テクノロジーの力で「笑って長生き」を実現する。このビジョンを掲げ、圧倒的な低価格で家族信託を組成し、長期的な安心を提供するサービス『ファミトラ』を展開するファミトラ(旧社名:ボッサテクノロジー)の三橋克仁氏。
認知症による預金口座などの資産凍結は、他人事ではありません。そんな社会課題を解決するために生まれたファミトラは、今後、家族信託のインフラになっていくでしょう。本稿では前回に続き、税理士でありながら幾つもの事業を立ち上げてきた連続起業家のSAKURA United Solution代表・井上一生氏が、三橋氏と対談を行い、その歩みについてうかがいました。
家族信託をDXするファミトラとは
井上一生氏(以下、井上)――よろしければ、家族信託(民事信託)の基本的なことについて教えてください。
三橋克仁氏(以下、三橋)――家族信託は、判断能力があるうちに大切な財産を信頼できるご家族に託すことで、たとえ認知症などによって判断能力が低下した後でも、ご本人の希望やご家族のニーズに沿った、柔軟な財産の管理や運用を実現することを目的とした仕組みです。現金や有価証券、不動産などの“財産を管理する権利だけ”を家族に信託するということですね。
井上――家族信託を活用すれば、まだ生まれていないお腹の中にいるお子さんにも財産を残すことができますし、障がいを持っているお子さんに残すこともできる。素晴らしい仕組みなのですが、複雑で難しいのが難点ですね。良くも悪くも守備範囲が広いですから。
三橋――そうなんです。信託契約書をつくるのには幅広い知識が必要です。各分野に精通した士業オールスターを揃えないとできません。
井上――信託契約書の作成には、半年はかかり、時間だけでなく手間やお金もかかる。それが、家族信託の高い壁です。ファミトラは、複雑で難しい家族信託をDXで簡単に、しかもコストも抑えられるサービスですよね。家族信託をよりカジュアルで身近な存在にしていく可能性があると感じています。
三橋――ありがとうございます。家族信託はコストも高く、100万円~200万円近くかかります。仰るとおり半年はかかりますし、その間に何回も会って打ち合わせをしなくては信託契約書をつくれません。弁護士や司法書士の先生と打ち合わせをして、最後に作成した信託契約書を持ってご家族と公証役場に行く必要があります。
家族信託のコンサルティングの相場価格は、信託する資産の1.2%ほどですが、ファミトラですと、15万円ほどに初期費用を抑えることができます。また、信託契約書を作成した後も、信託監督人や受託者サポートなどの継続したサポートが必要ですが、ファミトラの場合、月1万円未満でもサポートが可能です。相場価格は月2万円~3万円ですから、トータルコストも抑えることができます。
井上――家族信託の価格破壊ですね。テクノロジーの力を活かすと、それくらいの価格破壊を起こせるわけですか。別のサービスに見えるくらい低コストだと思います。
信頼できる士業・専門家たちと共に
井上――三橋さんは、家族信託の抱える課題はどんなところにあると思いますか?
三橋――そうですね。まずは家族信託の認知拡大が課題だと感じています。とても良い仕組みなのですが、まだまだ知られていません。成年後見制度もまだ知られていませんし、家族信託はもっと知られていない。ファミトラもまだ新しいサービスですから、認知拡大が課題です。ぜひ多くの人に活用して役立ててほしいと思っています。
井上――啓蒙活動が必要ですね。まだ家族信託の歴史も浅いですから、信頼ある士業や企業と一緒になって啓蒙する必要があると思います。ぜひお手伝いさせてください。エンドユーザーに直接伝えていくことも大切ですが、同時にBtoBtoCで啓蒙していくことも大切だと思います。
三橋――ぜひアライアンス戦略を取っていきたいと考えています。井上さんのような戦略的でアグレッシブな税理士の先生にご協力いただけるのは有り難いです。
井上――税理士や他の士業の先生にも、ファミトラを知ってほしいですね。みんなでファミトラを広めていきましょう。本日は、ありがとうございました。