「所感」という言葉を聞いたことはあるけれども、その言葉の意味があやふやでどのように使ったらいいかわからないという方もいることでしょう。
本記事では、「所感」の意味や類義語、実際の伝え方について解説します。
所感の意味
所感とは「その時、そのような状況に立ったことで、何かに触発されるなどして抱いた感想」という意味の言葉です。特にビジネスシーンでは、「事業部の方針への所感」「マーケット調査の所感」など、さまざまなシーンで所感を求められることがあります。
現場で働いているこそ気づく些細なことや、クライアントとのやり取りの中で見えてきたことを共有することで、問題点や改善点に早期に気付ける、といったメリットがあります。
所感の類語
所感の類語としては、以下の4つがあげられます。
- 考察
- 所見
- 所存
- 感想
以下、それぞれの言葉の意味を紹介します。
考察
考察とは「物事の本質や状態などを明らかにするために、よく調べたり考えたりすること」です。
自分で考えたり調べたりすることが「考察」で、抱いた感想が「所感」です。物事の本質や状態を明らかにするというニュアンスは所感にはありません。考察はデータや根拠など何か客観的なものに基づいて調べるというイメージです。
考察は「20代に人気のあるミュージシャンのデータをもとに若者の音楽の嗜好について考察する」「○○地方で出土した遺跡をもとに、どの時代のものかを考察する」などと使います。
所見
所見とは「その時その場所でその人が見たもの、何かについての、その人の具体的な意見、どこかでそれを見た経験」などという意味です。
一見「所感」とよく似ている感じを受けます。しかし、所見とは見た上での見解の意味が強く、使い方を見るとその区別が明らかです。例えば、医師は患者を診察してその「所見」を述べます。
所存
所存には「心中に思うところ・思惑・考え」という意味があります。わかりやすく言うと、「~と思います」「~の考えがあります」ということです。
所感は「所感を述べる」と使いますが、所存は「所存を述べる」とは使いません。ビジネスメールや履歴書などでは「全力を尽くす所存です」「責務を果たす所存です」「一致団結して取り組む所存です」などと使います。
感想
感想は「ある事柄について感じたこと」という意味です。読書感想文や、○○についての感想を述べなさいなど、学校生活でもよく目にした言葉でしょう。
感想の場合は、ただ感じたこと、ただ思ったことを述べればよいのですが、所感は次につながる何か、例えば改善点や反省点までを述べるので、そこが大きな違いです。
ビジネスシーンで「所感」が求められるのはどんなとき?
どのような場面で所感を述べるのでしょうか。シーンが違うと所感の述べ方、書き方も変わってくるでしょう。それぞれのシーンに合わせて適切な所感の使い方を解説します。
日報
今日一日何をしたか、その中で反省点、改善点、今後につながる何かを書きましょう。「○○をしました」「どこどこに行きました」だけでは所感と言えません。
仕事をするうえでは、細かくPDCAを回していくことが大切です。日報の所感をどう書けばいいのだろうと思っている方は、このPDCAを意識して書くと、所感が書きやすいでしょう。
報告書
出張に行ったときや研修を受けたときなどには報告書を提出します。それが行われた日時や場所、目的、内容などをまず書きましょう。それに加えて、所感(「参加して学んだこと、およびそれが今後どのように業務に生かせそうか」「思いついたアイデア・意見」など)を記入します。
所感の英語表現
所感を英語で表現するには、「(漠然とした)気持ち・考え」の意味を持つ「impression」を用いるとよいでしょう。
<例文>
- State your impressions of this project.
この件に関して所感を述べてください。 - I give my impressions of this project.
この件に関して所感を述べる。