惰性という言葉をご存じですか。会話の中で耳にしたり、小説の一文などで目にしたりした経験のある方も多いでしょう。しかし、詳しい意味についてはあまり理解ができていないという方もいることかと思います。

そこで、本記事では「惰性」の意味や使い方、類語表現を紹介します。

惰性の意味

惰性とは、これまでの習慣や意識せず続いてきた癖や、同じ運動状態をそのまま続けようとする性質を示す言葉です。読み方は「だせい」。「これまで惰性で関係を続けてきたところがある」「惰性で今の仕事を続けている」といった使い方をします。

気持ちやモチベーションはないのに、だらだらと続けてきたという状態を表す際に使われる表現です。

  • パソコンを見ながらメモを取る人

    惰性の意味を理解しましょう

惰性と慣性の違い

惰性と似た言葉に慣性があります。慣性は、物体に外部から作用する力がない限り、同じ運動状態を保ち続ける性質を指す言葉です。惰性にも、同じ運動状態をそのまま続けようとする性質という意味がありますが、慣性は物体に対して使用する言葉であり、基本的に人に対しては使用しません。

惰性の使い方

惰性にはよく用いられる表現が存在します。それぞれ例文を挙げて紹介するため、使い方を覚えて使いこなしましょう。

惰性的

「惰性的」を使う場合は、今まで続けてきた習慣や癖だけで物事に取り組むことを表し、後ろ向きな意味として使用されることが多いでしょう。

<例文>

  • 惰性的に何かをすることはできるだけ避けてきた
  • 惰性的に仕事を続けている
  • 練習を惰性的に続けても伸びしろは薄い

惰性で~する

「惰性で~する」という使い方は、ずるずる・だらだらと何かをする様子に用いられる表現です。

<例文>

  • 惰性で嫌なことをするとストレスが溜まってくる
  • 惰性で今の仕事を続ける気はない
  • パソコンと資料を使って話し合いをしている様子

    惰性の使い方について学びましょう

惰性の類語

惰性には類語や言い換えが可能な表現があります。ここでは、各類語の使い方がわかる例文を紹介します。

それぞれの言葉の意味や使い方を覚えて、場面に合わせて使い分けていきましょう。

因習

「因習」とは、昔から続いているしきたり、弊害や避難のあるしきたり、という意味の言葉です。現代にはそぐわない行事やスタイルを表す時にも用いられます。

<例文>

  • 因習に逆らわず強く生きていく
  • 因習的な法則をもって個人の自由を奪う方針は良くない
  • 根深い因習を根本から断ちたい

怠惰

「怠惰」とは、なまけてだらしないことや、その様子を表す言葉です。惰性と同じく「惰」という字が使われています。さらに、だるい・なまけるという意味の「怠」が組み合わさっているため、ひどくだらけていることを意味する言葉と理解できるでしょう。

<例文>

  • 穏やかな気温の日は気持ちも緩み、どうしても怠惰になる
  • 緊張した日々を過ごしていると、怠惰な日を過ごしたい願望が募る

流儀

「流儀」とは、物事のやり方や技術などで伝わっている手法、という意味の言葉です。続いてきたやり方という点で、惰性と近い部分があるでしょう。

しかし、流儀は磨き上げられた方法という意味合いが強く、だらだらとやってきた惰性とはニュアンスが異なる可能性があります。

<例文>

  • これからも流儀に沿って生きていく
  • 仕事では、断られても何度も頭を下げるのが流儀だ
  • 結婚式は夫の地域の流儀でやる
  • 仕事デスクの様子

    惰性の類語を覚えて語彙を増やしましょう

惰性の対義語

惰性の対義語に相当するものがいくつかあります。ここでは、それぞれの対義語の使い方がわかる例文を紹介します。

ニュアンスが異なるため、シーンに合わせて使い分ける必要があります。使用する際には注意しましょう。

意欲

「意欲」とは、積極的に何かをしようと思うこと、その心の動きを表す意味の言葉です。惰性のように、だらだらする、なんとなく続けているというニュアンスはありません。反対に「よし、やろう」という強い意志を持って行う時に使われる表現です。

<例文>

  • 意欲的に練習に取り組んだところ新記録が出た
  • 好きな教科の勉強に対しては意欲がある
  • 意欲があることを強みとして面接でアピールする

積極

「積極」は、進んで働きかけること、何かをしようと自発的に思うことを表す意味の言葉です。惰性は、強い意志や目的などはなく、今まで続けてきた行動をなんとなく続けることでしょう。一方で積極は、強い意志を持って行動を起こす時に使います。

<例文>

  • 積極的に何かをすることは、惰性的に生きてきた方にとっては特に難しい
  • 積極的に部活に励む
  • 日本の外交は積極性が問われている

進取の気性

「進取の気性(しんしゅのきしょう)」は、従来の決まりや習わしなどにとらわれることなく、新しい物事へ取り組んでいく気質を指す意味の言葉です。積極性が感じられる表現になるため、惰性とは反対の表現として使用できるでしょう。

<例文>

  • 進取の気性で企画を担当したい
  • 進取の気性があれば気持ちが入った取り組みができるはずだ
  • 進取の気性を持っていて頼もしさを感じた
  • ビル街の下から見上げた風景

    惰性の対義語もこの機会に知っておきましょう

惰性の英語表現

惰性の英語表現は「inertia」ですが、この単語は物理的な観点で使用します。会話で使用する場合は「out of habit」などが良いでしょう。「out of habit」は、惰性のほかに癖や習慣も表します。

<例文>

  • You are jogging out of habit.
    あなたは惰性でジョギングしている。
  • きれいなオフィスの様子

    惰性の英語表現も理解しておきましょう

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惰性という言葉はだらだら何かをしているという意味があるため、マイナス的な要素を含む時に使用されます。類語や対義語を交えながら、伝えたいニュアンスに合った言葉を選びましょう。

惰性という言葉の意味や使い方を正しく理解して、ビジネスに活かしましょう。