ニコンから、明るく高性能な50mmの標準レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」が登場しました。ミラーレスのZシリーズ用の交換レンズで、開放F値がF1.2と明るいのが特徴です。上質かつ高品位なボケ味を実現するとともに、高速で高精度なオートフォーカスによるピント合わせが可能になっています。写りは本当に「スゴい!」のひとことで、Zシリーズユーザーの期待に応えてくれる1本だと感じました。
続々と交換レンズが登場するニコンZマウント。大口径、ショートフランジバックのミラーレスカメラ専用設計のため、どのレンズも高性能かつ高画質なのがポイントです。2020年12月に販売が始まった「NIKKOR Z 50mm f/1.2 S」もその1本です。
50mmの標準レンズとしてはかなり大きくて重たいのですが、実写するとそのワケが分かりました。開放F1.2という薄いピント面はとてもシャープなのに、その前後はスムーズで奥行きを感じさせるとてもシルキーなボケ味なのです。思わず唸ってしまうほどの写りを見れば、このレンズが欲しくなってしまうでしょう。
ミラーレス一眼カメラ専用設計とすることで理想的な光学設計にでき、描写性能の向上につながっているのです。画面中央部はもちろんのこと、周辺部までしっかりと描写する「像面平坦性」も高く、豊かで大きいボケを実現しながら、高い点像再現性、軸上色収差の低減、高い逆光性能と、理想のレンズに仕上げられているといえるでしょう。
レンズ構成は15群17枚(EDレンズ2枚、非球面レンズ3枚、ナノクリスタルコートおよびアルネオコートあり)で、9枚の絞り羽根で円形絞りとなります。最短撮影距離は0.45mで、大きさは約89.5mm(最大径)×150mm、重さは約1,090gとなっています。
レンズ自体のサイズは小さくありませんが、この写りで高精度なオートフォーカスができるのならば納得できます。Zマウントレンズの最高峰に位置づけられている開放F値「0.95」の特別なレンズ「Z 58mm f/0.95 S Noct」は、オートフォーカスではなくマニュアルフォーカスなのですから。実用面、そしてプライス的にもは現実感があり、「勝負レンズ」として普段使い可能なプライムレンズだと感じました。
レンズ外観上の特徴は、先にインプレッションした超広角ズームレンズ「Z 14-24mm f/2.8 S」と同じように、鏡筒部に「情報パネル」を装備し、絞り値や撮影距離、被写界深度などを表示可能。鏡筒の側面には、カメラボディからファンクションを割り当てられる「L-Fnボタン」を装備しています。おなじみとなったコントロールリングも搭載されていて、フォーカス、絞り、露出補正など機能を設定可能となっています。「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」などの大三元ズームと一緒に使っても、すんなりとシステムに溶け込むデザインとなっています。
ズーム主体のレンズ構成にこの50mm F1.2を迎え入れると、撮影がグンと楽しくなることは間違いありません。Zユーザーならば、ぜひ一度この高品位な描写やボケ味を味わってほしいと感じます。