令和2年の税制改正により、令和5年(2023年)末で制度が廃止されることが決まった「ジュニアNISA」。ここにきて、ジュニアNISAを活用しようという動きが出てきています。

なぜ、廃止が決まった制度に今から加入するのか、その理由と活用法をお伝えします。

  • 廃止が決定したからこそ有用!? ジュニアNISAの活用法

ジュニアNISAってどんな制度?

「ジュニアNISA」とは、未成年者を対象とした少額投資非課税制度です。

年間80万円分の非課税投資枠が設定され、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税の対象となります。

子ども名義の口座ですが、実際の運用は親権者等が代理で行います。

ジュニアNISAの大きな特徴としては、18歳になるまで(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで)、原則として払出しができないことです。

18歳になるまでに払出しを行う場合は、過去の利益に対して課税され、ジュニアNISA口座を解約することになります。

つまり、基本的には、高校3年生の1月以降にしかお金を引き出せないため、それ以前に掛かる費用にはジュニアNISAのお金が使えません。この点が"利用しづらい制度"という印象を多くの人に与えてしまったようです。

実際、一般NISA・つみたてNISAと比較しても、ジュニアNISAは活用されているとは言えない状況です。

口座数
一般NISA: 1,200万7,249口座
つみたてNISA: 244万3,717口座
ジュニアNISA: 38万3,073口座

口座における買付額
一般NISA: 19兆6,958億5,694万円
つみたてNISA: 4,577億5,666万円
ジュニアNISA: 2,070億3,595万円

※参考/金融庁「NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査(2020年6月末時点)」

このような背景から、令和2年度税制改正でジュニアNISAは令和5年(2023年)末に制度が廃止されることが決定しました。

廃止決定した今だからこそ加入するメリット

ジュニアNISAが廃止されることで、令和6年(2024年)以降はいつでも払出しができることになります。つまり、「18歳まで引き出せない」という制度最大のデメリットがなくなることになるのです。

これから、制度が廃止されるまでの3年間、ジュニアNISAを活用すれば、最大240万円(3年間×80万円)までの投資で得られた運用益が非課税となります。

本来であれば課税される所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%が非課税になるというのは、大きなメリットです。

「18歳まで引き出せない」という最大のデメリットがなくなったことで、メリットであるこの非課税枠を活用すべく、廃止決定後にジュニアNISAへ新たに加入される方もいらっしゃいます。

ジュニアNISA、終了したらどうなるの?

ジュニアNISA制度が廃止されたタイミングで、持っている口座はどうなるのでしょうか。

ジュニアNISA制度期間内に20歳になる場合

20歳である年の1月1日に自動的にNISA口座が開設されます。

この時に、一般NISAにするか、つみたてNISAにするかを選択することができます。

一般NISAを選択した場合は、ジュニアNISAの未成年者口座(非課税口座)内の金融商品については、NISA口座に移すことができます。

20歳になる前にジュニアNISA制度が終了してしまう場合

令和6年(2024年)以降の各年において非課税期間(5年間)の終了した金融商品を継続管理勘定に移管(ロールオーバー)することができます。

継続管理勘定では20歳になるまで(1月1日時点で20歳である年の前年12月31日まで) 、金融商品を非課税で保有し続けることができます。もし、移管する時に時価が80万円を超えていても、そのすべてを継続管理勘定に移すことができます。

継続管理勘定では売却は可能ですが、新規の買付を行うことはできません。

つまり、令和6年(2024年)以降は、商品を新たに買い付けることはできないものの、20歳になるまでは制度終了前に購入したものを非課税で持ち続けられるし、いつでも必要なタイミングで払出しができる、ということになります。

非課税投資の制度を有効に活用しよう

ジュニアNISAはあくまでも子ども名義の口座です。基本的にはお子さんのために使う費用として払い出すことが想定されているため、もし、払出したお金を親が使う場合は贈与税の対象となります。注意しましょう。

iDeCoや親名義のNISAを活用しながら、さらに非課税投資枠を増やしたい方や、ある程度現金で子どもに必要なお金を用意した上で、+αの部分を長期運用で用意したい方は、一度ジュニアNISAの活用を検討されてみてもいいのではないでしょうか。