会社員として働いていても、会社や立場などによって収入には大きな差があります。それだけに自分の年収が高いのか低いのかわからず、将来に不安を抱えている方も多いでしょう。そこで、今回は年収450万円の会社員の現状や将来の展望などについてもご紹介します。
年収450万円は高い? 低い?
年収450万円といきなりいわれてもあまりピンと来ないという方も多いかもしれません。日々の生活を送る中で実際に給与という形で受け取るのは手取り額であり、実際の収入とは差があります。
また、会社員の場合、収入から社会保険料や所得税、住民税などが差し引かれた額を手にすることになりますので、実際の収入についてはあまり考えたことがないとしても不思議なことではありません。
年収450万円の生活を具体的にイメージするために、まず実態についてくわしくご紹介していきます。
日本の会社員の平均年収
年収450万円という金額を考える前に、日本の会社員の平均年収について考えてみましょう。基準がなければ450万円が高いのか低いのかを判断することはできません。
国税庁が令和元年に発表した「民間給与実態統計調査(※1)」によると、日本の給与所得者の平均年収は約436万円となっています。男女別で確認すると、男性が約539万円で女性が約295万円。そして正規雇用が約503万円、非正規雇用が約174万円という結果になっています。
性別や雇用形態によって収入にはかなり大きな差があるものの、全体の平均で見ると年収450万円は比較的高い収入であるといえます。とはいえ、正規雇用者に限定して考えると平均よりやや低い収入となりますので、微妙なラインであるともいえるでしょう。
年収500万円の壁
前述の通り、令和元年の「民間給与実態統計調査」によると正規雇用者の平均年収は500万円を超えています。また平成30年の厚生労働省による「国民生活基礎調査(※2)」によると2017年の平均世帯年収は約550万円となっており、こちらでも500万円を超えています。
とはいえ、前述の「民間給与実態統計調査」によると、収入の分布でもっとも多いのは年収300万円超、400万円以下で全体の17% 、次いで400万円超、500万円以下となっています。
近年では共働き世帯が一般的になりつつあります。しかし年収500万円は日本の世帯において標準的な収入であると同時に、未だなかなか超えられない壁であるともいえるでしょう。
年収450万円で満足できる?
では、年収450万円では満足な生活を送ることができないのでしょうか? リクナビNEXTが2018年に行った調査によると年収400万円台の方の過半数が現状の収入に満足している、あるいは不満はないと回答しています(※3)。
このデータから見るに、年収450万円台という収入は満足な生活を送ることができる一定のラインを超えていると考えることができます。
また、これは推測になりますが年収450万円の場合、日本の平均的な世帯年収と比較すると100万円ほどの差があります。現在では共働き世帯も一般的になっているため、単独収入が450万円でも世帯年収で考えるとカバーできているため満足しているという方も多いかもしれません。
年収450万円の会社員の手取り額
年収450万円台の方の立ち位置などについてご紹介しました。続いては年収450万円台の会社員の現状について、先述の調査内容を基に考えていきましょう。
毎月の手取り
会社や家族構成によって同じ年収であっても毎月の手取りには違いがありますが、年収400万円台の方の平均月収は約28万円となっています。そのため年収450万円代になると、この平均値よりやや高く30万円前後になると推測されます。
ボーナスや貯金額
年収400万円台のボーナスの平均額は、約74万円となっています。こちらも450万円台に限定するともう少し高くなると推測されます。
ただし、ボーナスについては会社の規模などによって大きな差があり、状況によってはボーナスそのものが支給されないといったケースもあります。特に、2020年には新型コロナウイルスの影響を受けて、ボーナスが支給できない状況の企業も散見されました。
実際に株式会社フリーウェイジャパンが行った「2020年度冬のボーナス実態調査(※4)」によると、約36% が「支給されない」、約4% が「未定」と回答しています。そのため、今後はさらにボーナスの額に格差が生まれる可能性があります。
続いて貯金額についてです。年収400万円台の場合の貯金額は平均約590万円となっています。年収450万円台に限定するともう少し高く、600万円台の可能性もあると推測されます。
年収450万円の住宅ローン
年収を問わず、将来設計を考える際に重要となるポイントのひとつとして住宅の購入が挙げられます。
現在、会社員が住宅やマンションなどを購入する際にはローンを利用するのが一般的です。そこで、気になるのは年収450万円台の場合、どのくらいのローンを組むことができるのかという点です。
ここでは年収450万円台の住宅ローンについてくわしくご紹介します。
どのくらいの額のローンを組める?
ローンの審査はさまざまな角度から行われることになりますので、断言はできませんが、年収450万円で他の借り入れなどがない場合は問題なく利用できる可能性が高いといえます。その中で、気になるのはどのくらいの額のローンを組むことができるのかという点です。
ローンの額にもさまざまな考え方がありますが、健全に返済できる額の目安のひとつとして「年収の5倍以内」というものが挙げられます。これを基準として考えると年収450万円の場合は2250万円がひとつの目安です。
なお、住宅金融支援機構によると2013年度の「土地付注文住宅」の全国平均所要資金額は約3600万円となっています(※5)。
もちろん、年収の5倍というのはひとつの目安ですので返済期間などを見直すことによってそれ以上のローンを組むことも可能です。また、貯金などによってある程度の頭金を出すことによって全国平均額以上の住宅やマンションを購入することも可能です。
毎月返済できる額を知っておく
住宅ローンを組むとなれば、毎月返済を続けなければなりません。では、年収450万円台の場合、どのくらいの額であれば無理なく返済することができるのでしょうか?
生活状況によって差がありますが、年収400万円台であれば6.5万円前後が一般的です。住宅ローンは当然借入額が大きくなれば返済額も大きくなってしまいます。「借りられるから」といって、無理なく返済できるわけではありません。毎月の返済額をしっかりとシミュレーションした上で借入額を決めることが重要です。
マイホーム購入のリスク
ローンを組んでのマイホームの購入には当然リスクもあります。将来的にも年収を維持できる、あるいは年収が増えることを前提としてローンを組んだ場合、何らかの事情によって収入が減ってしまったり、途絶えてしまったりした場合、ローンの支払いが難しくなる可能性があります。これがマイホーム購入の最大のリスクといえます。
また、ローンの支払いはできても維持管理費や固定資産税などその他の出費ができなければやはり住宅を維持することはできないので、これらをふまえて慎重に検討することが重要です。
***
以上、年収450万円台の実情や生活、そして住宅ローンなどについてご紹介しました。現代の日本において年収450万円台は決して低いとも高いともいえない微妙なラインとなっています。
それだけに、住宅ローンなどについては慎重になってしまうという方も多いでしょう。今回ご紹介したポイントを参考にして今後の将来設計をしてみてください。
参照 :
(※1)国税庁「民間給与実態統計調査」
(※2)厚生労働省「平成30年国民生活基礎調査」
(※3)リクナビNEXT「年収400万円正社員の月収や手取り、貯金額は? 」
(※4)フリーウェイジャパン「2020年度冬のボーナス実態調査」
(※5)住宅金融支援機構「2013年度フラット35利用者調査報告」