やや硬いイメージのある「証左」という言葉ですが、正しい意味や使い方をご存じでしょうか。
本記事では「証左」の詳しい意味や、正しい使い方と例文を紹介。なぜ左なのか、その由来や「証右」という言葉は無いのか、証拠など類語との違い、対義語や英語表現もまとめました。
証左の意味とは
「証左(しょうさ)」には、事実を明らかにするよりどころとなるもの、真実の裏付けとなる証拠、といった意味があります。「証拠」と意味はほぼ同じで、同じような用途で使うことも可能です。
ただし「証左」は文章に硬いイメージを持たせる時に使用されます。また小説などで、証拠とは違う言い方をしたい時、与える印象を変えたい時などに使うこともあります。
証左の由来とは? なぜ左なの?
証左の由来は、「左」という言葉が右手を「支える」ものとしての語源を持つため、「『証し』を支える」という語源からきています。
また「明らかにする」という意味もあるため、「証拠を明らかにするもの」という意味もあります。
「証右」は存在しない
「左」には、「右」という対の言葉があります。しかし証左の「左」は、「支える」や「明らかにする」という意味で使われており、「左右」を意味する言葉ではないため、対としての「証右」という言葉は存在しません。
証左の使い方
証左の使い方がわかる例文の紹介と解説をしていきます。証左という言葉の使い方を正しく覚えましょう。
証左として
証左には硬いイメージがあり、証拠に比べると言葉のインパクトが強くないのが特徴です。そのため、同じ意味であってもビジネスシーンにおいて、より使われやすい傾向があります。
<使用例>
- そのデータを証左として使用するのは難しいと思います
- 提出した資料は、証左として使用するに値する内容です
証左資料
「証左資料」も、ビジネスシーンやビジネス文書で使用される言い方です。
<使用例>
- 今回のアンケート結果を証左資料として提示します
- このマーケティングの内容であれば、良い証左資料として使用できると判断します
証左の類語と違い・使い分け
証左の類義語の説明と例文の解説をしていきます。
証左にはいくつかの類義語があり、似ているけれどニュアンスが違う言葉や、使う場面が異なる言葉、また違う意味で使われる言葉もあります。
証左と証拠の違い
「証拠」とは、事実を明らかにする根拠になるもの、という意味です。証左とほぼ同じ意味で、同じような使い方をします。
「物的証拠」、「証拠能力」、「証拠資料」、「証拠隠滅」など、法律用語として使われることが多い言葉でしょう。
ただ証左よりも強いイメージを与える言葉で、ビジネスシーンで使用するにはふさわしくない場面もあります。しかし、証左のような硬いイメージがなく、日常生活などビジネスシーン以外のいろいろな場面でも頻繁に使用されます。
証左と左証の違い
「左証」も証拠を示す言葉で、証左と同じ意味で使用されます。割符(※)の左半分を証拠としていたことに由来し、左証は証左よりも使われる頻度の少ない言葉でしょう。
(※)割符(わりふ) : 竹や木の中央に文字などを記載し、文字の中央の位置で割ったもの。別々に所持し、両者を併せることで証明を行う方法で、手形や証文などに用いられていた
証左と証跡の違い
「証跡」は後から証拠になる痕跡を意味します。痕跡のため、データや資料などの証拠ではなく、何かあった跡やしるしとなるものです。証左とは違うニュアンスで使用されます。
証左と証明の違い
「証明」は、物事の真偽を、証拠を挙げて明らかにすることです。証左は物事を明らかにするためのよりどころとなるもの、という意味を持つため、証明と証左では意味が異なります。
証左の対義語
証左の対義語を使った例文を紹介します。対義語の意味を学んで、より深く証左の意味を理解しましょう。
無根拠
根拠とは物事が存在する理由のことであるため、無根拠は存在する理由がない、存在を証明するものがない、理由が明確ではないという意味です。
いい加減な
「いい加減な」には、適当な程度に達していること、程よい程度であること、という肯定的な意味があります。一方で、仕事を途中で投げ出すさまや投げやりである、無責任であるさまを表す否定的な意味もあります。
証左の英語表現
証左の英語表現は「evidence」です。「evidence」には、正しいと立証するための証拠、物証、形跡などの意味が含まれています。
<使用例>
- This is an evidence document.
こちらが証左資料です。 - I submit data as evidence.
データを証左として提出します
証左という言葉の意味を正しく理解し使いこなそう
証左は証拠とほとんど同じ使い方をしますが、証拠よりも硬いイメージにしたい時などに使用します。証拠はさまざまな場面で使われていますが、証左はビジネスシーン、または文書での使用が中心です。
証左の意味を正しく理解して、ビジネスシーンで使いこなしましょう。