米国時間の1月11日にGartnerとIDCが、2020年の世界PC出荷台数の調査結果を発表した。ステイアットホーム、リモートラーニング、テレワークなどでコンシューマ向けPCの大きな需要が生まれ、新型コロナ禍の影響を受けた製造工場やサプライチェーンも第2四半期以降に供給ペースを取り戻し、2020年通期では10年ぶりの大きな伸びになった。
Gartnerの2020年世界PC出荷台数(暫定値)は2億7,515万台、前年比4.8%増。2年連続で前年を上回ったが、1年前に同社が発表した2019年の世界PC出荷台数は前年比0.6%増と微増だった。それでも減速傾向にあったPC市場において、Windows 7のサポート終了に備えた買い換え需要を追い風とした8年ぶりの伸びが話題になった。それを大きく上回る今年の4.8%増は、同じ伸びでも需要の力強さが異なる。
昨年までコンシューマPC市場ではスマートフォン優先への動きが鮮明だった。そうした流れがCOVID-19の感染拡大によって変わった。「若い子ども達を含むコンシューマが、仕事、学校、ソーシャライズやエンターテインメントのためにPCを頼りにし、PCが必要不可欠なデバイスとして再浮上している」としている。
ベンダーのトップ3は、1.Lenovo (6,851万台)、2.HP (5,836万台)、3. Dell (4,503万台)。上位ベンダーで最も伸び率が大きかったのは、前年比22.5%増のApple (2,245万台)だった。
IDCの調査だと、世界PC出荷台数(暫定値)は3億261万台で前年比13.1%増。ベンダーのトップ3は、1.Lenovo (7,267万台)、2.HP (6,765万台)、3. Dell (5,030万台)。Gartnerのデータより出荷台数が多いのは、IDCはChromebookのようなPCデバイスも幅広く含めているためだ(タブレットは除外)。
IDCは、コロナ禍を通じてコンシューマPCの需要が上昇しただけではなく、PCユーザーのPCの使い方の変化も市場拡大の要因になっていると指摘する。ここ数年PC市場で大きな伸びを示し続けていたゲーミングPCが引き続き好調で、ゲーミング向けのモニターと共に昨年に過去最高を塗りかえた。北米を中心に教育市場におけるChrome OSデバイスの採用が加速したが、Chrome OSデバイスの勢いは教育向けにとどまらず、一般のコンシューマ市場にも浸透し始めている。コロナ禍収束後も、それらがPC需要を下支えするものになり得る。「需要がPC市場を押し上げており、上昇がまだ続くことを全てのシグナルが示してる」としている。