが向いているのか考えてみましょう。

まずは多くの人が使っているサービスを利用してみるも良し、せっかくなら大きく利益が得られそうな商品にチャレンジしてみるも良し。今までなかなか資産運用に踏み出せなかったあなたも、年の始まりのこの機会にぜひ始めてみてはいかがでしょうか。

Finatextグループ アナリスト 菅原良介

1997年生まれ、Z世代のアナリスト。早稲田大学 政治経済学部 経済学科に在学中は「株式投資サークルForward」の代表を務め、大学生対抗IRプレゼンコンテストで準優勝を獲得。2年間の長期インターンを経て、2020年Finatextに入社。現在はFinatextグループで展開される投資・証券サービスのディレクターを担当。コミュニティ型株取引アプリSTREAM内で開催されるイベントのモデレーターも務める。