1月13日、KDDIはオンライン専用の新料金ブランド「povo」(ポヴォ)を発表しました。ドコモの「ahamo」に対抗しつつ、サービスを追加できる“トッピング”機能には独自の魅力があります。大容量プランやUQ mobileの値下げも同時発表し、最後発の優位性を活かして勝ちにきた印象です。

  • KDDIがahamo対抗の新料金「povo」を発表

povoの魅力はトッピング、24時間使い放題は200円

携帯キャリアによるオンライン専用の新料金プランとして、ドコモの「ahamo」(アハモ)、ソフトバンクの「SoftBank on LINE」(コンセプト名で正式サービス名は未定)に続き、KDDIが「povo」(ポヴォ)を発表しました。

  • オンライン専用ブランドとして若い世代を意識。発表会のライブ配信には「LINE LIVE」を利用した

各社ともにデータ容量は20GB、ネットワークは上位ブランドと同じ品質、手続きやサポートはオンラインのみ、同一キャリア内では手数料なしで移行でき、家族割などの割引がないシンプルな料金体系といった点で共通しています。

その中で最後発となったKDDIは、他社より500円安い「20GBで2,480円」を打ち出しました(価格は税別、以下同)。他社との違いとして、音声かけ放題は別料金になっており、5分かけ放題を月額500円で追加すると月額2,980円になり、他社と横並びになります。

最大の特徴は、専用アプリから機能やサービスを追加できる「トッピング」機能です。音声のかけ放題は1カ月単位、データ使い放題は24時間単位で追加できます。24時間の使い放題は200円と安く、オンライン授業など特定の日だけ無制限で使いたい人に最適。しかも、テザリングも使い放題の対象です。

  • 24時間のデータ使い放題を200円で追加できる

将来的にトッピングは追加予定としており、「2時間ムービー見放題」や「24時間SNS使い放題」といった可能性を挙げています。発表会後には、KDDIの高橋誠社長のもとにコンテンツ事業者からさっそく打診が来たとのこと。さまざまなパートナーと連携したトッピングに期待できそうです。

  • 今後のトッピングの可能性として、動画やSNSの使い放題を示した

3キャリアのプランが出揃ったことで、同じ月額2,980円で並ぶ楽天モバイルを含め、どのプランに移るか検討を始めたい人もいるはずです。ただ、povoは海外ローミングの扱いを検討中としているなど、3キャリアはお互いの出方をうかがっている状態です。3月のサービス開始を待ってから考えても遅くはないでしょう。

朗報といえるのは、5G対応の拡大です。これまで、KDDIは「みんなの5G」を掲げつつも、実際には最上位のauのみが5Gに対応していました。これが今夏にはpovoとUQ mobileにも5G対応が広がります。「みんなの5G」の実現に向けて、大きな一歩になりそうです。

auの大容量プランも値下げ、料金は分かりやすく

発表会の目玉となったpovoに加え、KDDIはauの大容量プランとUQ mobileについても値下げを発表しました。

auでは、使い放題の大容量プラン「使い放題MAX 5G」と「使い放題MAX 4G」は料金を月額6,580円に引き下げ、ソフトバンクと同じ価格になりました。データ利用量が3GB以下の月は1,500円を割り引く点も同じです。従来のデータMAXと同じく、テザリングには30GBまでの制限があります。

  • auの大容量プランは6,580円で、ソフトバンクと横並びに

これまで批判の声が多かった料金表示については、割引前の「定価」を大きく表示。期間限定の割引もなく、ずっと同じ料金になりました。そのうえで、家族割やauスマートバリューなどの割引を適用すると、家族3人では月額4,480円になります。家族でauのサービスをフルに活用したい人におすすめといえます。

  • 割引前の料金をベースに表示。期間限定の割引もなくなった

UQは攻めの値下げでMVNO並みの水準に、povoにはない魅力も

そして今回、最も挑戦的な値下げを仕掛けてきたといえるのがUQ mobileです。UQは、2月から20GBの「スマホプランV」の開始を予告していましたが、これを改めると同時に、「くりこしプランS/M/L」という3つのプランにリニューアルしました。

  • UQは3段階の新料金にリニューアル。データの繰り越しもお得感がある

悩ましいのはpovoとの比較です。UQのプランMは15GBで2,480円、povoは20GBで2,480円と似ています。UQはデータの繰り越しができるほか、従来通り店舗対応も含まれており、全国200カ所の店舗「UQスポット」や、UQも取り扱う新しいauショップ「au Style」を利用できます。

注目は、1人で契約してもこの料金という点です。競合となるワイモバイルでは、光セット割や家族割を適用しなければ同じ金額にはなりません。しかもUQのプランMとプランLはワイモバイルより5GBずつ容量が大きく、データ繰り越しにも対応しているなど、横並びではない攻めの姿勢が感じられます。

小容量では、3GBで1,480円とMVNO並みに安いプランSに注目です。KDDI子会社のMVNO「BIGLOBEモバイル」では3GBで1,600円と、UQのほうが安くなる逆転現象が起きています。他にも多くのMVNOが似たような価格帯のプランを主力にしていることから、値下げや容量追加といった対抗策を迫られることになりそうです。