フラストレーションという言葉をご存知でしょうか。日々の出来事で上手くいかない、思うようにならない時、「フラストレーションが溜まる」といった風に使われます。精神分析学の用語ですが、広く日常的に使われるようになってきました。
この記事では、フラストレーションの意味や用法を解説していきます。様々な語彙を知ることは、自分自身と向き合うきっかけ作りになり、結果的にビジネスに活かせるというメリットになります。
フラストレーションとは? 意味をわかりやすく解説
フラストレーション(frustration)とは、欲求不満、要求阻止という意味を持つ言葉です。一般的には、欲求の満足が何らかの障害によって達成できなかった、八方塞がりのやりきれない心境を「フラストレーションに陥った」というように表現する場合が多いでしょう。
例えば、「給食で余ったパンは、本当なら給食当番である僕が食べられたのに、先生が急にじゃんけんで決めることにしたので、結局A君のお腹に入ってしまった。フラストレーションが溜まる」などのように使えます。
「フラストレーション」と「ストレス」の違い
ストレスとは英語の「stress」からきている外来語で、一般的に「精神的緊張」の状態を指します。この言葉は、「毎日クレーム事例ばかり対応していてストレスが爆発しそうだ」のように、外的な要因から引き起こされる事に対して使われるという特徴があります。
それに対して「フラストレーション」は、外的要因もきっかけではありますが、「私はとっさの対処がうまくできないし応用がきかない。フラストレーションが溜まる」などと、自分の挫折、失敗、欲求不満など内的な要因が強いことが特徴です。
フラストレーションが溜まりすぎると、周りに対して攻撃的になってしまいます。また、常に強いストレスにさらされることで、体に変調を来すこともあるでしょう。用法としては違うこれらの言葉ですが、「どちらも発散することが重要である」という点においては共通しています。
フラストレーションの使い方・例文
ここではフラストレーションの使い方・例文をご紹介します。
仕事を頑張っても評価されずフラストレーションが溜まる
理想と現実のギャップが大きすぎてフラストレーションが溜まる
風通しの悪い職場の環境は、社員のフラストレーションを引き起こす
Aさんがあまりにも厳しすぎて、部下はフラストレーションが溜まっているらしい
心理学で見る! フラストレーションを生む、たまる2つの障害
「障害」には自分の失敗、挫折、欲求不満などからくるやりきれない心境などの「内的障害」と、実在する人物や実際に起こった出来事などの「外的障害」があります。ここでは、上記2つの障害について心理学的見地から解説します。
内的障害
内的障害とは、自分が決めたルール、配慮などからくる障害です。ここでは、職場で必要な資格を取得するために猛勉強中の方を例にして解説します。
「試験が終わるまでは好きなアーティストの曲を聴かない、ライブも行かない」と決めていたところ、一番お気に入りのアーティストが10数年ぶりに来日することになりました。試験を優先してするべきか、10数年ぶりに来日したというチャンスをつかむべきか、葛藤を感じる場合は、内的障害です。
他の例としては、2歳の男の子を育児中の保護者が、「怒らない子育てをしたい」という信念のもと子育てをしていたとします。そんな時に、子供のとある行動に対して怒りの感情が生まれ、保護者は自分の信念に従ってそれを必死に抑え込むといった場合も、内的障害と言えるでしょう。
外的障害
外的障害とは、社会的、文化的な要因から自己の欲求が満たされないことを言います。例えば、上司から他県への異動を打診された際、自分は受諾したいが親の介護があり物理的に不可能な場合や、パッケージツアーのために自由時間がとれず、見たい絵画が見られなかったといった時、などです。
このように、外的要因には「自分の力ではどうすることもできない」という性質があります。
フラストレーションを解消する方法
ここでは、フラストレーションが起こらないように予防し、それを解消する方法を考えていきます。定期的に気分転換することで自己のメンタルも安定し、仕事の際の能率もアップします。以下にいくつかの方法を紹介します。
体を動かす
軽いジョギングや散歩など、運動することでリフレッシュできます。
動画投稿SNSなどに上げられている、自宅で○○ダンスを踊ろう、○分エクササイズといった自分の取り組みやすいものを選んで実践してみるのも良いでしょう。また、ヨガ、瞑想などもおすすめです。
自分に合ったものを探してみましょう。
考えを切り替える
仕事中であれば、こまめにトイレに立つようにしたり、コーヒーブレイクしたりなど作業を一旦中断してみましょう。
また歌を歌う、イラストを描いてみる、映画を観たり芸術鑑賞したりするなど、フリーな日を作るのも良いでしょう。
他にも、趣味の英会話教室に通ってみる、楽器やボードゲームなどを仲間と楽しむなど、普段の仕事とは全く違うことをするのも、気持ちが解放されてよい発散方法になります。
このように、行動を変えることが気持ちを切り替えるきっかけに繋がります。
美味しいものを食べる
たまには、美味しいものを思い切り楽しみましょう。
料理が好きな方は、自分で食べたいものを作ってもいいですし、デパ地下で調達した美味しいお惣菜を、好きなお酒と共に楽しむのもいいでしょう。休日の朝に、喫茶店でモーニングを楽しむという過ごし方もあります。
1人で味わうのも良いですし、家族や気の置けない友人と一緒に食卓を囲む「共食」も、また気持ちがゆったりします。
フラストレーションの類語
ここではフラストレーションの類語を、例文を交えて紹介します。
今回は、2つの類語「不足感」と「苛立ち」を解説します。それぞれにニュアンスが異なる部分もありますので、シーン別に使い分けるようにしましょう。
不足感
足りない事や充分でないこと、満足でないことの様子を表します。
使い方としては、「私の今回のボーナス査定額に関して、この不足感はどこから来るのだろうか。成果主義を謳っておきながら、年功序列制度が根強く残っているからだろうか」や、「対戦相手として不足感が否めない」などといった使われ方があります。
「満足ではない」という意味合いが強いため、フラストレーションよりはモヤモヤした気持ちが強く、もどかしさの度合いとしては低い印象になりますので、完全な同義語とは言えません。
苛立ち
思うようにならずに気持ちが昂り、イライラする気持ちといった意味です。
例えば、「売上が伸びず苛立ちを感じる。こちらの方が取り扱い品目や種類も豊富だし、売り場面積も大きい。競合店Aとの違いはなんなのだろうか。」といった言い回しができます。
フラストレーションの英語表現
フラストレーションは、もともと英語で欲求不満を表す「frustration」が由来の言葉です。よって、英語で表現したい場合も「frustration」を使用します。
Her anger was born of frustration.
(彼女の怒りは欲求不満から生じた)He kicked the door in frustration.
(彼はフラストレーションから扉を蹴った)
フラストレーションとストレスの違いを知っておこう
フラストレーションは、様々な要因で自分の欲求が満たされない時に使われる言葉です。
ストレスが外的要因からの現象を表しているのに対し、フラストレーションは外的要因もきっかけではありますが、自分の挫折、失敗、欲求不満など、内的な要因が強いことが特徴です。
自分なりの解消方法を試してみて、フラストレーションの溜まらない生活を心がけて下さい。そうすることで、仕事のモチベーションアップにも繋がります。