「私は門外漢なので、詳しいことはわかりませんが…」のように、「門外漢」という言葉が使われている場面を見聞きしたことはありませんか。本記事では、「門外漢」の詳しい意味や使い方、類語などを紹介します。

  • 「門外漢」の意味とは

    「門外漢」は普段から目にすることも多い熟語ですので、しっかり意味を覚えておきましょう

「門外漢」の意味・読み方とは

「門外漢」は「専門家でない人」や「畑違いなこと」という意味の言葉です。読み方は「もんがいかん」です。

例えば、専門的な意見を求められた場合に「それに関しては門外漢なのでお答えできません」といった使い方をします。

  • 「門外漢」の意味とは

    「門外漢」を使えば、「専門ではない人」を短い言葉で表現できます

「門外漢」の由来・語源

「門外漢」という言葉の由来は、この熟語の漢字の組み合わせを考えると理解しやすいでしょう。「門外漢」は、「門」の「外」の「漢」と書きます。

「門」は文字通り建物の門という意味もありますが、ある特定の分野や、弟子となって教えを受ける所という意味があります。「漢」は「かん」の他に、常用外ではありますが「おとこ」とも読みます。

このことから門の外の男、つまり外部の男、また教えを受けていない男を表しており、部外者、専門外の人物という意味を成すようになったようです。

  • 「門外漢」の由来・語源

    「門外漢」を構成する漢字から意味を理解しておけば、忘れにくくなります

「門外漢」は女性も使える?

なお「漢」は男性を指している言葉と説明しましたが、現在では広く「人」という意味でもとらえられていて、「門外漢」は女性に対しても使用することができます。

ビジネスシーンにおける「門外漢」の使い方と例文

「門外漢」は、専門知識がないというレベルではなく、単に「詳しくない」程度のレベルでも使えます。また実際には知識があったとしても、謙遜の意味で使用する場合もあります。

ここでは、ビジネスシーンで「門外漢」が使われる状況や例文を紹介します。例文を参考に、使い方を覚えておきましょう。

門外漢である

ビジネスシーンでは、自分が詳しくない事項に対して「門外漢である」旨を述べて、相手に助言を仰ぐことがあります。

「IT分野については全くの門外漢であるため、初歩的なことからご説明願えませんか」のように、自分の専門外の事柄に対して、相手の説明や助言を求める際の序文として用いられます。

門外漢で恐縮ですが

ビジネスシーンで、専門的な知識を持つ相手に対して説明を求めたり、逆に意見や発言を述べたりするときに、「自分は専門外である」というへりくだった前置きとして、「門外漢で恐縮ですが」を使います。

前者の場合は「門外漢で(のため)恐縮ですが、もう一度ご教示いただけませんでしょうか」などのように使います。

また後者の場合は「門外漢で(なのに)恐縮ですが、〇頁の案はB案の方が適当ではないでしょうか」のように述べると、相手は提案を受け入れることも、専門的な説明をして別意見を述べることもしやすくなります。

「門外漢」はビジネスシーンで使うと失礼?

「門外漢」はビジネスシーンで使うと失礼にあたるのでしょうか。

先述したように、「門外漢」はビジネスシーンで謙譲語としてよく使用される言葉なので、自分のことを「門外漢」というのは特に失礼にはあたりません。

自分以外の人に対して使うのは、「無知だといわれたみたいで嫌だな」と思われる可能性があるので、避けた方が無難です。

  • 「門外漢」の使い方・例文

    ビジネスシーンでは、「門外漢」を謙譲の意味合いで使うこともあります

「門外漢」の類語、言い換え表現

「門外漢」と類似の意味を持つ類語を覚えておけば、「門外漢」を使いづらい場面や状況のときに、適切な類語に言い換えて同じような内容を表現できます。

会話や文章の語彙力を増やすためにも、「門外漢」という言葉と併せて類語も覚えておきましょう。

素人

「素人(しろうと)」は、「その道で必要な技能や知識をもっていない人」を指す言葉です。この意味において、「門外漢」の類語として使えますが、「門外漢」に比べるとかなりストレートな表現になります。

「生産管理については門外漢なので」に対し、「生産管理については素人なので」と述べることができます。

畑違い

「畑違い」とは「専門分野や領域が異なること」を指す言葉です。「畑違い」が「門外漢」と若干異なるのは、単に専門外であることを表現するだけでなく、ほかに自分の専門分野や領域があることを暗示している点です。

「私にとって生物学は畑違いだ」といった場合、生物学についての専門性はないけれど、自分が専門としている学問が他にあることを意味しています。

専門外

「専門外」は「門外漢」と同義ですが、よりストレートな表現になります。確実に内容を伝えたいときは、「専門外」を使った方が伝わるでしょう。

「その領域については門外漢です」よりも「その領域については専門外です」の方が、誰でも理解しやすいですね。

部外者

「部外者」も「門外漢」の言い換えに使えます。例えば「あのプロジェクトに関しては門外漢だったので」は、「あのプロジェクトに関しては部外者だったので」と言い換えられます。

ただし「部外者」には専門性の有無に関する意味は含まれておらず、単にある組織や事柄に関係ない人、属していない人という意味を表します。「門外漢」を伝わりやすい言葉で言い換える際は、内容に応じて「部外者」と「専門外」を使い分けると良いでしょう。

  • 「門外漢」の類語・言い換え表現

    「門外漢」の類語も併せて覚えておきましょう

「門外漢」の対義語

「門外漢」の類義語を習得したら、対義語についても意味や使い方を覚え、さらに語彙力を強化しましょう。ビジネスシーンでは比較・対比の文章を使うことが多いので、対義語が使えれば表現の幅が広がります。

ここでは、対義語の意味や使い方を例文も交えて解説します。例文を参考にしながら、ビジネスシーンでの使い方を覚えていきましょう。

専門家

「専門家(せんもんか)」は「特定の学問を専門に研究または担当して、精通している人物」の意味で使われます。そのため、「門外漢」が「専門外」のことを表現しているときの対義語として使えます。

「私はイタリア語については門外漢だが、フランス語については専門家と言える」のように、対比する文章を組み立てられます。

玄人

「玄人(くろうと)」は「あることを職業または専門としている方」や「専門家」という意味で使われます。「門外漢」を「素人」という意味で使っているときに、対義語として使えます。

「プロ野球選手は野球に関しては玄人だが、卓球に関しては完全に門外漢だ」のように対比する文章を組み立てられます。

熟練者

「熟練(じゅくれん)」は、「慣れて手際よく、かつ上手にできること」の意味で使われます。「門外漢」を「専門性がない」という意味で使う場合に「熟練者」は対義語になります。

「彼は門外漢で役に立たないので、別の熟練者を手配した」といった対比する文章を組み立てられます。

達人

「達人(たつじん)」は、「技芸や学問の奥義に達している人物」を指す言葉です。「門外漢」を「専門外」という意味で使っている場合に対義語として使えます。

「彼は武道に関しては達人レベルだが、球技はまったくの門外漢だ」のように対比する文章を作成できます。

  • 「門外漢」の対義語

    「門外漢」の対義語を覚えれば、ビジネスシーンで使える表現の幅も広がります

「門外漢」の意味を正しく理解し、ビジネスでも使いこなそう

「門外漢」の意味や使い方は理解できたでしょうか。ビジネスシーンで「門外漢」をどう使っていくかは、例文をいくつか参照することで身に付いていきます。

専門性の高い場面では、「門外漢」を使って自分の立場をはっきりさせたり、相手の専門知識を引き出したりしてみましょう。

また「漢」は「おとこ」という言葉に由来していますが「門外漢」は女性にも使える点もしっかり覚えておきましょう。