親しい、和む、という字を用いた「親和性」という言葉。元々は化学用語ですが、マーケティングやIT分野などのビジネス関連や人間関係において、能力や適性、相性を示す際に使われることが多い言葉です。
「親和性が高い」「親和性が低い」「親和性の高さが伺える」「親和性が重要だ」「親和性に期待が持てる」「親和性がない」「親和性の確保」などの使い方をします。本記事で「親和性」の詳しい意味や使い方と例文を知り、ビジネスに生かしましょう。類語や対義語、英語表現もまとめました。
親和性とは? 意味や読み方をわかりやすく解説
早速、親和性の意味や読み方を見ていきましょう。
親和性の意味は、物事同士の相性の良さ
親和性とは、「物事を組み合わせたときの相性の良さ」という意味と、「お互いへの親しみや仲良くすること」などの意味を持つ言葉です。後述するように元々は化学用語でしたが、一般的な会話にも用いられるようになりました。
「親和性が高い」「親和性が低い」「親和性がある」などの形で使われる
親和性という言葉には、一般的には「AとBは親和性が高い」「AはBに親和性がある」といった表現で使われることが多いですが、他にもビジネスや一般的に使われる言葉の意味と化学などの専門分野で使われる言葉の意味があります。伝える内容によって使用するシーンが異なるため、注意しましょう。
親和性の読み方は「しんわせい」
親和性は「しんわせい」と読みます。
使用場面ごとの、親和性の使い方と例文
親和性という言葉には、ビジネスシーンにおける親和性の使い方・ITシステムにおける親和性の使い方・化学分野における親和性の使い方・人間関係における親和性の使い方、などがあります。各場面での親和性の使い方や例文を知り、シーンに合わせて正しく使いましょう。
ビジネスシーンにおける親和性の使い方
親和性は化学で主に使われる表現ですが、ビジネスシーンでも相性が良いことを伝える際に用いられます。
例えば、「色や形のバランスに関しては親和性を意識して、それぞれの配置を決めていきたい」「もう少し作品との親和性を考えてブラッシュアップしてほしい」「世の中のニーズとの親和性が認められなければ、新商品の売れ行きは悪いだろう」などの使い方あります。
ITシステムにおける親和性の使い方
親和性には相性や互換性と近い意味があるため、ITシステムに関する内容にも親和性という言葉は使用できます。
例えば、「新しいシステム導入は今使用しているサーバーとの親和性を兼ねて選ぶべきだ」「親和性がないとデータ破損が起きる可能性が高い」「ソフトウェア制御によって、ITシステムとデータセンターの親和性を高めコスト削減を図る」などの使い方があります。
化学分野における親和性の使い方
親和性という言葉は、物質同士が簡単に結合する性質を表す化学用語です。染色色素がとある生体組織に結合しやすいという傾向や、細菌やウイルスが特定の細胞や臓器において増殖しやすい傾向などを指します。化学分野での使い方を知っておくと意味を理解しやすいでしょう。
例えば、「理科と数学は親和性が高いため理数系と言われる」「組織親和性の高い化学療法を模索中だ」などの使い方があります。
人間関係における親和性の使い方
最近では人間関係において「仲良くすること」「相性が良いこと」という意味で用いられることもあります。また、周りとなじむ力が高い方やコミュニケーション力の高い人を「親和性の高い人」と表すこともあるでしょう。
例えば、「一緒に企画に取り組んでみて、意外にも彼と私の親和性は高いことが分かった」「親和性の高い人は対人関係において空気を読む力がある」という使い方が可能です。
親和性の類語・言い換え表現
親和性の類語には、融和性・相性・互換性・なじみやすい、などがあります。類語を知ることで違う言い回しができるので、同じ言葉ばかり使う表現を防げるでしょう。
類語ごとにニュアンスや使用するシーンが違います。親和性の類語と使い方を知って、正しく場面で活用しましょう。
融和性
「融和性(ゆうわせい)」は、馴染(なじ)んで融合する性質、打ち解けて仲良くすること、という意味を持つ言葉です。個人間だけではなく、企業同士や国同士の状況を表す際にも使われます。
例文としては、「今後状況が好転するには周辺諸国との融和性が鍵になるだろう」「国民に対して融和的な政治は、政局の安定化が目的だ」「内部の団結力を高めるには、まずは融和性が課題だ」などがあります。
相性
「相性(あいしょう)」は、2人もしくは複数あるものが持っている性格や性質が合うかどうか表す言葉です。物事の相性の良さを表す親和性と同じような意味を持っています。
例文としては、「私と彼は相性が良く、一緒にいると心地よい」「専門分野が違うからこそ、お互いの知識を生かしやすく相性が良い」「性格や価値観など相性の良い2人は後に結婚した」などがあります。
互換性
「互換性(ごかんせい)」は、他のものと交換可能な性質、という意味の言葉です。特に他の機械部品と交換できる意味で使用されます。
例文としては、「この2つは互換性が高いためどちらを選択しても問題はない」「PS5はPS4のソフトと互換性がある点も購入意欲に拍車をかけた」「互換性の有無を確認しないと、データを破損させる恐れがあるでしょう」などがあります。
なじみやすい
「なじみやすい」は、打ち解けやすい、親しみやすい、うまく混ざり合う、などの意味があります。物事以外にも人間同士が醸し出す空気感に対して使用されるため、「親和性が高い」と言い換えられるでしょう。
例文としては、「彼の完璧すぎないところが、人からなじみやすいと感じられる点だろう」「所属していた部活はなじみやすい環境だった」などがあります。物質同士の結合に関して言う際は、親和性を使ったほうがふさわしいでしょう。
親和性の対義語
親和性の対義語には、排他性・疎外・相容れない・閉鎖的、などがあります。どの言葉も親和性と反対の意味を持つ言葉です。それぞれの対義語の意味や使い方を知り、シーンに合わせて正しく言葉を選びましょう。
排他性
「排他性(はいたせい)」とは、仲間と見なしたもの以外、退けて受け入れない様子を表す言葉です。外部を嫌う性質などを言う際に用いられます。
例文としては、「出向先企業はエリート以外への排他性が強いため、肩身が狭い思いをした」「君はどことなく排他性のある発言が多いと友人に注意された」「特許権とは、排他性と独占性を併せ持っている」などがあります。
疎外
「疎外(そがい)」は、嫌ってのけ者にする、よそよそしい態度をとる、遠ざかって関係を薄くする、などの意味を持つ言葉です。
例文としては、「私は都会から来たというだけでこの地域で疎外されている」「仲間から疎外されることはつらい」「専業主婦生活が長く、社会から疎外された気持ちになっている」「疎外感を覚えるのは単なる被害妄想なのだろうか」などがあります。
相容れない
「相容れない(あいいれない)」は、互いの主張や価値観、立場が反対で容認できない、お互いに受け入れられない、一緒には成り立たない、などの意味があります。片方だけではなくどちらも受け入れられない、という時に使用します。
例文としては、「最初に言葉を交わした瞬間、相容れないと感じた」「彼とはビジネス上相容れない立場だが、人間的には好ましい」「性格的に相容れないため、彼とは違う道を歩んだ」などがあります。
閉鎖的
「閉鎖的(へいさてき)」は、自分や仲間内の輪を重視して、外部のものを拒否する様子を表す時に使われる言葉です。
排他と似た言葉ですが、排他的は自分とは違うものや異質なものを排除する意味があり、閉鎖的は異質かどうかではなく、外から来た者に門を閉ざす意味合いで使われます。
例文としては、「閉鎖的な社会の中で孤立した」「閉鎖的な日本は、開放的な米国社会や文化を見習うべきところがある」などがあります。
親和性の英語表現
親和性の英語表現には、affinity・compatible・friendship・chemistryなどがあります。それぞれの単語の違いを知り、親和性の例文を交えた英語表現を参考にビジネスで生かしましょう。
affinity
「affinity」は、親和性のほかに、類似点、類縁性、姻戚関係、親近感、密接な関係などの意味を持つ単語です。
例文としては、「I found out how to calculate the affinity.(親和性の計算方法を見つけた)」「This liquid has a lack of affinity for oil.(この液体は油に対する親和性の欠如が見られる)」などがあります。
compatible
「compatible」は、互換性のある、調和して、両立できて、矛盾なく、一致して、などの意味を持つ単語です。
例えば、「What browser is compatible with HTML5?(HTML5と互換性のあるブラウザは何だろう)」と表現した場合、「compatible」を「互換性」と訳していますが、システムの相性の良さを意味するため、親和性と捉えても良いでしょう。
friendship
「friendship」は、友情、交友関係、などの意味を持つ単語です。人に対して相性が良いという意味で使用します。
例えば、「I have a high friendship with people who are said to be ""strange"".(私は「変わっているね」と言われる方と友情が深い)」と表現した場合、「friendship」を「友情」と訳していますが、相性が良いという意味で親和性と捉えることが可能です。
chemistry
「chemistry」は、化学現象、物事の不思議な働き、人間同士の相性、などの意味の単語です。人間同士の相性について使用する際、友情のみの意味合いで使用する「friendship」と違い、「chemistry」は恋愛に対しても使用可能です。
「We had a special chemistry from the beginning.(私たちは会った瞬間から、特別に親和性が高かった)」という使い方が可能です。
親和性の意味や使い方を理解して使いこなそう
親和性は日常会話で頻繁に使われる言葉ではないため、詳しい意味を知らなかった方も多いのではないでしょうか。基本的には、ITシステムや化学分野で使われるケースが多く、人同士のコミュニケーションにもよく使われます。
ビジネスでも、仕事で使用する機器類に関する話や開発製品についての話、また、人間同士の相性について話す際に使うこともあるため、親和性の意味や使い方を理解しましょう。