メディアミックスガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』。プロジェクトの一環として、キャラクターを演じる声優がリアルでもバンド活動を行っており、これまでに4つのリアルバンドが誕生している。
今回は、最初のリアルバンド・Poppin’Party(ポッピンパーティ)でキーボードを担当する伊藤彩沙(市ヶ谷有咲役)と、第4のリアルバンド・Morfonica(モルフォニカ)でドラムを担当するmika(二葉つくし役)にインタビューを実施。これまでの活動を振り返りながら、それぞれの最新シングル「Photograph」と「ブルームブルーム」の聞きどころ、そしてこれから実現したい夢について語ってもらった。
●有咲とつくしの個性と魅力
――まずは、それぞれが演じるキャラクターの紹介をお願いします。
伊藤 私が演じる市ヶ谷有咲ちゃんは、Poppin’Party(ポピパ)でキーボードを担当しています。元々は引きこもりで、ずっとおうちにいるような子でした。それが、高校に入学して(戸山)香澄やポピパに出会うことで、外の世界を知り、今では他のバンドメンバーとも楽しく話せるようになりました。親しい人に対してツンツンしてしまうところもあるのですが、それは照れ隠しでもあり、彼女なりの愛情表現でもあるんです。そういうツンデレっぽい一面も彼女の魅力ですね。
――香澄と出会った頃はツン要素が強かった印象でしたが、最近はデレ要素もしばしば見られるようになってきた気がします。
伊藤 とても素直になりましたよね(笑)。たまに過去のアニメ映像や『ガルパ』(スマートフォン向けアプリ『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』)のストーリーを見返してみると、「こんなにツンツンしていたんだな」と思っちゃいます。今ではだいぶ丸くなり、元々持ち合わせていた優しさがにじみ出ていると感じています。
mika 私が演じる二葉つくしちゃんは、月ノ森女子学園に通う1年生で、学校では学級院長を務めています。Morfonica(モニカ)ではドラム担当であり、リーダーでもあるんですよ! ……自分で買って出たんですけどね(笑)。「リーダーだからみんな引っ張らないと!」という気持ちが強く、しっかり者であろうとするのですが、ミスしたり忘れ物が多かったりと、ちょっと抜けているところがあって……。本人はそれに気が付いていないのですが、周りの子たちからは「つくしちゃんだからしょうがないよね」と思われちゃっています(笑)。そういう抜けているところが、絶妙に可愛らしい子ですね。
――mikaさんは、『BanG Dream!』でドラム技術講師としてコンテンツに関わってきました。そしてひとりのキャラクターを演じる声優としても、プロジェクトに関わるように。声優としてキャラクターを表現してみることの難しさは感じていますか?
mika すごく難しいです。私としてはつくしちゃんに抜けているところがあることを知っているけども、つくしちゃん本人は自分がしっかり者だと思っている。自分では分かっているけども、つくしちゃんとしては分かっていないという状態で表現するのって、こんなにも大変なんだと痛感しています。それでも、つくしちゃんをもっと好きになってもらえるよう、頑張っています。
――声優の先輩方からアドバイスをもらったことはありますか?
mika ドラムレッスンのときに、はっしー(山吹沙綾役・大橋彩香)やめぐちゃん(宇田川あこ役・櫻川めぐ)に色々と聞きながら、アドバイスをもらっています。その内容は企業秘密なので、ここでは言えません(笑)。でも、周りに相談できる仲間がいてくれて、とても心強いですね。困ったときはひとりで悩まずアドバイスをもらって、ひとつでもできることを増やしていきたいと思います。
●他バンドと交流することで見つかったポピパらしさ
――おふたりはキャラクターを演じるだけでなく、リアルでバンド活動もされています。それぞれのバンドの特徴についても教えてください。
伊藤 ポピパも気が付けば結成して5年以上が経ちました。その歴史もあってか、ファンの人たちからも、私たちのやり取りに「実家感がある」と言ってもらえるようになったんです。ただ、そこに至るまでには色々な経験やチャレンジがありました。私は楽器未経験でしたし、一部メンバーを除きそれぞれが「はじめまして」の状態だったので、最初は試行錯誤の繰り返しでした。
色々なことを試したり話し合ったりしながら、いいところはそのまま残して、ちょっと違うと思った部分は改善してきました。その中で、Roselia(ロゼリア)さんやRAISE A SUILEN(レイズ ア スイレン/RAS)さん、モニカさんなどのリアルバンドや、『BanG Dream!』メンバーとも交流し、ポピパらしさ、自分らしさを見つけることができたんです。
――その見つけた「個性」とは、どのようなものですか?
伊藤 ポジティブでハッピーな気持ちになれるパフォーマンス、そして色んな表情があるところが「らしさ」かなと思っています。この前、ここ何度かのナンバリングライブ を見返したのですが、みんな全力で、それでいて楽しんでいて。その様子を見ていると、自分たちのライブにも関わらず、すごく感動して。「エモい」ってこういうことなんだなと思いました。
――ポピパのライブを見ていると「明日からも頑張っていこう!」という活力がもらえます。
伊藤 そう思ってもらえるのはすごく嬉しいです! これからも、みんなの背中を押せるバンドでありたいです。
――紆余曲折を経てそういう形に落ち着いたのは、キャラクターたちの物語ともリンクしている気がします。
伊藤 そうですね。アニメ第1期では、バンドを結成したものの、歌えなくなっちゃったり、メンバーとの関係性で悩んだりなど、さまざまな壁にぶち当たっていました。私たちも同じような経験をしてきたので、本当にキャラクターと一緒に成長させてもらっているなと感じています。
――『BanG Dream!』の道を切り開いてきたポピパ。その背中を追いかけるように第4のリアルバンドとして登場したのが、モニカです。
mika マイペースな子ばかりなので、すごく柔らかい雰囲気が漂っています。もちろん練習では真剣なのですが、休憩中は各々が好きなことをやっているんですよ。一緒に話をするときも、いま自分がハマっているゲームやアニメの話を永遠にしている(笑)。
こんなにも性格が違う人が集まったら、きっと普通ならまとまらないと思うんです。それでもモニカは、それぞれが個性を尊重し合っているから、バンドとしてもちゃんと成立しているんですよね。そういう雰囲気や性格は、キャラクターともリンクしていると思います。リンクし過ぎているせいか、ふとした瞬間に、メンバーのことがキャラクターに見えるときがあるんですよ。
――そんほどまでにリンクしているとは!
mika そうなんです。例えば、2020年最後のレッスン。あの時、倉田ましろ役の進藤あまねちゃんが別のお仕事で来られるかどうかわからなかったんですよ。だから、そのひとつ前の練習で「一緒に練習できるのは、今日が今年最後かもしれない」と、あまねちゃんが寂しがっていたら、桐ヶ谷透子役の直田姫奈ちゃんが「あ、そんなんだ、お疲れ!」って軽く返したんです。そのやり取りがもう、ましろちゃんと透子ちゃんとそのままで(笑)。
伊藤 確かに(笑)。
mika そして、それを見守る他のメンバー。もう、モニカそのものだと思いました。
――それぞれのバンドについて聞いてきましたが、今回はせっかくなので、お互いのバンドの印象についても教えてください!
mika ポピパは、とてもハッピーで仲のよいバンド。それでいて、舞台に立ったときは、完全にミュージシャンの顔になるんですよ。私は技術指導という立場でポピパのリハーサルにも立ち会わせていただいているのですが、いつも無駄がないんですよね。ダラダラと曲の練習をするのではなく、「今日はこの部分ができるようになる」とメンバーで決めたり、音がぶつかりがあったときには「私がこうするね」と相談したりして、問題を解決する。
また、ライブ会場の大きさに併せて、リハーサルの段階から音や音量のバランスを調整しているんですよ。こういうのは、何年もやってきたチームワークが成せる技だと思います。これが、声優さんがバンド活動も行うという新しいコンテンツの道を切り開いた子たちのパワーなんだなぁと、いつも感心していますね。
――私も学生時代にバンドをやっていましたが、メンバーそれぞれが自分の演奏にがむしゃらで、音量がバラバラだったんですよ。同級生がやっていた他のバンドでも、ギターの音量大きすぎ問題とか、ボーカル聞こえない問題とかが起こりがちでした。
伊藤 私たちも昔はそうでした。
mika 私も高校生のころはとにかく全力でドラムを叩いていて、音量調整なんてあまり考えていませんでした。むしろドラムは生音だからそっちが合わせてよという気持ちでいた気がします(笑)。でも、ポピパちゃんは、音量調整をしないといけないことに自分たちで気が付いて、毎回対策をしている。恐ろしいなとすら思っています。
伊藤 mikaさんにそう言ってもらえるのは本当に嬉しいです! でも、モニカさんはまだ活動がスタートしてからそれほど日が経っていないのに、もう役割分担がしっかりしていますよね。この子はよく喋るキャラだからMC担当など、メンバーのポジションがすでに確立されている。あとは、mikaさんも言っていましたが、本当にバンドの雰囲気がまったりとしているイメージがあります。モニカさんとはまだそれほど一緒に時間を過ごしていないので、もっと交流したいです!