4月7日に7地域を対象に発出した緊急事態宣言が、16日には日本全国へと拡大されました。刻一刻と変わる事態に経済もますます混乱している状況で、政府はさまざまな支援制度を発表しています。一方で、さまざまな制度があって分かりにくいのも事実です。そこで今回は新型コロナウイルスに関連した経済支援制度のうち、個人が申請できる支援金を3つ紹介します。

  • 個人に対する支援金をチェック

    個人に対する支援金をチェック

特別定額給付金(仮称)

国民1人当たり一律10万円の現金給付をする制度です。安倍首相自身も4月17日の記者会見でお詫びの言葉を述べられましたが、支援内容が変更となり混乱している人もいるかもしれません。あらためて整理しておきましょう。

これまで減収世帯を対象に予定されていた30万円の現金給付(生活支援臨時給付金(仮称))は撤回されました。代わりに実施されることになったのが、「特別定額給付金(仮称)」です。補正予算案が4月20日に閣議再決定され、4月27日の国会に提出される予定です。

これはニュースなどで報道されている、いわゆる「国民1人当たり一律10万円の現金支給」というものですが、具体的には基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている人が対象です。世帯主が受給権者となり、世帯分をまとめて申請することになります。所得制限はありません。

政府は5月中の支給開始を目指す方向で進めていますが、具体的な受付開始日は市町村が決定し、受給権者宛てに申請書類が郵送される予定です。

申請方法は、郵送申請方式とオンライン申請方式の2つの方法がありますが、オンライン申請にはマイナンバーカードが必要です。郵送申請の場合には市区町村から送られてきた申請書に必要事項を記載し、本人確認書類の写しなどの必要書類とともに市区町村に返送します。

小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする人向け)

個人事業主やフリーランスの人など、業務委託契約に基づき仕事をしている個人を対象とした支援金です。新型コロナウイルス感染症対策により小学校等が臨時休業となり、子どもの世話を行うために委託契約をした仕事ができなくなった場合、就業できなかった日について、1日当たり4,100円(定額)が支給されます。

  • 小学校休業等対応支援金の流れ

    小学校休業等対応支援金の流れ

具体的には、2020年2月27日~6月30日までのうち、就業できなかった日となりますが、次の要件を満たすことが必要です。

・学校が臨時休業に入る前に業務委託契約を締結していること
・業務をできなかった日がもともと開校予定日であったこと

つまり、たとえば「臨時休校中に委託を受けて契約をした仕事が、子どもに手がかかってやっぱりできない」というような場合には支給されません。また、春休みなど、そもそも休校日として予定されていた日に対しては支給されません。ただし、子どもが新型コロナウイルスに感染あるいは感染した恐れがある場合には、もともと休校が予定されていた場合でも支給対象となります。

対象となる場合には、2020年9月30日までに申請書および必要書類等を揃えて「学校等休業助成金・支援金受付センター」へ郵送にて申請することが必要です。必要書類のなかには、仕事ができなかった旨を証明する書類も必要です。たとえば次のようなものがあります。

・臨時休業になる旨の小学校等からの通知書
・業務委託契約書
など

申請者の住所地により管轄となる「学校等休業助成金・支援金受付センター」が異なり、厚生労働省のウェブサイトから確認できるようになっています。申請書も当HPからダウンロード可能です。

生活福祉資金貸付制度

新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に、少額の費用の貸付を受けることができる制度です。

本来、生活福祉資金貸付制度は低所得者世帯などを対象に、低利または無利子で生活資金の貸付を行う制度ですが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、貸付の対象世帯が低所得世帯以外にも拡大されています。

新型コロナウイルスの影響による生計維持のための貸付では、制度対象を「主に休業した人」と「主に失業した人」の2つに分け、貸付上限額や貸付金の償還期限に違いを設けています。

  • 主に休業した人向け(緊急小口資金)

    主に休業した人向け(緊急小口資金)(厚生労働省HPより)

・主に休業した人向け(緊急小口資金)

新型コロナウイルスの影響で収入の減少があった人が対象です。休業状態になくても構いません。

貸付上限額: 学校等の休業および個人事業主等の特例の場合は20万円
その他の場合は10万円
返済期限:2年以内(据置期間1年以内)

  • 主に失業した人向け(総合支援資金)

    主に失業した人向け(総合支援資金)(厚生労働省HPより)

・主に失業した人向け(総合支援資金)

新型コロナウイルスの影響で収入の減少や失業により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯に生活再建までの間(原則3カ月以内)に必要な生活費用を貸付するものです。なお、収入の減少があれば、休業状態になくても構いません。

貸付上限額: 2人以上世帯の場合は月20万円以内
単身世帯の場合は月15万円以内
返済期限:10年以内(据置期間1年以内)

いずれも、無利子・保証人不要で貸付を受けられます。申込先は居住地の市区町村社会福祉協議会です。

新型コロナウイルスの感染拡大がやまず、収束の見通しが立ちにくい状況で、経済的な不安を抱える人も増えてきていると思います。今回紹介した国の支援制度を活用することで、家計へのダメージを和らげることができれば幸いです。